最推しの悪役令嬢に転生した私は悪事だってやってみせます!

僧侶A

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22話

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「外で何か異常事態でも起こっているのかな」

 私は魔法で外の様子を見てみることに。

「どういうこと!?」

 宮廷に見知らぬ旗を持った大量の兵士が押し寄せており、大砲を使って王宮を攻撃していた。

「ここって国のど真ん中だよね?なんで攻め込まれているの?」

 他国から攻められたって情報なんてなかったけど。進軍早すぎない?端から結構距離あるよ?

「キャッ!」

 そんなことを考えている間にも大砲はどんどんと打ち込まれている。

 地下とは言っても流石に危なくない?

「逃げなきゃ」

 そう思い手錠を魔法で強引に切り落とし、鉄格子を破壊しようとしたタイミングで、

「行きますよ」

 エドワードが現れた。何故か女性もののドレスを着た状態で。

「え?」

 私は状況を呑み込めないままお姫様だっこされた。

「しっかり捕まっていてちょうだい」

「なんでそんな恰好で?ってちょっと!早い早い!」

 エドワードは私の質問に答えることは無く、ジェットコースターをも超える速度で牢屋を駆け抜け、外へと脱出した。

「ねえ、エドワード!!」

 外に出て壁にぶつかりそうな恐怖から脱したのも束の間、エドワードは空を飛んだ。

「ここまで来たら安全ね」

「いや、落ちたら死にますよこの高さ!ってエドワード?」

 超巨大な王宮が小さく見えるほどに高い位置を安全だと言ってのけたことよりも、何故かドレスを着ている事よりも、エドワード本人に対する違和感が勝った。

「どうしたのかしら?」

「口調が違うんだけど……」

 今までの丁寧な口調の使用人っぽいエドワードではない。誰?

「これでも気付いてくれないのは少し悲しいわね。絵川美咲さん」

 その瞬間、エドワードの顔がオリヴィア様の顔に変化した。

「え?」

 いや、エドワードがオリヴィア様の顔に変わったのではない。

 私がエドワードの体でオリヴィア様の顔を見ているのだ。

 は?

「分かったかしら?」

 私、入れ替わってる!?

「えっと、もしかして……」

「そう。私はオリヴィア・エヴァンス本人よ」

「えええええええええ!?!?!?!?!?」

 え、うそ、どういうこと?つまり私はオリヴィア様を使用人として働かせていたの?何ならタメ口を使っていたの?無礼すぎないかな、私?

「私はまだしないといけないことがあるから、一旦安全な場所に連れていくわね」

 無事地面に降りた私は、オリヴィア様の体に戻された後、オリヴィア様が用意した家の中で待つように言われた。



 一周回ってとても冷静になった私はオリヴィア様が戻ってくるまでの3時間、ひたすら瞑想して待っていた。

「というわけで、説明をしましょうか」

「は、はい」

「まずエドワード・オリバーがオリヴィア・エヴァンスだったってことは理解できてる?」

「本当にオリヴィア様なんですか?」

 正直色んな思考や感情が渦巻いていて未だに理解できていない。

「そうよ。でなきゃ毎日あそこまで正確に指示が出来るわけないでしょ」

「言われてみれば」

 いくら完璧な指示書でもその日にどこまで授業が進んでいるか、どこで誰が当てられるかまで書けるわけがない。未来は知ったら変わるんだから。そもそもただの使用人にそこまで覚えさせるのは酷すぎる。

「この話は納得できたみたいね」

「はい、一応。次の質問なんですが、その体はどうしたんですか?」

 エドワードの肉体はどう見ても人間そのものだ。何者かの手によって作られた痕跡は無く、複製されたってことも無さそうだ。

「あなたが私の体を借りているのと同じように、私もこの体を借りているのよ」

「では本物のエドワードさんは?」

「数百年前に亡くなっているわ」

「でもめちゃくちゃ綺麗じゃないですか?」

 普通そんな体を使ったらゾンビかミイラみたいな見た目になるよね。

「体だけ蘇生させたのよ。非人道的だと思うかもしれないけれど、この体はコリンカ王国の建国者だから許してくれるわ」

「そんなことが出来るんですか?」

「美咲さんをこの世界に呼び出せるんだからそこら辺にある死体を綺麗にすることくらい出来ないわけないでしょ」

「確かにそうなんですかね?」

「そうよ」

 正直理解が及ばないけれど、オリヴィア様が言うのであれば事実だろう。

「でもどうしてそんなことを?てっきり私に役目を全て託したんだと」

 自分の魂が完全に消失してしまうから、私に代わりをやってもらうって話だと思ってた。

 でもオリヴィア様の魂が健在なら話が変わってくる。私、要らなくない?

「貴族の誰にもバレないようにクーデターを起こすためよ。そのために美咲さんに私の体をあげて学校に行ってもらっていたの」

「クーデター!?!?」

 クーデターってあの国家を転覆させるヤバいやつだよね!?

 ってことはもしかしてあれをオリヴィア様が計画したの!?!?

「ええ、この国の貴族は腐りきっていたから。あなたもマリーへの対応やサラトガ商会の件を見ていたから何となく理解できるでしょう?」

「そうですね……」

 正直私が気の毒になる位マリーは散々な目にあっていたし、賄賂を贈っていた家庭はやたらと多かった。

「けれど王やその側近は改善を試みることすらなく、利益を貪り続けた。だから全てをひっくり返す必要があるの」

「全て、ですか?ではあの人たちは……?」

 確かに酷い貴族は多かったけれど、良い貴族も居た。私のクラスの皆とか、生徒会長とか。

「大丈夫、安心して頂戴。美咲さんが思っているような方々は新しい国でも丁重に扱う予定だから。私が潰すのは悪人だけよ」

「良かったです」

 いくらオリヴィア様の意思だとしても、あの人たちを失うのは嫌だった。

「後何か質問したいことはある?」

「どうして私を選んだんですか?」

 わざわざ地球から連れてくるという面倒な事をしなくてもこの世界に人間は沢山いるし、地球から選ぶにしても私よりも優れた人はいたと思う。

「私の事を好きで、私のお願いを何の文句も言わずに聞いてくれて、オリヴィア・エヴァンスの立ち振る舞いに理解がある女性であること」

「そして何より、私があなたの事を気に入っているからよ」

 正面に座っていたはずのオリヴィア様が突如消えて、背後から私の事を抱きしめた。

「え!?!?!?」

 オリヴィア様本人に抱きしめられたという事実で脳がバグってきた。えっと、私がオリヴィア様で、今私を抱きしめているのがオリヴィア様で、オリヴィア様が、オリヴィア様と?

「おっと、あなたはこちらの方が良いかしら」

 オリヴィア様はハグを解いた後、再びハグをしてきた。

「え、あ、その、えっと」

 私は今オリヴィア様にオリヴィア様の体でハグをされている。さっきまで私が使っていた体の筈なのに凄く柔らかいし良い香りがする。

 私、もう死んでも良いかも。

「というわけで美咲さん、私と結婚してくれるかしら?この国の姫として」

 オリヴィア様は私の耳元で優しく呟いた。こそばゆいけどとても幸せを感じます。

「は、はいぃぃぃ……」

 今の私に拒むという選択肢は端から存在していなかった。

「では行きましょうか」

 エドワードの体に戻ったオリヴィア様は、私をお姫様抱っこして王宮へと連れて行った。
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