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8章 中年は平和を望んでみる
第74話 前と同じ失敗をしない為にって話
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お気に入り設定ありがとうございます。
誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
-------------------------------------------------------------
とりあえず日は昇っている。
王都に直接飛んで乗り込むのも騒ぎの原因になるといけないので
門の手前で降りてから歩いて王都に向かう。
門ではD級と記された私のギルドカードを見せて問題なく通過できた。
見慣れた街並みを歩き商業地区にあるもう一人の私の家に向かう。
家に向かう途中。何やら騒いでいる声がする。
行ってみると私が雑貨屋を開く店先だった。
チンピラのような冒険者が数名、店先にいる。
シュレームが応対しているようだがチンピラは今にも店を壊しそうな雰囲気だ。
私は人垣を縫ってそこに近づく。
「ご主人様、お戻りになられたのですか?」
今の私の見た目はそのままの40歳。
本来ダンジョンに潜っている私は20代くらいの容姿をしているはずだが、
シュレームはすぐに気づいた。
男たちが私の元に近づく。
先ほどまで飛んできたのでMPはあと20ほどしか残っていない。
精一杯の火力を出しても、全員を焼き払うことはできない。
相手は一応冒険者だろう。レベルは今の私と同じかそれよりも上だろう。
私は『隠密』のスキルを発動し、見えているのに気配が感じにくい状態を先制して作り出す。
次の瞬間緩急をつけて相手の背後に回ると刀の峰を使って相手を峰打ちにしていく。
その間、特に言葉は発していない。
とりあえず、シュレームに絡んでいるのだから問答無用で敵。
圧倒的なレベル差もないのだから初めから全力で行く。
倒れ伏した冒険者が私を見上げる。
私は黙ったままチンピラ達に刀を突き付ける。
「ダットンさんの話と違う!」
チンピラの一人がオロオロしている。
「去れ!二度と来るな!」
私が中年らしい威圧感でチンピラに凄んでみた。
一応、ついこないだまでダンジョンにソロで潜っていたので
多少は動ける。
私はなけなしのMPでできる精一杯の脅してして、チンピラの一人の頭に火を着けた。
というかこれくらいしかできないが脅しになればいい。
チンピラたちはおずおずと後ずさりし、逃げて行こうとしたので
そのまま気絶させて冒険者ギルドに引き渡した。
今頃もう一人の私はダンジョンの中だ。
シュレーム達だけに留守を任せたのは失敗だったかもしれない。
まぁもう少し後に追加で奴隷を買うはずなので、今日の所はこのくらいで十分だろう。
チンピラ達を引き渡した後、シュレームと共にもう一人の私の家へと向かう。
まだ雑貨屋が開店していないという事は魔道具も家にあるはずだから。
王都の家に着いた。
家にいたユーリナに『私がダンジョンへと旅立ってどのくらい経ったか?』を聞くと
『7日経ちました。』という返事が返ってきた。
もう一人の私が戻ってくるまではあと3日ある。
このころの私はトルネのバックに貴重品を入れて王都の家に保管してあった。
もちろんそこにある魔法陣の写しや金貨、スクロールなども必要だったが
目標は私の寝室、そして作業室である。
そこにはもう一人の私が作り出した時間加速付きの異空間があるからだった。
今の私はまだ『分解』は使えない。
MPの総量も低い、とにかくレベル上げが絶対的に必要だから。
トルネのバックから数枚の金貨を取り出し、
ユーリナに食料の買い出しをお願いし、
ミューリ、シュレームを連れて異空間に入る。
ユーリナ人族なので年齢が容姿に出やすい。
ミューリ、シュレームは年齢が容姿に出にくいため、この後異空間に入るにはちょうど良かった。
今の私では若返りの魔法陣は使えない。
もっとも明日の私なら十分に使えるMPを持っているだろうけど。
異空間の中でひたすら魔力枯渇を行って、その後『土魔法』や『分解』を一からゆっくりと習得する。
その後はひたすら魔石を作り出して分解し、レベルアップする。
スキルスクロールの『暗殺術』はこの時に習得した。
以前の私はこのスクロールを使った記憶がなかったから。
もう一人の私はスクロールを買っただけで使わず、
この後、奴隷が増えたときに新しく買ったスクロールと合わせて奴隷に与えた。
しかし、今の私には子のスクロールが必要だった。
リリスに近づき、目的を果たすために。
異空間でひたすら修行を繰り返していく中で私はあることを考えた。
『タイムパラドックス』についてだ。
もし、このまま私が伯爵になり、リリスに見つかるという状況にならないように動いた場合
どういう状態が発生しうるのか?
例えば外の世界で言う今夜にでもリリスを暗殺したらどうなるのか?
