現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

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第3章 世界巡り

第66話 魔物だから殺していい?っていう件

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サキュちゃんのスキルの確認結果では、
魔石同士の移動にはなんの問題もないことが分かった、
これなら、パペさんやマリさんもいずれ魔水晶へのグレードアップも可能になるかもしれない。

「マリさん聞こえる?」

「はい。ヤスト様、いかがいたしましたか?」

「ちょっと試したいことがあって、魔水晶を6個持って訓練室まで来てほしい。あとパペさんも連れてきて。」

「魔水晶の大きさはどれくらいのものが必要になりますか?」

「2つはスパさんとモクさんに使うから二人の魔石とおないくらいの大きさ、
 あとは3つづつマリさんとパペさんに使うから同じく今使っている魔石と同じ大きさのものを頼むよ。」

「了解いたしました。」

程なくして、マリさんとパペさんも訓練室に来てくれた。

まずはサキュちゃんを使って心変わりのスキルで今の高純度魔力結晶から魔水晶に移してみることを話してみた。

「マスターのお考えはわかりました。今の私でもでも十分な魔力量をいただいているにも関わらず、さらなるパワーアップを図れるのであれば、これほどうれしいことはありません。是非、お願いいたします。」

マリさんのパペさんも快く承諾してくれた。

ちなみにマリさん曰く、パペさんとマリさんは既に複数コアで行っているので、仮に失敗した場合でも、他の魔石がバックアップになるとのこと、
試してみる価値はありそうという結論になった。

最初にパペさんが志願してくれた。

「サキュちゃんよろしくね。」

「はーい。ご主人様。」

パペさんが提供してくれた高純度魔力結晶から魔水晶に心変わりをかけてもらう。
それを先ほどまで高純度魔力結晶が収められていた場所に戻す。

「それでは一旦バックアップを切り離します。」

・・・・・

「マスター。成功です。高純度魔力結晶から魔水晶への転移には何ら問題はありません。」

パペさんのお墨付きが出たことで、マリさんも同じように魔水晶に置き換える。

「おぉ今までにないほどの魔力総量です!これならかなり作業がはかどります。」

ここまではバックアップがあるマリさんとパペさんだったので問題ない。

マリさん曰く、パペさんとマリさんに入っている残り2個づつの高純度魔力結晶は、
メインとなるコアが魔水晶になったので、置換できるとのことだったので心変わりを使わずに置換を行ってもらった。

さて残るは二人、スパさんとモクさんだ。
この二人にはバックアップは今のところない。
大丈夫だろうか?

「スパさんとモクさんは高純度魔力結晶精製用の格納庫を一時的にバックアップとして使用することができるかもしれません。」
マリさんが今自分たちから取り出した高純度魔力結晶をバックアップにしてみる案を提案してくれた。

「殿、某もこちらのバックアップを使用することは可能です。何卒、パワーアップなるものをお願いいたします!」

モクさんやる気満々!いいね。

「それじゃあ、同じようにやってみようか。」

サキュちゃんの協力もあり、コアの置き換えは結果的に成功となった。

一通りみんなのグレードアップが終了した。
まぁ見た目は全く変わってないので、単純な魔力総量が増えただけなんだけどね。

「ヤスト様、ありがとうございました。しかしながら、大変恐縮ですが、失礼いたします。」

マリさんが俺にお礼を述べた次の瞬間。

---ザシュ!---

マリさんの右手には以前俺が使っていたアダマンチウムの刀が握られている。
その前方を見ると、胴体を袈裟切りにされたサキュちゃん。

「な、なんで!大丈夫か、サキュちゃん!」

俺はマリさんがいきなりサキュちゃんを切り付けた意味が全く分からなかった。

「ご主人様、私は一時でもご主人様の下僕になれて幸せでした。・・・」

笑顔のまま息を引き取るサキュちゃん。もう誰が見ても完全に致命傷。助からない。

「マリさん!なんでだ!どうしてサキュを切った!」

俺は今までマリさんにしたことがないくらい厳しい口調でその真意を問いただした。

「サキュバスは十分な知性を持ち合わせ、感情や意識共有が可能な魔物です。
 しかし魔物である以上、ヤスト様にいつ害意を持つか予測できません。
 もちろんヤスト様の新たなスキルは従順に使役させることができると想定できますが、
 ヤスト様のみならず、私たちドロイド、ひいては奥方様たちをも危機にさらしてしまう可能性があるため処分いたしました。」

「それならそれで一言、俺に相談してからでもいいじゃないか!」

「いいえ。ヤスト様はお優しい、きっと先ほどの魔物を処分するお気持ちにはならないでしょう。」

マリさんが言うのも一理ある。
先ほどのスパさんやモクさんを見ていれば、彼女の魅了はドロイドにとってはかなり有効なスキルだ。
仮にドロイドが彼女の配下に就いた場合。今の俺では止めようがなく、この遊撃隊は殲滅される。
本当に他の選択肢はなかったのか?短い時間ではあったが確かに少し情のようなものを持ち始めたところだった。
多分俺にはこれほど見事にサキュを殺せない。

しかし、解せない。何となく心にモヤモヤが残ったまま、俺は訓練室を出た。

俺は、この世界に来て数十万匹の魔物を"素材"と称して狩ってきた。
魔力からできた魔物。確かに人間とは全く別の生き物だ。
だからと言って殺していいのかが分からなかった。

俺は食欲もないまま、自分の寝室で一人、ベッドに寝そべっていた。

なんだか少し不安になってしまい、一度リングさんも外した。

「どうしたんだヤスト。夕食にも来ないからみんな心配しているぞ。」

俺を心配してヒバリさんが俺の部屋を訪ねてきた。

「ヒバリさんは魔物を殺すとき、魔物の気持ちとか考えたことある?」

「いや、ないな。向こうも襲い掛かってくるし、何より魔物を倒して素材を手に入れて、それを糧に生活しているからかな。」

俺が何やら元気がないことに気づいて、ヒバリさんが優しく接してくれる。
何となく答えが出ないと分かっている。

「ヒバリ、ちょっと相手してもらっていいか?」

「えっ?どうしたヤスト珍しいな。私はヤストならいつでも大歓迎だ。ヤストのすべてを受け止めるよ。」

俺は、何も考えず、ただ欲望が赴くままにヒバリの体を貪った。
理由も説明も何もいらない。ただ本能のままに身体を絡めあった。

俺もヒバリも何度果てたか分からない。
だけどまだモヤモヤするから抱きしめる。

本当に獣のように、何度も・・何度も・・・

俺はいつの間にか眠っていた。
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