最推しの悪役令嬢に転生した私は悪事だってやってみせます!

僧侶A

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5話

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「「オリヴィア様!!」」

 教室に入るや否や二人の女性が駆け寄ってきた。

「フランチェスカさん、ジュリアさん、おはよう」

 例の二人である。ゲームに登場しているキャラでは無いけど、見知った顔だったので安心する。

 性格は問題アリかもしれないけれど、オリヴィア様を慕っているという時点で可愛らしくて仕方ないのよね。

「一緒のクラスなんですね、嬉しいです!」

「頑張りましょう!」

 その様子が犬みたいで非常に可愛らしいわ。撫でたくなっちゃうけど我慢我慢。私はオリヴィア様、威厳のある女王様よ。

「そうね、私も嬉しいわ。これから一緒に頑張りましょう」

「オリヴィア様、おはようございます」

 その二人に遅れて、歩いてゆっくりとやってきたのは最後の一人であるマルゲリータ。この子は犬というよりは猫よね。

「おはよう、マルゲリータ。あなたも同じクラスだったのね」

「はい。運が良かったです」

 と笑うマルゲリータの本心は正直私には分からない。

「とりあえず教室の入り口に居るのは邪魔だから席に座りましょう」

「はい!どうぞこちらへ!」

「いえ、こちらへどうぞ!」

 私がそう促すと、フランチェスカとジュリアが各々の席の隣に案内しようとしていた。

「私の方が良いに決まっているでしょ。侯爵家よ私は!」

「子爵だろうがなんだろうが学内では一緒ですよね!」

 昨日の時点で予想はしていたけれど口喧嘩を始めた。

「はいはい、やめなさい。他の方に迷惑がかかるでしょう。別に皆で近くに座れば問題ないんだから。ちゃんと席も空いていることだし」

 貴族同士の諍いが起こったとしても気まずくないように配慮されているのか、教室は大学の講義室スタイルになっており、40人全員が座った所でかなりの空席が生まれるように作られていた。

