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57話
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「三上!!!」
「ならば狙うのはっ!——」
謎の攻撃主の正体を探るべく指揮を取ろうと大声を出した教徒から順々に攻撃されており、ほぼ全員がどうするべきなのかを迷っている状況だった。
「今のうちに……」
教徒たちが完全に俺の方から視線をそらしている隙に、脱出することに成功した。
「何っ!行くぞ安城!他の奴らは隠れている者を探せ!」
俺が脱出して一旦距離を取ろうとしていたことに気付いた教徒は斧を持った安城という教徒を引き連れ、こちらを追ってきた。
「よし、二人だけなら……!」
残りの教徒が即座には駆けつけられない距離まで離れたのを見計らって俺は二人に向き直って戦闘態勢に入る。
20数人と同時に戦うのは流石に無理があったが、2人であればぎりぎりどうにかなるだろう。
「舐められたものだ」
「まあ、実際あの人数を1人で粘られていたんですから仕方ありません」
「そうだな。このモンスターは確かに強者だ。拘束することを目的にしていてはこちらがやられてしまう」
「ということは、完全に倒しきるということですね。良いのですか?」
「ここまでやられたんだ。教祖様も事情を理解して対処してくださるさ」
「それもそうですね。全力で行きましょう」
と二人が結論付けると、これまでと空気が一変した。殺気がびしびしと伝わってくるのだ。
どうやら、これまでは殺さないように最低限配慮してくれていたらしい。
「これは、犠牲なしでは切り抜けられないかも」
多少の被弾や傷に関しては必要経費と考えた方が良さそうだ。
だから、二人の攻撃を完全に無視して全力の一発を浴びせることだけに集中する。
一発や二発攻撃を食らったとしても、まずは一人確実に持っていくんだ。
というわけで槍を持っている方は無視し、一発の隙が大きそうな斧の方に狙いを定める。
「食らえ!!!」
先に射程の長い槍の方が攻撃を仕掛けてきたが、避けることも受け止めることもせず、真っすぐに突っ込む。
そのため脇腹に槍が思いっきり刺さってしまうが関係ない。無視して斧を振りかぶっていた方を全力でぶん殴る。
斧を持っていた方は勢いよく吹き飛ばされ、50mくらい先にあったマンションの壁に衝突してそのまま地面に落下していた。あの様子だと完全に戦闘不能になっただろう。
「安城はやられたが、その傷ではまともに戦えないはずだ」
槍の教徒は今が好機と見たか、高速の突きを連続で放ってきた。
まだ二発くらいなら余裕だったが、流石にこの量の攻撃を全て食らうわけには行かなかったので距離を取った。
「それではこれはどうだ!?」
俺に迫りながらの連続攻撃は流石に疲れたのか、突きは諦めて槍をぶんぶんと薙ぎ払い始めた。
「それなら!」
一発の威力で考えるとこちらの方が高いのだが、これは連続で食らう心配が無いタイプの攻撃だ。
俺は再度正面から突っ込み、飛んでくる攻撃を右手でガードして教徒を左手でぶん殴った。
そして槍の教徒も斧の方と同じようにどこかのマンションの壁に激突していた。
「杏奈さんには悪いけれど、一旦休ませてもらおうかな」
腹の傷の痛みが治まるまで教徒から隠れて休むことにした。
「よし、行こう」
5分ほど休憩し、戦闘に戻ろうと再び屋根に飛び移り、教徒がどこにいるか確認しようとしたのだが、
「戦闘音が一切聞こえない……?」
まさか、杏奈さんがやられてしまった!?!?
俺は急いで家の近くで戦っているであろう杏奈さんの元へ向かった。
「遅かったわね。終わったのかしら?」
そして家の前に到着したら、地面に倒れ伏している教徒と缶ジュースを呑気に飲んでいる杏奈さんの姿が。
「いや、途中で教徒を狙って攻撃した相手を探しにどこかに行ったんだよ。杏奈さんの方は全部一人で?」
「当然よ。たった3人程度倒せないわけがないでしょ」
「一応Aランクなんだけど……」
いくら杏奈さんの戦闘能力が卓越していたとしても、完全に無傷で同ランクの相手を倒すのはおかしいと思います。
「地神教の教徒は対モンスターに特化しすぎているから対人戦は壊滅的なのよ。本当に隙だらけだったわ」
「まあ、そうだね……」
実際に俺も薄々Aランクの割に弱いなあと思っていたけれど、そういうからくりがあったわけか。
まっとうなAランク探索者だったら二人同時に相手した瞬間に負けていただろうしね。
「で、その攻撃した相手ってのはどうなっているの?」
「分からない。そもそも敵なのか味方なのかも分からないし」
かなり強いってことは分かるけれど、地神教にわざわざ攻撃するような人材に心当たりがつかない。
『味方だぞ。まさか私の事を忘れたのか?』
誰だろうと考えていると、背後から声が聞こえてきた。
「まさか……!」
その反響する声は……!
