15 / 41
15話
しおりを挟む
「とりあえずこれからご飯作るつもりなんだけど、姉さんも食べる?」
「出前取らないのか?良い感じの所を何個か見繕ってきたんだが」
「それは有難いんだけど、お隣さんの分も作らないといけないから」
「お隣さん?」
「うん、実はね————」
事情を知らない姉さんにゆかりさんについての説明をした。
「そうか、流石だな」
何か文句でも言われるかなと思ったけれど、全くそんな事は無くただただ頭を撫でられた。
ちょっと幸せ。
「ありがと。で、姉さんは食べる?」
「勿論。弟の手料理なんて最高の贅沢品。絶対に食べたいに決まっているじゃないか」
「そっか、じゃあ出来るまでここで寛いでて」
「手伝わなくても良いのか?」
「大丈夫。いつも一人でやってるし、2人で分業できるほどキッチンは広くないから」
「そうか、ではありがたく寛がせてもらうぞ」
そう言って姉さんは一切の迷いなく俺のベッドに飛び込んだ。
その光景を見た俺は倫理観と欲望を戦わせた結果、欲望が勝ったので何も言わないことにした。
にしても天才が変わり者って本当なんだなあ。
どうして出会って2カ月足らずの義弟をここまで可愛がってくれるんだろう。
まあ血のつながった姉弟だったとしても過剰だけど。
「いやあ、寛げるなあ!」
なんか俺の枕を抱き枕みたいに強く抱きしめながら言っているよ。
「考えるだけ無駄だわ」
料理しよ料理。
元々夕食は二人分の食材しか買ってこなかったので、朝食分に買ってきた分も使って強引に3人分の夕食に仕立て上げた。
朝食分が足りなくなったら買い足すだけだからね。
「出来た」
一人暮らし用の道具で三人前が作れるかは怪しかったけれど、意外となんとかなるもんだ。
「おお!世界一美味しそうだ!」
「せめて見てから言ってくれないかな」
料理している間ベッドから一時たりとも出ていないでしょうが。
「匂いで分かる!」
「さいですか」
確かに今回の料理は良い匂いだとは思うけどさ。
「じゃあ早速食べに行こうではないか!行くぞ!」
食べるのが待ちきれないらしく、俺を急かしてきた。
「分かったよ」
「こんばんは」
「こんばんは~渚君、とそこの美人さんは?」
「私は渚の姉である春川京だ!よろしく!」
「ああ、お姉さんね。はじめまして、菅原ゆかりって言います」
「ではゆかりさん、早速お邪魔しても良いか?」
「勿論。渚君のお姉さんならいつでも歓迎しますよ」
「そうか!では!」
かなりタイプが異なる2人だが、特に喧嘩することも無さそうで良かった。
「「「いただきます」」」
そして机を用意し、そのまま夕食を食べ始めた。
「美味い!!!」
「渚くんの作る料理だからね。やっぱり美味しいよ」
「それは良かったです」
朝食用の食材を無理やり使った関係で、半分くらいが即興で考えたものだったので少し不安はあったけれど、好評みたいで良かった。
「こんな素晴らしい料理を毎日食べられるゆかりは幸せ者だな!」
「姉さん、恥ずかしいからやめて」
友達が言うならともかく、家族が言っちゃうと恩の押し売りみたいになっちゃうから。
「本当に幸せ者だよね。ねえ京さん、弟君を私にいただけませんか?」
「駄目に決まってるだろ!弟はどこにもやらんぞ!!!!」
「姉さん、それは娘に言う奴だよ。そしてゆかりさん、そんな冗談は言わないでください」
勘違いで舞い上がってしまうじゃないか。
そういう美人のお姉さんの一言で人生が狂ってしまう人が居るんですよ。自分の発言には気を付けてください。
「あらら、振られちゃった。別に冗談ってわけじゃなかったのに~」
「え?」
勘違いではなかった?
