現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

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第2章 タカギ争乱

第42話 タカギの窮状を知り駆ける件

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これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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<ヤストさん!ヤストさん!先生が、先生が大変なんです!
 すぐに戻ってきてください!>

遠距離魔道通信機の向こうではアヤメさんが悲痛な声を上げている。

『ヤスト様、現在のタカギの位置を割り出しました!』

さすがマリさん。仕事が早い。

「パペさん、マリさんから位置を聞いて今すぐタカギに向かってくれ!」

『はい!マスター!』

マリさんとパペさんがすぐに進路をタカギに設定し、移動を開始する。

移動している間、スパさんは魔力動力源に張り付き、
可能な限りの速度が出るようにサポート。
モクさんは、その魔力で遠距離魔道通信機の通信を維持してくれている。
マリさんは横で、現状を聞きながら、現状分析や方策などを思案してくれている。

<ヤスト君との通信がつながったのね。変わって!>
アヤメさんの後ろから声が聞こえた。マイコ先生だ。

マイコさんからの通信内容を要約すると、
俺がタカギから離れて4日。シズネ先生の予知通り、刺客の襲撃があった。
刺客は全部で15名いたものと思われる。
シズネ先生の予知があったのでタカギに残っていたメンバーは既に臨戦態勢。
2階をサルサさんと斥候部隊メンバーが護衛し、農地などが荒らされるのを防ぐ。
1階の物資保管庫をブライアントさん、カザンさん、ユキマサさんと狩猟部隊が防衛。
子供たちなその他の非戦闘系住民をミサカさんと魔道部隊が護衛するという布陣であった。
シズネ先生はそのミサカさん達と同じく非戦闘員の護衛で1階にいた。

避難場所は儀式室。俺がアダマンチウムスライムの討伐を行ったせいで、
くしくもその部屋がアダマンチウムコーティングされていて頑丈だったから。
しかし、そこに入れる人数には限界があり、シズネ先生はブライアントさんと共に物資保管庫に詰めていた。

当然、刺客の狙いのうち一つは、タカギにある素材や物資、資金などの強奪。
それと、リカントであるシズネ先生。
刺客はデリカ解放戦線の部隊。
デリカ解放戦線とは、リカントを排除し、もともと生き残っていた人々"デリカント"至上主義の組織で、
リカントであるシズネ先生は以前から標的になっていたようだ。

一番熾烈な戦闘が繰り広げられたのは物資保管庫。
カザンさんやユキマサさん、狩猟部隊メンバーもかなり善戦した。
まず、シズネ先生を身を挺して守ったのがヒマリ。
ヒバリさんと共に、物資保管庫に詰めていたらしい。
相手が発射した鋼鉄の矢で魔石を割られてしまったらしい。
もともとのマリさんもそうだったが、タカギのマリオネットはそもそも戦闘向きではない。
強度も弱く、魔石合成の魔法陣を組み込んでいなければ、その運動能力は常人程度しかない。
ブライアントさんは物資保管庫の激戦中に相手の攻撃を受けて重症。
ブライアントさんの傍にいたシズネ先生も同じく魔剣による攻撃を受けて昏睡状態となる。

『ヤスト様、おそらく現在の症状から推測するに、シズネ様やブライアント様は
 呪いの類を付与した魔剣による攻撃を受けた模様です。』
マリさんはその先生とブライアントさんの容体から、救命方法を思案する。

結果的に、刺客15人のうち10人は撃破。2人は捕縛。3人は取り逃がすという結果になった。
取り逃がした3人はそもそもタカギの外にいたらしく、タカギの街とヤックルを切り離し、タカギの街は移動できない状況となった。

