1 / 1
媚を売りたい
しおりを挟む俺は今重大な危機に瀕している。学生生活最大の危機といってもいい。
何故なら、転校生のせいである。
彼がただの転校生なら良かった。しかしそうではない。
イケメンでハイスペックで性格も素晴らしい天に二物どころではない数を捧げられている男だった。
別にいい奴なら問題ないだろって?
いや、大問題だ。これは俺の能力が影響している。
俺の能力は1日の初めに自分が指定した10人の私への好感度、すなわち株の高さの合計が強さに直結するのだ。
だからこそこんな奴が来たら全ての株を持っていかれる。
日々クラスの人気者となるために見た目を整え、多くの人間と交流を積極的に高め、好感度を得るために率先して慈善活動などにも勤しんでいる。
他にも色々と好感度を上げるために努力したのだ。
その全てをこいつにかっさらわれそうになっているのだ。
積み上げて来た株価は大きく下がることはないだろうがこいつがいると上がる可能性が殆ど消え失せる。
徐々に下がり続け、力を失った結果人気も0になる。そんな未来が目に見えている。
全員が何かしらの能力を持っているこの学校では力は権力である。
私は色々と画策することにした。
まずは転校生にバトルを挑む。まだ力が残っているうちに俺の方が強いことを示さなければ。
転校生の能力は炎と氷を同時に操る能力。本当に主人公みたいなカッコいい能力してるなあ。
しかし株価が今は高いままのため余裕だ。力で押していける。氷はパンチで粉砕し、炎は風圧で消し去る。じわじわと距離を詰めていって直接攻撃でKOだ。
こんなことしなくても高速で躱して瞬殺も可能だ。しかし勝負の見栄えを良くすることも人気を上げるためのパフォーマンスの一つだ。圧倒的なパワーで能力を真正面から突破する姿の方がカッコいいはず。
終わった後転校生は握手を求めてきた。「君はとても強いね。全く歯が立たなかったよ」と褒めてきた。こいつからの好感度は上がったようだ。
しかし周囲の人間は俺よりも転校生の好感度が上がったようだ。
結局失敗に終わったか⋯⋯
しかし諦めるわけにはいかない俺は転校生のやりそうな好感度が上がるイベントを先回りして俺が済ませておくなど、好感度をこれ以上上げさせないように工作をした。
結果的に俺の好感度はあまり上がらなかったが、転校生の好感度もあまり上げさせずに済んだ。
イケメンってだけで好感度上がるの反則だろ。ここに関しては本当にどうしようもなかった。
今では転校生と俺は大親友と自他共に認めるほどの仲になったが、これに関しては死活問題なんだ。
それから少し経った頃、クラスメイトの女子10名を選んだらありえないくらいに株価が上がっていた。他の組み合わせのほぼ倍だ。
何が起こったのかと少しだけ探りを入れてみた。
そしたら判明したよ。
転校生×俺でカップリングが組まれていたってことが。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる