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第1章 初めての町(タカギ)
第13話 思ったより早く仲間に認定された件
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『ヤストさん。先生からの伝言で、
夕食終わったら、執務室に来るようにっていってらっしゃったわよ。』
夕食前にユリのお母さんのマイコさんからの伝言を受けていた件で、
執務室に向かっていた。
よくよく考えてみるとまだ俺がこの町に来てから3日くらいしかたっていない。
着るものもあり、食べるものもある。寝るところもある。
特に不自由は感じていないが、いつまでも『お客様』ってわけにはいかないだろう。
一応明日からはまたマイコ先生のスパルタ授業が始まるわけで、
これからは魔物と戦ったりすることも増えるだろう。
そんな矢先の呼び出しである。
[お前に食わせるタダ飯なんてねーんだよ!!!]
的な事を言われるのではないかと内心ヒヤヒヤしている。
3階の執務室前に付いた。ちょっと手に汗を握る。
意を決して、引き戸をノックした。
「ヤストです。」
・・・・・
返事がない。
何かやらかしたのだろうか?
『おやおや早いね~~。』
急に後ろから声をかけられてかなりびっくりした。
後ろを振り返るとシズネ先生が立っていた。
[そっか、よく考えれば先生もさっきまで一緒に食堂に居たのだから、
俺が先に到着してしまった。]
かなりバクバクになった心臓を沈めつつ、「ふぅ~」と大きく一息ついた。
『まぁまぁ。入りな~。』
<ガラガラガラ・・・ガラガラガラ、ピシャ!>
先生と二人で執務室に入ると、1人のマリオネットがお茶の用意を始めてくれた。
[あれ?ここにマリオネットっていたっけ?]
と一瞬不思議な感じがしたが、よくよく考えてみるとシズネ先生はいつもお茶を飲んでいたので
その謎がちょっと解けたような気がした。
『まだ来たばかりだというのに、かなり頑張ってくれているみたいだね~。』
始まりはそんなシズネ先生のねぎらいの言葉からだった。
「あっ、洋服とか小物とかありがとうございます。」
ユリ経由で着替えやら小物やらをいただいた件のお礼を言ってみた。
少しでも印象を良くして、なんとかこの町においてもらおうとする作戦である。
正直、ユリはかわいいし、他の人たちも非常に優しい。
いくらレベルが一つ上がったとは言え、この町から放りだされたら1週間くらいで飢え死にするかも。
そんな不安をよそにシズネ先生は言葉を繋げる。
『ほっほっほ。まぁ着替えの一つもなけりゃ大変だろうて。』
・・・・
少しの間の沈黙。マリオネットが入れてくれたお茶をシズネ先生が一口すする。
こういう言葉数が少ない人の無言のプレッシャーマジ半端ない!
『で、さっそく夜伽にも参加してくれているようだし、
魔物も倒したと聞いたんじゃが・・・』
「はい!ユリさんはすごく可愛くて、優しくて、柔らかくて・・・」
『お主は何をそんなにビクビクしておる?別に追い出したりはせんぞい。』
「えっ?」
『じゃから、明日の勉強が終わったら早速色々と手伝どーてもらおうと思っての。』
「えっ?はぁ。はい。」
『そういえばお主、[魔物作成]に成功したらしいの~。
ブライアントの奴が[倒し方が雑じゃが、なかなか根性があるようじゃ!]と
言うておったわい。』
「はっはい。どうも魔物の素材があれば、MPを使って魔物を作成できるみたいです。」
『ほ~そりゃ珍しいスキルじゃの~。なんか面白い使い方を考えるとミサカが張り切っておったわ。
そこでじゃ!』
シズネ先生の目が一瞬光ったような気がした。いよいよ本題なのか。
『明日までにマイコの教えをきちんと受けて、明後日からは早速色々な部隊を経験してほしいのじゃが。
まぁ最初は斥候にしようかとも思うたが、ミサカが[魔法を教えればMP効率が上がります!]と
お主に魔法を覚えさせたいらしい。』
「おぉ魔法!ぜひ覚えたいです!」
『ほっほっやる気があるのはよい事じゃ。それなら、一応大事なことも伝えとかなきゃならんの~』
「大切なこと?」
『そうじゃ、今から4日後に[城塞都市タドコロ]というところに入る。
その時なんじゃが、少し身を潜めておいてはくれんか。』
「身をひそめる?」
『まぁ本来なら、お主もタカギの一員としてタドコロで色々と見て回ったりできるんじゃが、
なんせお主は若い。もしお主のことがタドコロに伝われば、間違えなくタドコロで接収され、
我らと共にタカギで生活することはかなわんじゃろう。』
「なるほど、若い働き手は貴重という事ですか?」
『まぁ平たく言えばそうじゃ。うちらは納税があまり得意ではなくての~。
若い働き手は大体接収されてしまう。まぁ要するにあまり発言権がない弱小都市なのじゃ。
しかし、できればお主にはこのままタカギにおって欲しいというものが多くての~。』
自分のことを思いのほかみんなが必要としてくれていることを知って、
ちょっとびっくりもしたけど、単純にうれしかった。
シズネ先生の話によれば3日。ヤックルの習性上、3日間みんなはタドコロに滞在する。
その間、このタカギの人間はほとんどいなくなる。
食料と数体のマリオネットを残していくので、タドコロにバレないように、
ひっそりとこのタカギに潜んでいてほしいらしい。
「俺もまだまだこのタカギに居たいです。3日間隠れ抜きます!」
『ほっほっほ。そういってくれるとわし等も嬉しい。
ついては今夜から部屋も8号室を使うとええ。
常時、防音の魔石が稼働して居るし、部屋も今よりは広い。
基本的な出入りはマリオネットに任せれば、3日くらいは難なく過ごせるじゃろう。
他の者たちにも、お主のことは口外せぬように言い含めておくでの』
「はい。わかりました!」
シズネ先生との会話を終えて執務室を出る。
思いのほかみんなが仲間と認めてくれていることが嬉しくて、
何の迷いもなく潜伏する特命を受けた。
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