そこにリリスがいなかったら?私がエリス教総本部に向かわなかったら。
正直どうなるのかがさっぱり分からなかった。
一番確実なのは、今まで通りもう一人の私には突き進んでもらい、
リリスに転移させられて、その後私がリリスを討つのが一番確実である。
私はこの後のもう一人の私の行動を知っている。
私は外の世界の時間で約3か月と少し後、強制的に転送される。
しかし、私が自力でこちらに戻っていることをリリスは知らないはず。
知っていれば私を強制転移したときに何らかの反応をしていたはずだ。
『霊薬をどこに持っていったのか?』『どうしてこの秘密を知ったのか?』などだ。
それを聞かれなかったという事は、リリスに強制転移されるまでが確定未来のワンセットなんだと思った。
それを裏付けるように、今、ミューリとシュレームが甲斐甲斐しく私の食事の世話などをしてくれている。
昔の私なら、異空間に籠ったとき、ミューリやシュレームと激しく抱き合っていた。
今の私は一刻でも早く当時の私のレベルに追いつこうと必死である。
ニテが待っているから。
もちろんサーシャやユーリナ、ミューリやシュレームももちろん愛しているし、大事だと思っている。
しかし、それと同じくらいニテも愛しているのだから。この修行が終わったら一旦チェスターに戻る。
そして時期が来るのを待つ、それほど長い時間ではない。
今この異空間で15年ほど過ごして、上がったMPで若返りの魔法陣を使いあと15年そこで暮らす。
目標はレベル300。もう一人の私のレベルが最終的にいくつだったか見ていない。
しかし、レベル300を超えれば後はチェスターでもレベル上げ出来る。
ここにある魔法陣関連もすべて転記して持ち帰れば問題ない。
チェスターに戻ったら、できる限りみんなの為に、仲間の為にチェスターを発展させたい。
それが今の私の目標であり、リリスの討伐は3か月後のイベントの一つでしかない。
私が異空間で30年を過ごした頃、外ではまだ1日すらも経過していなかった。
暗殺術以外のスクロールには手を付けていない。
レベルが上がった私なら金貨はいくらでも作り出せる。
魔法陣の転写も完了した。
今の段階でここにいる必要はなかった。
ユーリナに『もう少ししたら、あなたとゆっくり過ごす時間も作るから。』とだけ告げた。
一番記憶力がいいシュレームに一つお願いをしておいた。
「いずれフランシスという街に王から私への招聘状が届く。届いたらすぐにチェスターというルマン領の街のギルドへ連絡をするように。王都の冒険者ギルドに頼めば水晶通信などですぐに届けてくれる。金貨はいくら使っても構わないから。」
私は王都からチェスターの私の家へ一気に『転移』で飛んだ。
一人ならこれが一番早いから。
----------------------------------------------------------------
夜だという事もあり、ニテが待ってくれていた。
私は30年ぶりに会うニテを帰ってすぐにハグしたくなった。
「おかえりなさい。」
私が急に転移してきてもほとんど驚かずに『おかえり』と言ってくれた。
すごくうれしかった。
私はニテを抱きしめながら、
「ただいま。そしてありがとう。」
誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
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とりあえず日は昇っている。
王都に直接飛んで乗り込むのも騒ぎの原因になるといけないので
門の手前で降りてから歩いて王都に向かう。
門ではD級と記された私のギルドカードを見せて問題なく通過できた。
見慣れた街並みを歩き商業地区にあるもう一人の私の家に向かう。
家に向かう途中。何やら騒いでいる声がする。
行ってみると私が雑貨屋を開く店先だった。
チンピラのような冒険者が数名、店先にいる。
シュレームが応対しているようだがチンピラは今にも店を壊しそうな雰囲気だ。
私は人垣を縫ってそこに近づく。
「ご主人様、お戻りになられたのですか?」
今の私の見た目はそのままの40歳。
本来ダンジョンに潜っている私は20代くらいの容姿をしているはずだが、
シュレームはすぐに気づいた。
男たちが私の元に近づく。
先ほどまで飛んできたのでMPはあと20ほどしか残っていない。
精一杯の火力を出しても、全員を焼き払うことはできない。
相手は一応冒険者だろう。レベルは今の私と同じかそれよりも上だろう。
私は『隠密』のスキルを発動し、見えているのに気配が感じにくい状態を先制して作り出す。
次の瞬間緩急をつけて相手の背後に回ると刀の峰を使って相手を峰打ちにしていく。
その間、特に言葉は発していない。
とりあえず、シュレームに絡んでいるのだから問答無用で敵。
圧倒的なレベル差もないのだから初めから全力で行く。
倒れ伏した冒険者が私を見上げる。
私は黙ったままチンピラ達に刀を突き付ける。
「ダットンさんの話と違う!」
チンピラの一人がオロオロしている。
「去れ!二度と来るな!」
私が中年らしい威圧感でチンピラに凄んでみた。
一応、ついこないだまでダンジョンにソロで潜っていたので
多少は動ける。
私はなけなしのMPでできる精一杯の脅してして、チンピラの一人の頭に火を着けた。
というかこれくらいしかできないが脅しになればいい。
チンピラたちはおずおずと後ずさりし、逃げて行こうとしたので
