現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

文字の大きさ
13 / 70
第1章 初めての町(タカギ)

第13話 思ったより早く仲間に認定された件

しおりを挟む

閲覧いただきありがとうございます。
誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
お気に入り設定など、作者の励みになります。

これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

-------------------------------------------------------------

『ヤストさん。先生からの伝言で、
夕食終わったら、執務室に来るようにっていってらっしゃったわよ。』

夕食前にユリのお母さんのマイコさんからの伝言を受けていた件で、
執務室に向かっていた。

よくよく考えてみるとまだ俺がこの町に来てから3日くらいしかたっていない。

着るものもあり、食べるものもある。寝るところもある。

特に不自由は感じていないが、いつまでも『お客様』ってわけにはいかないだろう。

一応明日からはまたマイコ先生のスパルタ授業が始まるわけで、
これからは魔物と戦ったりすることも増えるだろう。

そんな矢先の呼び出しである。

[お前に食わせるタダ飯なんてねーんだよ!!!]
的な事を言われるのではないかと内心ヒヤヒヤしている。

3階の執務室前に付いた。ちょっと手に汗を握る。
意を決して、引き戸をノックした。

「ヤストです。」

・・・・・

返事がない。
何かやらかしたのだろうか?

『おやおや早いね~~。』

急に後ろから声をかけられてかなりびっくりした。

後ろを振り返るとシズネ先生が立っていた。

[そっか、よく考えれば先生もさっきまで一緒に食堂に居たのだから、
俺が先に到着してしまった。]

かなりバクバクになった心臓を沈めつつ、「ふぅ~」と大きく一息ついた。

『まぁまぁ。入りな~。』

<ガラガラガラ・・・ガラガラガラ、ピシャ!>

先生と二人で執務室に入ると、1人のマリオネットがお茶の用意を始めてくれた。

[あれ?ここにマリオネットっていたっけ?]

と一瞬不思議な感じがしたが、よくよく考えてみるとシズネ先生はいつもお茶を飲んでいたので
その謎がちょっと解けたような気がした。

『まだ来たばかりだというのに、かなり頑張ってくれているみたいだね~。』

始まりはそんなシズネ先生のねぎらいの言葉からだった。

「あっ、洋服とか小物とかありがとうございます。」

ユリ経由で着替えやら小物やらをいただいた件のお礼を言ってみた。
少しでも印象を良くして、なんとかこの町においてもらおうとする作戦である。

正直、ユリはかわいいし、他の人たちも非常に優しい。
いくらレベルが一つ上がったとは言え、この町から放りだされたら1週間くらいで飢え死にするかも。

そんな不安をよそにシズネ先生は言葉を繋げる。

『ほっほっほ。まぁ着替えの一つもなけりゃ大変だろうて。』

・・・・

少しの間の沈黙。マリオネットが入れてくれたお茶をシズネ先生が一口すする。
こういう言葉数が少ない人の無言のプレッシャーマジ半端ない!

『で、さっそく夜伽にも参加してくれているようだし、
 魔物も倒したと聞いたんじゃが・・・』

「はい!ユリさんはすごく可愛くて、優しくて、柔らかくて・・・」

『お主は何をそんなにビクビクしておる?別に追い出したりはせんぞい。』

「えっ?」

『じゃから、明日の勉強が終わったら早速色々と手伝どーてもらおうと思っての。』

「えっ?はぁ。はい。」

『そういえばお主、[魔物作成]に成功したらしいの~。 
 ブライアントの奴が[倒し方が雑じゃが、なかなか根性があるようじゃ!]と
 言うておったわい。』

「はっはい。どうも魔物の素材があれば、MPを使って魔物を作成できるみたいです。」

『ほ~そりゃ珍しいスキルじゃの~。なんか面白い使い方を考えるとミサカが張り切っておったわ。
 そこでじゃ!』

シズネ先生の目が一瞬光ったような気がした。いよいよ本題なのか。

『明日までにマイコの教えをきちんと受けて、明後日からは早速色々な部隊を経験してほしいのじゃが。
 まぁ最初は斥候にしようかとも思うたが、ミサカが[魔法を教えればMP効率が上がります!]と
 お主に魔法を覚えさせたいらしい。』

「おぉ魔法!ぜひ覚えたいです!」

『ほっほっやる気があるのはよい事じゃ。それなら、一応大事なことも伝えとかなきゃならんの~』

「大切なこと?」

『そうじゃ、今から4日後に[城塞都市タドコロ]というところに入る。
 その時なんじゃが、少し身を潜めておいてはくれんか。』

「身をひそめる?」

『まぁ本来なら、お主もタカギの一員としてタドコロで色々と見て回ったりできるんじゃが、
 なんせお主は若い。もしお主のことがタドコロに伝われば、間違えなくタドコロで接収され、
 我らと共にタカギで生活することはかなわんじゃろう。』

「なるほど、若い働き手は貴重という事ですか?」

『まぁ平たく言えばそうじゃ。うちらは納税があまり得意ではなくての~。
 若い働き手は大体接収されてしまう。まぁ要するにあまり発言権がない弱小都市なのじゃ。
 しかし、できればお主にはこのままタカギにおって欲しいというものが多くての~。』

自分のことを思いのほかみんなが必要としてくれていることを知って、
ちょっとびっくりもしたけど、単純にうれしかった。

シズネ先生の話によれば3日。ヤックルの習性上、3日間みんなはタドコロに滞在する。
その間、このタカギの人間はほとんどいなくなる。
食料と数体のマリオネットを残していくので、タドコロにバレないように、
ひっそりとこのタカギに潜んでいてほしいらしい。

「俺もまだまだこのタカギに居たいです。3日間隠れ抜きます!」

『ほっほっほ。そういってくれるとわし等も嬉しい。
 ついては今夜から部屋も8号室を使うとええ。
 常時、防音の魔石が稼働して居るし、部屋も今よりは広い。
 基本的な出入りはマリオネットに任せれば、3日くらいは難なく過ごせるじゃろう。
 他の者たちにも、お主のことは口外せぬように言い含めておくでの』

「はい。わかりました!」

シズネ先生との会話を終えて執務室を出る。
思いのほかみんなが仲間と認めてくれていることが嬉しくて、
何の迷いもなく潜伏する特命を受けた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

処理中です...