~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A

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43話

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「あ!飛鳥兄ちゃん!久しぶり!!!」

「お兄ちゃんだ!!!!」

「隣のお姉さんは誰?」

「もしかして彼女?」

「飛鳥兄ちゃんはもう18歳だから彼女じゃなくて結婚相手じゃない?今日は挨拶に来たとか」

「兄ちゃんやるじゃん!こんな美人のお姉さんと結婚するなんて」

 部屋に入った俺たちに気づいた子供たちは、こちらに駆け寄ってきて勝手に見当違いな妄想をして盛り上がっていた。

「違うからね。彼女とか婚約者じゃなくて俺が入っているギルドのギルドマスターだからね。ごめんね、杏奈さん。子供たちが勝手なこと言って」

「別に構わないわ。小学校高学年の子たちはそういう妄想をしたくなりがちだろうから」

「え!?ギルドマスターなの!?飛鳥兄ちゃんと同じくらいの年なのに?」

「すげえ!!」

「そうよ、私は卯月杏奈。ここの男が所属する『Oct』のギルドマスターよ、今日はあなたたちとお話をしに来たの」

「『Oct』?何それ?」

「分かんない。でも、ギルドマスターだから凄いんじゃない?」

「そうだね。ねえギルドマスター!どうやったら強い探索者になれるの?」

「やっぱり探索者って儲かるの?」

「戦ってるところ生で見たい!!」

 子供たちは俺と杏奈さんの関係よりも杏奈さんがギルドマスターということに意識が持っていかれたようで、そっち系の質問ばかりが飛び交っていた。

「そうね、まずは強い探索者になる方法からかしら——」

 そしてそんな子供たちの無邪気な質問に対し、丁寧に一つ一つ杏奈さんは答えていっていた。その時の表情はとても穏やかで、慈愛に満ち溢れたものだった。


 杏奈さんがそんな表情をしているのは意外だなと思いながら眺めていると、

「飛鳥兄じゃん、また戻ってきたの?」

 勉強部屋に向かおうとしていた亮に話しかけられた。

「うん、ちょっと用事があってね。しばらくしたら今日はそのまま帰る予定だよ」

「そうなんだ。今回はプラスの理由で来たみたいだね」

「今回は?」

「だって前戻ってきたときは死んだ魚の目してたじゃん。理由は知らないけど絶対良くない事があって戻ってきてたでしょ」

「バレてた……?」

「当然でしょ。何年一緒に居たと思っていたのさ」

「ああ……」

 ってことはあの時結構気遣われていたんだ……

「立ち直ったのならちょっと勉強教えてよ。そろそろ受験期だから」

「良いよ」

「じゃあ先に相談室に行ってて。美月も連れてくるから」

「オッケー。杏奈さん、ちょっと勉強教えに行ってくるから、何かあったら連絡して」

「分かったわ」

 杏奈さんに一言伝えた後、亮に渡された勉強道具を持って先に相談室へ向かった。


「久々に入ったな、相談室」

 相談室。一見進路相談だったり悩み事だったり重要な話をするための部屋みたいに聞こえるが、単なる勉強を教えあうための部屋である。

 じゃあ勉強部屋で良いだろという気もしなくもないのだけれど、一人で勉強するための勉強部屋と名前が被るからという微妙に納得しにくい理由で相談室と名づけられたらしい。

 そんな勉強するための部屋なので、当然受験生時代の俺も頻繁に使用していた。

「当然っちゃあ当然なんだろうけど、全く変わってないなあ」

 年季を感じるパイプ椅子が4つに真っ白で大きな机が一つ。そして扇風機が一つあった。

 夏は扇風機があったので大分マシだったが、冬は暖房設備等は当然無かったので凍えながら勉強したなあ。

 今思えば凄い環境で勉強していたなとは思う。手が悴んでシャーペンを持つ手がまともに動かない状態で勉強なんて普通出来ないよ。

 まあ今がその冬なんだけど。

「久しぶり、飛鳥!」

 受験生の頃を思い出して懐かしんでいると、背中を思いっきり叩かれた。

「美月、久しぶり」

 背中を叩いてきたのは如月美月。亮と同じ中学三年生で、亮と共に俺たちの在籍する高校を目指している。

 成績に関しては亮と比べてかなり高いものの、運動神経に難があったので弥生と同じように魔法使いの路線で強くなっていく予定らしい。

「元気にしていたみたいだね。前会った時よりもはるかに顔色が良いよ」

「やっぱりバレてたんだね」

「当然。小学生以下の子たちは気づいていなかったみたいだけど、私たちはそりゃあ気づくよ」

「と昔の話は良いんだ。勉強教えてよ。美月の教え方が死ぬほど下手なんだ」

「教えてもらっといて失礼じゃない?」

「数学で擬音ばっかり使ってくるような奴は教えるの下手だよ」

「分からない亮が馬鹿なのよ。もう少し分かろうとする努力をしなさい」

「じゃあ連立方程式の解き方をもう一回言ってみろよ」

「x同士とy同士をぎゅっとして、良い感じだった方をピッと取ってじゃない方にふぁさってしたらどっちかが出るでしょ?そしたら出た方をどっちかにズバンってしてぐるぐるしたら終わりだよ」

「ね?分からないでしょ、飛鳥兄」

「うん」

 弥生も説明に擬音が飛び交っていたけれど、流石に美月と比べるのは失礼なレベルだった。

 なんだかんだで弥生の教え方ってわかりやすかったし。

「ってことでお願いします」

「いいよ」

 それから俺は二人の勉強を見ることになった。

「ここはxが無いでしょ、だから——」

「ばねの元々の長さが10cmでしょ——」


 とは言っても事前に質問内容を用意しているわけがないので、そこまで二人から来た質問は無かった。

 そのため、

「ステータスが上がるってどんな感じなの?」

 途中から勉強関連ではなく探索者の話へと移り変わっていた。
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