 それでも4人が連なった席を確保するのは難しい広さだけれど、まだ27,8人しか来ていないので余裕はあった。

「はい」

「分かりました」

 2人は私を独占したかったのか、少々不満げながらも頷いた。

「あとジュリアさんも言っていた通り、ここでは身分は関係ないわ。だからそこまでかしこまらなくても大丈夫よ」

 二人だけでなく、クラス全体に聞こえるように話す。

 効果があるかは分からないけれど、多少はクラスメイトの人たちも私に話しかけやすくなったのではないかしら。

 これは優秀なオリヴィア様の下僕ね。

「分かりました!」

 自分の言っていたことが認められて嬉しそうなジュリア。ただ少しフランチェスカの表情が曇っていた。

『だから、私を公爵家として接するんじゃなくて友達として接してくれればいいのよ』

 フランチェスカのカバーのために耳元でそう囁いた。

「はい!」

 するとあっさりフランチェスカは笑顔になった。可愛いわね。

「じゃあ席につきましょうか。マルゲリータさんもどうかしら?」

「オリヴィア様が言うならそうさせてもらおうかしら」

 しかし態度を変える様子はないマルゲリータ。やっぱり手ごわいわね。

 それから数十分するとクラスメイトも全員集まり、授業が始まった。

「今日から数学の授業をするマルクス・フックスです。よろしくお願いします」

 1時限目は数学の授業。

「——これが因数分解です」

 中身が大学生の私にとってはあまりにも楽な授業だった。この世界ではたいして数学が重要視されていないから発展していないらしいのよね。

「ではオリヴィアさん、分かりますか?」

 そんな退屈な授業を真面目に聞いているフリをしていると唐突に指名された。まあ優秀だから当てちゃうよね。

「はい。(x+2)(x+6)です」

「正解です」

 まあ拍手とかが起きるわけじゃないけど。だって他の生徒にとっても簡単だしね。

 だから特に何があるでもなく授業を終えた。


 そして2限目は歴史。

「私はジャンニ・ダミアニ。よろしく!」

 そんな元気な挨拶から始まった授業の内容は戦争について。

 題材は今から100年前に起きた隣国との戦争なのだけれど、余りにもテンションが高すぎる。

「この戦いで両陣営合わせて2000人も死んじゃったんだよ。今よりも人口は少ないから数字よりも被害は多かったんだよね!」

 戦争について明るく楽しそうに話すのは人としてどうかと思うのだけれど、教え方自体は結構上手い方だと思う。

 流石にエドワード程じゃないけれど、言っている内容がスッと入ってくるし記憶にも残りそう。

 もしこんな人が高校の時歴史を教えてくれていたら、もう少し点数は高かったかなあ。

 いや無いかあ。だって勉強キライだし。

「以上!じゃあまた!」

 チャイムが鳴った瞬間にそう宣言し、教室からダッシュで出て行った。


 そして3限目は魔法理論。

 先生は70歳位のいかにも魔女って感じのおばあちゃん。ローブを羽織っていらっしゃるので雰囲気倍増だ。裏で子供をさらって実験してるって言われても信じちゃいそう。

「初めまして、ロラ・フェルナンデスと申します。一年間よろしくお願いします。では授業を始めますね」

 声は意外と若々しくて可愛らしかった。

「魔法というのは、脳内で魔法陣を想像して錬成するか、口頭でそれに準じた内容を宣言するか、実際に魔法陣を書いて魔力を込めるのが一般的な手法です。これに関しては皆さんご存知ですね?」

 私含め、皆が頷く。

「だから皆さん、瞬時にその魔法を放てるように魔法を暗記していると思います」

 このように。という言葉と共に教室が一瞬光に包まれた。

 確かフラッシュという魔法ね。

「じゃあ何故その魔法が発動するのか?というのを学ぶのが魔法理論という授業です」

「例えばこのフラッシュという魔法。これはどういう仕組みで発動しているのでしょう。オリヴィアさん、知っていますか?」

 初っ端当てられてしまった。人気者は辛いわね。ただエドワードから答えは教えてもらっている。

「はい。フラッシュは魔法陣に『光』と『拡散』という性質を書きこみ、光属性の魔力を込めて発動したものです」

「正解です」

 魔法というのは、どうやら複数の条件を魔法陣に示し、それに最もふさわしい属性の魔力を込めることで起きている現象らしいのよね。

 そう言えば簡単なんだけど、その条件を書き込むのがめちゃくちゃ大変なのよね。

 ただ『光』だけを書き込むだけでも大学ノート一ページ分くらい使うし。

 ただでかでかと光!と書くだけでどうにかなって欲しいわ。

「ということはですね。それぞれの意味を理解し、組み合わせ方を学んでいれば、各々が好きな魔法を作成することが出来ます」

 事実上魔法で何でも出来るってことで夢が広がりまくりな話なのよね。難易度はそれ相応に高いけれど。

「試しに使って見せましょう」

 すると教壇の隣におばあちゃんの腰位ある縦長のレンガ製の桶みたいなものが発生し、中から湯気が上がっていた。これはまさか!

「お風呂ですね。ちゃんとお湯も張っているので入ることもできますよ」

 クラスメイトからどよめきが上がった。今まで見たことの無い魔法だから驚いているのだろう。正直私もびっくり。エドワードが教えてくれなかったんだもの。

「お湯のほうは『水』、『40℃』、『魔力量に応じた水量』、3つを設定した魔法陣に水属性を、浴槽の方は『土』、『凝固』、『粘性』等計39個の性質を設定した魔法陣に土属性を込めています」

「浴槽の方は説明をすると長くなるので省きましたが、もしちゃんと知りたいのであれば放課後あたりに私の研究室に来てください。レシピがありますので」

 39個って。私がやったら脳が破裂しちゃうよ。

「皆さんが興味を持ったところで、性質について学んでいきましょう」

 それから『拡散』や『収縮』等、様々な性質について説明が続き、授業が終了した。次回はオリジナルの魔法を作るための性質選択と、性質の組み合わせ方について学ぶらしい。

「ご飯に行きましょう!」

 三限が終わったので昼休みに入った。

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