『ああ、イザベル・ラ・ディアブロ。キサラギの友人だ』
「イザベルさん!!脱出できたんですか!!」
その正体はダークエルフのイザベルさんだった。
『ああ、ついに私に挑んでくるモンスターが現れてな。無事に交代してダンジョンから出る願いが叶った』
「ならば狙うのはっ!——」
謎の攻撃主の正体を探るべく指揮を取ろうと大声を出した教徒から順々に攻撃されており、ほぼ全員がどうするべきなのかを迷っている状況だった。
「今のうちに……」
教徒たちが完全に俺の方から視線をそらしている隙に、脱出することに成功した。
「何っ!行くぞ安城!他の奴らは隠れている者を探せ!」
俺が脱出して一旦距離を取ろうとしていたことに気付いた教徒は斧を持った安城という教徒を引き連れ、こちらを追ってきた。
「よし、二人だけなら……!」
残りの教徒が即座には駆けつけられない距離まで離れたのを見計らって俺は二人に向き直って戦闘態勢に入る。
20数人と同時に戦うのは流石に無理があったが、2人であればぎりぎりどうにかなるだろう。
「舐められたものだ」
「まあ、実際あの人数を1人で粘られていたんですから仕方ありません」
「そうだな。このモンスターは確かに強者だ。拘束することを目的にしていてはこちらがやられてしまう」
「ということは、完全に倒しきるということですね。良いのですか?」
「ここまでやられたんだ。教祖様も事情を理解して対処してくださるさ」
「それもそうですね。全力で行きましょう」
と二人が結論付けると、これまでと空気が一変した。殺気がびしびしと伝わってくるのだ。
どうやら、これまでは殺さないように最低限配慮してくれていたらしい。
「これは、犠牲なしでは切り抜けられないかも」
多少の被弾や傷に関しては必要経費と考えた方が良さそうだ。
だから、二人の攻撃を完全に無視して全力の一発を浴びせることだけに集中する。
一発や二発攻撃を食らったとしても、まずは一人確実に持っていくんだ。
というわけで槍を持っている方は無視し、一発の隙が大きそうな斧の方に狙いを定める。
「食らえ!!!」
先に射程の長い槍の方が攻撃を仕掛けてきたが、避けることも受け止めることもせず、真っすぐに突っ込む。
そのため脇腹に槍が思いっきり刺さってしまうが関係ない。無視して斧を振りかぶっていた方を全力でぶん殴る。
斧を持っていた方は勢いよく吹き飛ばされ、50mくらい先にあったマンションの壁に衝突してそのまま地面に落下していた。あの様子だと完全に戦闘不能になっただろう。
「安城はやられたが、その傷ではまともに戦えないはずだ」
槍の教徒は今が好機と見たか、高速の突きを連続で放ってきた。
まだ二発くらいなら余裕だったが、流石にこの量の攻撃を全て食らうわけには行かなかったので距離を取った。
「それではこれはどうだ!?」
俺に迫りながらの連続攻撃は流石に疲れたのか、突きは諦めて槍をぶんぶんと薙ぎ払い始めた。
「それなら!」
一発の威力で考えるとこちらの方が高いのだが、これは連続で食らう心配が無いタイプの攻撃だ。
俺は再度正面から突っ込み、飛んでくる攻撃を右手でガードして教徒を左手でぶん殴った。
そして槍の教徒も斧の方と同じようにどこかのマンションの壁に激突していた。
「杏奈さんには悪いけれど、一旦休ませてもらおうかな」
腹の傷の痛みが治まるまで教徒から隠れて休むことにした。
「よし、行こう」
5分ほど休憩し、戦闘に戻ろうと再び屋根に飛び移り、教徒がどこにいるか確認しようとしたのだが、
「戦闘音が一切聞こえない……?」
まさか、杏奈さんがやられてしまった!?!?
俺は急いで家の近くで戦っているであろう杏奈さんの元へ向かった。
「遅かったわね。終わったのかしら?」
そして家の前に到着したら、地面に倒れ伏している教徒と缶ジュースを呑気に飲んでいる杏奈さんの姿が。
「いや、途中で教徒を狙って攻撃した相手を探しにどこかに行ったんだよ。杏奈さんの方は全部一人で?」
「当然よ。たった3人程度倒せないわけがないでしょ」
「一応Aランクなんだけど……」
いくら杏奈さんの戦闘能力が卓越していたとしても、完全に無傷で同ランクの相手を倒すのはおかしいと思います。
「地神教の教徒は対モンスターに特化しすぎているから対人戦は壊滅的なのよ。本当に隙だらけだったわ」
「まあ、そうだね……」
実際に俺も薄々Aランクの割に弱いなあと思っていたけれど、そういうからくりがあったわけか。
まっとうなAランク探索者だったら二人同時に相手した瞬間に負けていただろうしね。
「で、その攻撃した相手ってのはどうなっているの?」
「分からない。そもそも敵なのか味方なのかも分からないし」
かなり強いってことは分かるけれど、地神教にわざわざ攻撃するような人材に心当たりがつかない。
『味方だぞ。まさか私の事を忘れたのか?』
誰だろうと考えていると、背後から声が聞こえてきた。
「まさか……!」
その反響する声は……!
『ああ、イザベル・ラ・ディアブロ。キサラギの友人だ』
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