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8章 中年は平和を望んでみる

第88話 女神様?会ったことあるけど?って話

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リーデンスことリィ爺さんと昼飯を食べている。
この世界を作った張本人らしい。

私は個人的になんかこう女神さまなんかがあって神様がいて的なものを
勝手に想像していたので、この爺さんの話は非常に興味深いが、
ちょっと残念でもある。

で、この爺さんが何をしに来たか。

まぁ行ってしまえば、気配探知を極めていくと遠くにいても実力者の気配が分かるようになるらしい。
そこで、たまに気晴らしと話し相手を求めてその強者を訪ねて話をしてみたり、
この世界に邪魔になるようなら戦ったりしているらしい。

「ちなみにあと一人お前さんと同じくらいの力を持った奴が東の方におるので、
そいつにも後から会いに行こうと思っとるよ。」

というので、『多分それもう一人の私です。』というとびっくりしていた。

「お主、時間魔法も使えるのか?」

「いえそういうわけではないんですが、一度現世に戻されてしまいまして、
もう一度こうしてこちらに来たら、過去だったというかなんというか・・・」

「ほー現世に戻ったのか。・・・ウムウム。しかしよう戻ってこれたな。
現世の方は殆ど魔素がないから、闇魔法の効果なんぞ消えてしまうというのに。
まぁいまとなっちゃ儂は現世に未練も何もないのでな、この世界の成り行きを見守っとるわけじゃが、
あまり大きな魔法を連発するんじゃないぞ、この空間内の魔素の濃度が上がるので魔物が増える。」

「あのーどのくらいの魔素濃度になれば魔物が生まれるのでしょう?」

私はここぞとばかりに質問をしてみた。
私が作る時間を早めた異空間ははっきり言って魔素が濃い。
その中で何十年も過ごしたが魔物が生まれることはなかった。

「まぁ正確に言うと『偏り』じゃな。魔素同士はくっつこうとする。結果的に濃いところと薄いところができて、
その濃いところから魔石が生まれる。そして薄いところとの境界線に魔物が・・・
そうじゃった。『偏り』で思い出した。儂はここ数百年『重力とは何か?』を研究しとってな、
一応今の儂の仮説では『密度の壁による限定的空間の物質量変化』によるものだと考えておるんじゃが、
お主はどう思う?」

なんか唐突に訳の分からない質問が来たので、なるべくスルーするようにしてみよう。

「いや~ちょっと私にはわかりませんね。今度少し考えてみます。」

「そっそうか?不思議じゃと思わんか?例えば磁力なら鉄などの金属を引き付ける。
しかし、重力は木も水も引き付ける。仮に地球の中心になんかすごく不思議なエネルギーがあってなんでも引き付けるとしても、
そもそも地面を突き抜けてまで影響する力の正体は気にならんか?

まぁそこで儂は重力の源は外にあると思うとるんじゃよ~。
良く見るじゃろ。水の中で空気を出せば気泡になり、空気の中で水を出せば水滴になる。
密閉された空間に密度の違う混ざらない物質があればそれだけでそこに集まろうとする力が生まれるのじゃ・・・」

爺さんの話はとにかく長い。しかもよくわからん感じの話を嬉しそうにしているので、
止めるに止められない。

「例えば風呂に浮かんだ玉が二つあるとしよう。
そこに流れがあれば、二つの玉の間が他よりも狭ければ、流れが早くなりその外側は広いため流れが遅い。
結果的に玉同士は引き合ったようにくっつくわけじゃ。まぁそれを空間でやれば『引力』っちゅうやつだな。・・」

爺さんの話は留まることを知らない。

「すっすごいですね。考えてる次元が大きすぎて・・・」

爺さん曰く、人が増えだしてからしばらくして国を作ったそうだ、しばらくというか100年ほど国王をやっていたらしいが、
その頃に『食欲』『性欲』『睡眠欲』は全てやり尽くしたらしい。要は飽きたのだ。
但し、『知識欲』だけは何百年経っても変わらず、自分が知らないことや、想像もしていなかったことを知れると
非常にうれしいらしい。それが爺さん的には今の世界をそのままほったらかしている最大の要因らしい。

「なんかこう、もっと女神様とか神様みたいな人が居て世界を作ったのかと勝手に思ってました。」

「ほっほっほっ。それじゃあさしずめ儂は神様という事になるのかの~。
ちなみにエリス教という宗教の神は儂の娘のエリスを敬っておるらしい。うちに帰れば会えるぞ。」

「はっはい!?」

全くこの爺ちゃんはなんかいろいろな私の妄想をぶち壊していく。
エリス神がそもそも王女様の事らしく、要はファンクラブの集合体らしい。
宗教の成り立ちなんて聞かないほうがいいのかもしれない。

「とりあえずお主は害意はない様じゃし、もう一人の強者も1か月ほどで居なくなってしまうお主らしいし、
まぁ儂は家に戻ってしばらく体の修復でも行うかの~。まぁお主との話は面白いのでいつでも儂の家に遊びに来るといい
ちなみに儂の家はこの世界の中心にあるから、まぁそれを探すのも面白かろう。」

まぁ爺さんがほぼ一方的に話していただけだけど、楽しいのならよかった。
とりあえずチェスター壊滅とかいう事態にはならなさそうだ。

それにこの世界の中心を探すというのもいつかやってみよう。なんだか面白そうだ。
いつか爺さんの家で愛を叫んでみようと思う。

そんな会話をしながら昼食を終えて爺さんは家へと帰っていった。
若返りの魔法陣の事や天寿転生の腕輪とか、色々話していないことはあるが、
まぁ爺さんも気にしていないようなので、諸々解決してから、爺さんの所に顔を出してみよう。
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