最推しの悪役令嬢に転生した私は悪事だってやってみせます!

僧侶A

文字の大きさ
21 / 29

21話

しおりを挟む
 それから約2カ月後、脅されていた生徒たちは全て検挙され、かなりの数の生徒が停学処分を受けている中、長期休暇に入る前ということで全校生徒を集めてパーティが開かれることになった。

 主催者はなんとデヴィッド。あんな男が主催したパーティなんてボイコットしたいが、婚約者という立場上参加せざるを得ない。

「大丈夫かな……」

 私は会場に向かう中、大きな不安を抱えていた。

 その原因は、このパーティがゲームのストーリーには存在しなかったものだから。

 それだけでも怖いのに、いつもなら全てを教えてくれるエドワードが今回に限っては何も教えてくれなかったのが不安を助長させる。

「でも行くしかないんだよね」

 オリヴィア様なら、絶対にこのパーティに参加する。だから行かないと。

「あ、オリヴィア様。こんにちは」

「こんにちは!」

 パーティ会場に着くと、ジュリアとフランチェスカが私に気付き、話しかけてくれた。

「こんにちは、2人とも」

「今日からしばらくは会うことが出来なくなってしまうので、その分お話しましょう!」

 とフランチェスカが笑顔で言う。めちゃくちゃ可愛い。

「そうね」

 それからしばらく3人で談笑し、マルゲリータが到着したタイミングで、前にデヴィッドが立った。今からパーティが始まるらしい。

「皆集まってくれて感謝する。主催者のデヴィッド・カスペールだ」

「今日を過ぎるとしばらく会えなくなる分、精一杯楽しんで欲しい」

「だがその前に話しておきたいことがある。それは現在停学処分になっている生徒が多数いることについてだな。理由は皆も良く知っているだろうが、ほぼ全員がここに居るマリー・クラインシュミットを虐めていたことが原因だ」

「別にいじめが発生すること自体に関しては学生が集まっている以上往々にしてあることは理解している。実際、卒業生の間でもそういう話があったことは聞いている」

「しかし、それはあくまでクラス単位のような、小さな範囲で起こっているもの。だが今回はそうではない。全校生徒に幅広く分布していた。常識的に考えてそんなことはありえない。つまり何者かの作為によるものではないか、と仮説を立てた」

「その結果、残念な事実が判明した。この一連の騒動は、我が婚約者であるオリヴィア・エヴァンスが起こしたものだと」

 デヴィッドが私を指差したことで、全員の視線が私に向かう。

 これ不味くない?断罪シーンは卒業パーティの時でしょ?まだ1年生の半分くらいしか終わってないよ!?エドワードさん!?!?!?

「オリヴィア様!?!?」

「違いますよね?」

 そんなことはあり得ないという表情で私を見るジュリアとフランチェスカ。騙しててごめんね。

 マルゲリータは特段驚いた様子を見せず、いつも通りだった。もしかすると知っていたのかもね。

「証拠はあるのですか?」

「ああ。停学になった生徒全員に確認を取った所、その内の5人程がお前に脅されたと自供した」

 あらら。でもまあそうよね。あれだけの人数がいれば正直に話せば王子から支援金を貰えるかもって考える馬鹿もいるよね。

「自供、ですか。名誉を守るために口からでまかせを言っただけでは?」

 一応この時点では確定にはならない。まあ他にちゃんとした証拠でも用意しているだろうけど。

「まだ言い逃れをするか。では別角度の話をしよう。最近台頭したルヴェール商会に聞き覚えはあるか?」

「はい。サラトガ商会のシェアを奪ったとか」

 ここは別に嘘をつく必要は無い。

「そのルヴェール商会に多額の支援金を与え、使用人伝手に商売の指導をしているそうだな」

 何故それを知っているのだろう。エドワードがそんなミスをするとは思えないのだけれど。もしかしてあの盗賊かな?

「それが何に繋がるのですか?」

 正解が分からないので曖昧に答えておこう。

「現在停学になっている生徒は、サラトガ商会の凋落で経済的に困窮した者達だけだ」

 賄賂をしていたって話はしないのね。まあいいけど。

「私はマリーを貶めるためだけにサラトガ商会を凋落させ、手駒を作ったと。凄く壮大な物語ですね」

「ああ。私もこの結論に行きついた時には唖然としたよ。まさかそこまでするとはな」

「私の否定の言葉を聞き入れる気はないようですね」

「勿論だ」

 終わっているよこの人。なんでメイン攻略対象になれたんだろう。

「オリヴィア様がそんなことをするわけがありません!」

「そうです!」

「フランチェスカ、ジュリア。やめておきなさい。あなた達の立場が悪くなるわ」

 場の空気を遮ってでも私を庇ってくれた二人を諫めた。これで二人の立場が悪くなるのはとても心苦しいから。

「どうやらクラスメイトの皆は私の事を信じてくれているのね。ありがとう」

 周囲を見渡すと、クラスメイトだけは私の事を心配そうに見てくれていた。

「で、結論はなんでしょう?」

 予定よりも2年以上早い気はするけれど、どの道こうなることは覚悟していたからね。別に怖くない。

「私とオリヴィア・エヴァンスの婚約を破棄。そしてお前を収賄、脅迫の罪で投獄する!」

 どこからともなくやってきた王族の騎士に身柄を拘束され、王宮の地下にある牢へと連れていかれた。

「入れ」

 私は騎士の手で乱雑に牢の中に放り出された。

 一応貴族なんだから丁重に扱ってほしいわ。

 壁はレンガで出来ており、窓はない。床は冷たい石で、毛布のような設備は一切ない。

 明かりは鉄格子の奥にある小さなランタン一つのみ。

「絵に描いたような最低な牢獄ね」

 一番ヤバい牢獄を描いてくださいって聞いたら100人中70人位はこれを描くと思う。

「ただこの世界でこの牢獄は少々物足りないというかなんというか」

 一応手錠で拘束されているけれど、普通に魔法が使えるので逃げようと思えば逃げられそうなのよね。

「でもしばらくはここに居た方が良いよね」

 エドワードが何も言わなかったってことは流れに身を任せろってことだろうし。

 というわけで私は土魔法で良い感じにふかふかなベッドを錬成した。

「寝て待っていたら何か来るでしょ」



「何?」

 私は眠りにつきかけた矢先、爆発音によって目を覚ました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

処理中です...