「私専属の料理人としてずっと一緒に居て欲しいなあって」
「ああ、そういうことですか」
普通に勘違いでした。
「それでも駄目に決まっているだろう。専属の料理人になってもらうなら私以外ありえない。なあ弟よ」
そう言って京はその豊満な胸で抱きしめてくる。
「ご飯を食べている間は抱き着かないで。危ないから」
普通の力なら問題無いかもしれないけど、姉さんの力が強すぎるのでフォークとか箸を巻き込んだ際にワンチャン死ぬ恐れがある。
「おっと、すまない」
流石に弟の危険は案じてくれるようで、すぐに開放してくれた。
「二人とも仲良いね~。でもなんか姉弟っぽくはないような気がする」
そんな俺たちの様子を微笑ましそうに見つつ、やたら鋭い感想を述べた。
「割と最近姉弟になれたばかりだからな。そう思っても仕方ない」
「親の再婚ってこと?」
「そういうことだ。姉弟歴はまだ2カ月足らずだ」
「そうなんだ~」
「羨ましいだろう?ゆかりよ!」
「そうだね~」
割と驚きの事実だった気がするのだけれど、ゆかりさんは明日の天気を聞いた時くらいのリアクションだった。
「ごちそうさま、2人は今の内に朝食の食材を買ってくるから食べてて」
2人が話している間にご飯を食べきった俺は、そのまま食材を買いに行くことにした。今の様子を見る限り喧嘩することは無いだろうしね。
買い物を済ませ、自分の家に食材を詰め込んだ後ゆかりさんの家に戻る。
「戻りました~」
俺が居ない間に男が入ってはいけない状況になっていたら不味いので、そこそこ声を張った。
反応は無かったが、姉さんの大きな笑い声が聞こえてくる。多分この笑い声なら健全な状態だと思う。
ゆっくりと扉を開くと、
「出前取らないのか?良い感じの所を何個か見繕ってきたんだが」
「それは有難いんだけど、お隣さんの分も作らないといけないから」
「お隣さん?」
「うん、実はね————」
事情を知らない姉さんにゆかりさんについての説明をした。
「そうか、流石だな」
何か文句でも言われるかなと思ったけれど、全くそんな事は無くただただ頭を撫でられた。
ちょっと幸せ。
「ありがと。で、姉さんは食べる?」
「勿論。弟の手料理なんて最高の贅沢品。絶対に食べたいに決まっているじゃないか」
「そっか、じゃあ出来るまでここで寛いでて」
「手伝わなくても良いのか?」
「大丈夫。いつも一人でやってるし、2人で分業できるほどキッチンは広くないから」
「そうか、ではありがたく寛がせてもらうぞ」
そう言って姉さんは一切の迷いなく俺のベッドに飛び込んだ。
その光景を見た俺は倫理観と欲望を戦わせた結果、欲望が勝ったので何も言わないことにした。
にしても天才が変わり者って本当なんだなあ。
どうして出会って2カ月足らずの義弟をここまで可愛がってくれるんだろう。
まあ血のつながった姉弟だったとしても過剰だけど。
「いやあ、寛げるなあ!」
なんか俺の枕を抱き枕みたいに強く抱きしめながら言っているよ。
「考えるだけ無駄だわ」
料理しよ料理。
元々夕食は二人分の食材しか買ってこなかったので、朝食分に買ってきた分も使って強引に3人分の夕食に仕立て上げた。
朝食分が足りなくなったら買い足すだけだからね。
「出来た」
一人暮らし用の道具で三人前が作れるかは怪しかったけれど、意外となんとかなるもんだ。
「おお!世界一美味しそうだ!」
「せめて見てから言ってくれないかな」
料理している間ベッドから一時たりとも出ていないでしょうが。
「匂いで分かる!」
「さいですか」
確かに今回の料理は良い匂いだとは思うけどさ。
「じゃあ早速食べに行こうではないか!行くぞ!」
食べるのが待ちきれないらしく、俺を急かしてきた。
「分かったよ」
「こんばんは」
「こんばんは~渚君、とそこの美人さんは?」
「私は渚の姉である春川京だ!よろしく!」