そのまま気絶させて冒険者ギルドに引き渡した。
今頃もう一人の私はダンジョンの中だ。
シュレーム達だけに留守を任せたのは失敗だったかもしれない。
まぁもう少し後に追加で奴隷を買うはずなので、今日の所はこのくらいで十分だろう。
チンピラ達を引き渡した後、シュレームと共にもう一人の私の家へと向かう。
まだ雑貨屋が開店していないという事は魔道具も家にあるはずだから。
王都の家に着いた。
家にいたユーリナに『私がダンジョンへと旅立ってどのくらい経ったか?』を聞くと
『7日経ちました。』という返事が返ってきた。
もう一人の私が戻ってくるまではあと3日ある。
このころの私はトルネのバックに貴重品を入れて王都の家に保管してあった。
もちろんそこにある魔法陣の写しや金貨、スクロールなども必要だったが
目標は私の寝室、そして作業室である。
そこにはもう一人の私が作り出した時間加速付きの異空間があるからだった。
今の私はまだ『分解』は使えない。
MPの総量も低い、とにかくレベル上げが絶対的に必要だから。
トルネのバックから数枚の金貨を取り出し、
ユーリナに食料の買い出しをお願いし、
ミューリ、シュレームを連れて異空間に入る。
ユーリナ人族なので年齢が容姿に出やすい。
ミューリ、シュレームは年齢が容姿に出にくいため、この後異空間に入るにはちょうど良かった。
今の私では若返りの魔法陣は使えない。
もっとも明日の私なら十分に使えるMPを持っているだろうけど。
異空間の中でひたすら魔力枯渇を行って、その後『土魔法』や『分解』を一からゆっくりと習得する。
その後はひたすら魔石を作り出して分解し、レベルアップする。
スキルスクロールの『暗殺術』はこの時に習得した。
以前の私はこのスクロールを使った記憶がなかったから。
もう一人の私はスクロールを買っただけで使わず、
この後、奴隷が増えたときに新しく買ったスクロールと合わせて奴隷に与えた。
しかし、今の私には子のスクロールが必要だった。
リリスに近づき、目的を果たすために。
異空間でひたすら修行を繰り返していく中で私はあることを考えた。
『タイムパラドックス』についてだ。
もし、このまま私が伯爵になり、リリスに見つかるという状況にならないように動いた場合
どういう状態が発生しうるのか?
例えば外の世界で言う今夜にでもリリスを暗殺したらどうなるのか?
そこにリリスがいなかったら?私がエリス教総本部に向かわなかったら。
正直どうなるのかがさっぱり分からなかった。
一番確実なのは、今まで通りもう一人の私には突き進んでもらい、
リリスに転移させられて、その後私がリリスを討つのが一番確実である。
私はこの後のもう一人の私の行動を知っている。
私は外の世界の時間で約3か月と少し後、強制的に転送される。
しかし、私が自力でこちらに戻っていることをリリスは知らないはず。
知っていれば私を強制転移したときに何らかの反応をしていたはずだ。
『霊薬をどこに持っていったのか?』『どうしてこの秘密を知ったのか?』などだ。
それを聞かれなかったという事は、リリスに強制転移されるまでが確定未来のワンセットなんだと思った。
それを裏付けるように、今、ミューリとシュレームが甲斐甲斐しく私の食事の世話などをしてくれている。
昔の私なら、異空間に籠ったとき、ミューリやシュレームと激しく抱き合っていた。
今の私は一刻でも早く当時の私のレベルに追いつこうと必死である。
ニテが待っているから。
もちろんサーシャやユーリナ、ミューリやシュレームももちろん愛しているし、大事だと思っている。
しかし、それと同じくらいニテも愛しているのだから。この修行が終わったら一旦チェスターに戻る。
そして時期が来るのを待つ、それほど長い時間ではない。
今この異空間で15年ほど過ごして、上がったMPで若返りの魔法陣を使いあと15年そこで暮らす。
目標はレベル300。もう一人の私のレベルが最終的にいくつだったか見ていない。
しかし、レベル300を超えれば後はチェスターでもレベル上げ出来る。
ここにある魔法陣関連もすべて転記して持ち帰れば問題ない。
チェスターに戻ったら、できる限りみんなの為に、仲間の為にチェスターを発展させたい。
それが今の私の目標であり、リリスの討伐は3か月後のイベントの一つでしかない。
私が異空間で30年を過ごした頃、外ではまだ1日すらも経過していなかった。
暗殺術以外のスクロールには手を付けていない。
レベルが上がった私なら金貨はいくらでも作り出せる。
魔法陣の転写も完了した。
今の段階でここにいる必要はなかった。
ユーリナに『もう少ししたら、あなたとゆっくり過ごす時間も作るから。』とだけ告げた。
一番記憶力がいいシュレームに一つお願いをしておいた。
「いずれフランシスという街に王から私への招聘状が届く。届いたらすぐにチェスターというルマン領の街のギルドへ連絡をするように。王都の冒険者ギルドに頼めば水晶通信などですぐに届けてくれる。金貨はいくら使っても構わないから。」
私は王都からチェスターの私の家へ一気に『転移』で飛んだ。
一人ならこれが一番早いから。
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夜だという事もあり、ニテが待ってくれていた。
私は30年ぶりに会うニテを帰ってすぐにハグしたくなった。
「おかえりなさい。」
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