戦闘終了後、シズネ先生の執務室で、先生からの手紙が見つかる。

まず、聖魔法による回復が可能なものを優先、ケガなどを回復するとともに、
執務室にあった"吸呪の水晶"というものでブライアントさんの呪いを解くようにとの指示があった。
その後、10日間その場にとどまれば、俺が駆け付けるところまでが事細かに指示されていた。
刺客との戦闘を終えて3日。つまり今から5日前。シズネ先生は静かに息を引き取った。
シズネ先生の死に逆上したカザンさんが、ミサカさんが尋問を終えたデリカ解放戦線の刺客を惨殺。
シズネ先生葬儀を残った街のみんなで執り行い今に至る。という事らしい。
幸いに食料に関しては魔物の肉を含めて潤沢にあるため、町は移動ができないだけで、
それ以外の死者は出ていない。
ブライアントさんは自分が助かり、シズネ先生が亡くなったことで心身ともに衰弱し、部屋に臥せっているという事らしい。

『ヤスト様、タカギへの到着は今のスピード維持して2日程度です。
 その前に1度、私がタカギまで転移することをご許可ください。』

「転移??」

『はい。私は正確には生物ではなく魔道具です。
 生物の転移は失敗により人ならざる者になることが報告されています。
 しかし、無生物である私は転送の魔法陣によりタカギへの転移が可能です。
 ヤスト様はこのまま、2日後にタカギにて合流をお願いいたします。』

「わかった、俺も一緒に転移することはどうしてもムリなのか?」

『はい。生物の転移は転移後の整形が上手くいかないことがある以上、推奨いたしかねます。
 今の状況であれば、このハウスの速度にてタカギに合流することが最良と考えます。』

「想定されるすべての状況を好転させれるよう、
 いまこちらにある物資はいくら持って行っても構わない。
 あと向こうからの通信や魔力源としてモクさん!マリさんと一緒にタカギに向かってくれ!
 こちらからの通信は俺もスパさんもいるから大丈夫だ!」

『はっ!殿、了解いたしました。』

それから、マリさんが通信を行い、タカギの物資保管庫に遠見の水晶と、投影機を使い、あちら側に魔法陣を投影する。
それをアヤメさん達、魔道部隊隊員がなぞって描く。
こちらの倉庫にもマリさんが同じく魔法陣を描きモクさんの魔力で起動する。
転送の魔法陣は魔道通信機よりもかなりの魔力量が必要らしく、距離や転送する物資量によって、その必要量が膨大に増えるらしい。

しばらくして、マリさんたちの準備が整い、転送の魔法陣を起動する。
マリさんとモクさんの姿はスゥ―っと消えるようにその場からいなくなった。
少しして遠距離魔道通信機が反応する。

<キーーン!キーーン!>

「はい。」

<ヤスト様、転送は無事完了いたしました。私もモクも問題ありません。>

「よかった~。じゃあ先ほどの通り、タカギをよろしくお願いします。
 こちらもなるべく急いで到着します。」

逸る気持ちを抑え込みながら、俺は一度落ち着くために風呂へと向かった。

それから、夕食や朝食の支度などはしなくてもいいとパペさんに伝えとにかく
移動を優先する。スパさんは数時間に1度休憩をとり、魔力回復に努めている。
マリさんの作業場である鍛冶室には、魔力回復速度を高める魔法陣が描かれている。
もともと総量ではスパさんやモクさん、パペさんよりも少ないマリさんが、
生産などを行う際の魔力回復を高めるために設置されている。

俺は時間があればグラトニーアダマンスライムを倒してレベルアップを行っている。
魔力総量を上げるためにはやはりレベル上げが一番効率がいい。
しかもグラトニーアダマンスライムは液体のアダマンチウム以外にも、
インゴットタイプのアダマンチウムをドロップすることもあり、
また、その魔石も十分に取れる。
というか基本その魔石がグラトニーアダマンスライムの唯一の弱点でもある。

俺、パペさん、スパさんはタカチの西数kmを素通りし、猛スピードでタカギへと向かう。

タカギに到着するころには、俺のレベルは600を超えていた。

レベル:647

HP:10328/10328
MP:11245/11245

状態:健康
体力:814
腕力:786
脚力:671
知力:769
 運:117

俺たちがタカギに到着したのは遠距離魔道通信が繋がってから2日目の深夜だった。
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