「ああ、お姉さんね。はじめまして、菅原ゆかりって言います」
「ではゆかりさん、早速お邪魔しても良いか?」
「勿論。渚君のお姉さんならいつでも歓迎しますよ」
「そうか!では!」
かなりタイプが異なる2人だが、特に喧嘩することも無さそうで良かった。
「「「いただきます」」」
そして机を用意し、そのまま夕食を食べ始めた。
「美味い!!!」
「渚くんの作る料理だからね。やっぱり美味しいよ」
「それは良かったです」
朝食用の食材を無理やり使った関係で、半分くらいが即興で考えたものだったので少し不安はあったけれど、好評みたいで良かった。
「こんな素晴らしい料理を毎日食べられるゆかりは幸せ者だな!」
「姉さん、恥ずかしいからやめて」
友達が言うならともかく、家族が言っちゃうと恩の押し売りみたいになっちゃうから。
「本当に幸せ者だよね。ねえ京さん、弟君を私にいただけませんか?」
「駄目に決まってるだろ!弟はどこにもやらんぞ!!!!」
「姉さん、それは娘に言う奴だよ。そしてゆかりさん、そんな冗談は言わないでください」
勘違いで舞い上がってしまうじゃないか。
そういう美人のお姉さんの一言で人生が狂ってしまう人が居るんですよ。自分の発言には気を付けてください。
「あらら、振られちゃった。別に冗談ってわけじゃなかったのに~」
「え?」
勘違いではなかった?
「私専属の料理人としてずっと一緒に居て欲しいなあって」
「ああ、そういうことですか」
普通に勘違いでした。
「それでも駄目に決まっているだろう。専属の料理人になってもらうなら私以外ありえない。なあ弟よ」
そう言って京はその豊満な胸で抱きしめてくる。
「ご飯を食べている間は抱き着かないで。危ないから」
普通の力なら問題無いかもしれないけど、姉さんの力が強すぎるのでフォークとか箸を巻き込んだ際にワンチャン死ぬ恐れがある。
「おっと、すまない」
流石に弟の危険は案じてくれるようで、すぐに開放してくれた。
「二人とも仲良いね~。でもなんか姉弟っぽくはないような気がする」
そんな俺たちの様子を微笑ましそうに見つつ、やたら鋭い感想を述べた。
「割と最近姉弟になれたばかりだからな。そう思っても仕方ない」
「親の再婚ってこと?」
「そういうことだ。姉弟歴はまだ2カ月足らずだ」
「そうなんだ~」
「羨ましいだろう?ゆかりよ!」
「そうだね~」
割と驚きの事実だった気がするのだけれど、ゆかりさんは明日の天気を聞いた時くらいのリアクションだった。
「ごちそうさま、2人は今の内に朝食の食材を買ってくるから食べてて」
2人が話している間にご飯を食べきった俺は、そのまま食材を買いに行くことにした。今の様子を見る限り喧嘩することは無いだろうしね。
買い物を済ませ、自分の家に食材を詰め込んだ後ゆかりさんの家に戻る。
「戻りました~」
俺が居ない間に男が入ってはいけない状況になっていたら不味いので、そこそこ声を張った。
反応は無かったが、姉さんの大きな笑い声が聞こえてくる。多分この笑い声なら健全な状態だと思う。
ゆっくりと扉を開くと、
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
侵略国家の皇女に転生しましたが他国へと追放されたので祖国を懲らしめます
think
恋愛
日本から転生を果たした普通の女性、橘美紀は侵略国家の皇女として生まれ変わった。
敵味方問わず多くの兵士が死んでいく現状を変えたいと願ったが、父によって他国へと嫁がされてしまう。
ならばと彼女は祖国を懲らしめるために嫁いだ国スイレース王国の王子とともに逆襲することにしました。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?
きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる