中年はチートなしでもなんとかなる -異世界に来たので欲望のまま生きてみる-

ながれ

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6章 中年は領主になる

第52話 闇が動き出すのを待つって話

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作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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お触れが掲示された日。
私はブランディング領管轄のダンジョンを訪れていた。

フランシスギルドのギルド長カイと共に数名の冒険者を連れて、
ダンジョンの現状と今後の有効活用に関して実地検証もかねて来てみた。

状況から言うと、かなり劣勢な状態であった。

ダンジョンの警備を任されている守備兵、ギルドマスターのカイ、
そしてそこに訪れる冒険者達のほとんどが、ダットンの息がかかった者だった。

「3か月ものダンジョン閉鎖は街の衰退を招きます。どうかご再考を!」

ギルドマスターのカイは明後日からのダンジョン閉鎖を取り消せの1点張りである。
冒険者ギルドは一応、国や領主に属しない独立した組織である。
もちろんカイもギルドマスターとして一定の権限を持ち合わせているのだが、
ダンジョンを管理するのは領主である私になっている。
守備兵に関しても基本、領主に雇われているため、私の管轄。
基本的に私が閉鎖といえば閉鎖なんだが、どうしてもそうして欲しくない理由があるようだ。

「それはダットンの意向か?」

カイを含め、私に同行してきたものが一斉に凍り付く。
こういう時は中年の姿が一番効果的である事を私は知っている。

私がベガスに行って感じたこと。それは『賑わいすぎている。』ということである。
本来ベガスの近くにあったダンジョンは既に休止してしまっており、
ダンジョン産の素材などはまずフランシスの街に還元されるはずである。

もちろん冒険者が持ち運びするものなので、一概には言えないが、
ベガスには物が揃いすぎていた。

街の運営とは基本的には貿易赤字や貿易黒字の考え方が応用できる。
街で生産したもの、街で加工したものを他の街と交易してその利益で他の街からものを買う。
まずベガスには農地がほとんどなかった。

フランシスにある農地もはっきり言ってそれほど生産性が高いわけではない。
ベガスにはカジノがあるので当然外貨獲得という意味では一定の成果はあるだろう。
それで街が潤っているのはわかる。

しかし、商店や雑貨屋に魔物の素材やスクロールといったダンジョン産のものが、
フランシスよりベガスに豊富にある状況はいささかおかしい。
その状況が起きるのは、ダンジョンからフランシスを経由せずに直接ベガスに素材が流れている場合、
もしくはベガス自体がダンジョンを保有している場合と考えるのが妥当だと思った。

ダンジョンが新たに発見された場合などには国への報告義務がある。
もちろんダンジョンコアの破壊などで休止する場合も同様である。
当然、ダンジョン産の素材などを売り買いしたものにも税金がかかるし、
管轄する領主はそれを収める義務がある。
そのため、冒険者はそこで取れた素材を基本的にはその土地で売ってもらう意味がある。
その窓口となるのは冒険者ギルドであり、その素材を商人ギルドや鍛冶ギルドに卸す仲介料は冒険者ギルドにとっての主たる収入源でもある。

カイはとにかくダンジョン産の素材が取れないと困るというのは理解できる。
しかし、最近のギルドの収支報告ではほとんどダンジョン素材による収入は計上されていない。
基本的には依頼報酬の手数料売り上げが今のフランシスギルドの主な収入源と記載されている。

「カイ殿。ここ最近のギルド収益を見る限り、素材による収入は僅かだ。
そこを向上させるためにも、ダンジョンへの利便性向上は急務であり、
結果的にフランシスにダンジョン素材が入り、将来的な収入が上がる必要があるのだが、
そこに異論があるということかな?」

私はギルドマスターを見据えながら淡々と計画を進めるように話す。

「しかし、3か月のダンジョンを放置してもしスタンピートが発生すれば、街に甚大な被害が。。。」

「その心配はない!」

私がカイのスタンピート説を遮ると、地面に手を当てるフリをして高さ5メートルほどの外壁でダンジョン周辺を囲った。
ブランディング領にあるこのダンジョンは、祠のような洞窟の入り口が地上に出ており、
そこから階段を下っていく形のダンジョンとなっている。
一瞬のうちに15メートル四方を高さ5メートルほどの壁が覆ったことで、
カイも冒険者、入り口警備の守衛達もかなり驚いたようだ。

「ね。こうして囲っておけばスタンピートが発生しても一定の対処は可能だと思うのだが。」

こうして、明後日から3か月、このダンジョン周辺の街道整備と施設整備を渋々了承させた。

フランシスの街に戻り、商業ギルドや鍛冶ギルド、警備兵団などを回り、数字だけではない実情の把握に努めた。

状況は最悪。ほとんどダットン卿が抑えていた。

商業ギルドに関しては、ダンジョン産以外の物品に関して、緩和し、
王都の私が管轄している商店から食料や日用品を融通することで納得させ。
鍛冶ギルドに関しての鉱石輸出入に関しては、輸入に関しては緩和し、
輸出に関しては規制し、半分脅しのような感じになったが、なんとか納得させた。

警備兵団に関しては、一部の兵に隷属魔法を用いて内部調査をさせた。
ダットンの息のかかっていた兵士には容赦なく隷属魔法を使用して、内容を吐かせた。

そこから1か月の間にダンジョンへの街道を整備し、馬車で2時間ほどの距離だったダンジョンを
徒歩でも行けるように整備した。
ダンジョンへは私以外出入りできないよう、完全に入り口を囲った。
飛行魔法か転移魔法でも使えない限り侵入は物理的に壁をぶち壊すしかないようにした。

実際に数回、私自身もダンジョンへ入ってみた。
基本的には殲滅目的なので、フロア入り口から極大の雷魔法ぶっ放す。
私自身攻撃力は高いのだけれど、防御力がないため、戦闘にすらならないように
フロア入り口からフロア全面を一斉攻撃でとにかく敵を殲滅する。
後はドロップ品やら多少の撃ち漏らしを処理するだけの簡単なお仕事。
調査した結果、このダンジョンは最下層がちょうど100階。
90階から下が海フロア最終ボスがウォータードラゴンであることも判明した。
ついでにダンジョンコアでスキルをもらうと、『状態異常耐性』をもらった。

『耐火耐寒』といい『状態異常耐性』といい、耐性系のスキルはありがたい。

ダンジョンに潜って分かったことが他にもあった。

ベガスで『ダンジョン産』として売られている素材の一部はブランディング領管轄のダンジョンではドロップしないものが多数存在した。
つまり、ベガスで売られている素材の一部は他のダンジョンから流れてきているものであることは間違いない。

この1か月の間に3人の暗殺者が私の寝室に侵入した。
といっても私は異世界で基本的には爆睡かましているので、外ではほとんど寝ていない。
見事なほど気配探知に引っかかってくれるので面白かった。
私自身防御力が弱いと言っても、素のステータスは既に人外のステータスとなっているので、
並みの人間に私に傷をつけるというより、捕まえることすら難しい状況となっていた。

暗殺者の皆様にはすべて隷属契約をプレゼントして、ビィンチが超凄腕執事という事にして
お帰りいただいた。

ダンジョンを閉鎖してもうすぐ2か月というところで、
おかえりいただいていた暗殺者から密偵になっていたものから驚くべき報告が上がってきた。

まず一つは、ベガスを中心とする暗殺者ギルドの情報。
もう一つは闇取引に関する情報。

最後の一つは、私自身予期していなかったウィリー・ダットンの核心とも言える情報だった。

『ダントン邸の地下には、ダンジョンが存在します。』
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