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16話
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「中々見る目があるな!その観点は無かったぞ!」
「姉弟では無いけど接する機会は多いからね~」
何故か二人は肩を組んで笑いあっていた。
「帰ってきたか!弟よ!」
「お帰り、渚くん」
「何があったの?」
姉さんは他人に対する距離がやたら近い事は知っているけれど、買い物に行って帰ってくる程度の時間でこうはならないでしょ。
「弟が居なくなったことだし、折角だからと弟について語り合うことにしたんだ。そしたら存外盛り上がってな!」
「渚くんの面白い話を聞けて楽しかったよ。いやあ、まさか、ねえ」
「何の話ですか。姉さん、何話したの」
「それは秘密だな」
「ええ……」
まあ話せる内容はここ2カ月の間に起きた事だろうから別に良いけどさ。多分大した内容じゃないし。
「まあいいや、2人とも食べ終わったみたいだけどどうする?」
いつもならそのまま帰って終わりだけど、姉さんとゆかりさんの会話が盛り上がっているのなら邪魔するのもアレだし。
「そうだな、流石に長居するのも迷惑だしお暇した方が良いだろう。医学部は勉強が大変だろうしな」
「別にそこまで気を使わなくても大丈夫だけど、ありがとう。っていうか私の学部知ってたんだね。渚くんが教えたの?」
「いや、教えてないけど。姉さん、どうして知っているの?」
俺が伝えたのはあくまで大学生ってことだけで、そこまで細かい話はしていない。
「東央大学の生徒として、全校生徒の顔と名前は全員把握しているだけだが」
「高校の生徒会長とかじゃないんだから」
高校とか中学ならまだともかくとして、大学は無理でしょ。確かあそこ3万人位居たでしょ。
姉さんなら出来なくも無いだろうけど、そんな事する意味ないでしょ。
「流石我が弟。洞察力に優れているな」
「いや、この程度誰でも分かるよ」
何を言ってるんだこの人は。
「まあ、普通同級生までしか覚えないからな。それはさておき、ゆかりは東央大学でちょっとした有名人なんだ。だから以前から知っていたのだよ」
「有名人?」
言い方的に同級生は覚えているっぽいけど、ツッコむのが面倒なので無視することにした。
「ああ。あの医学部に芸能人ですら敵わないレベルの美女が入ってきたと話題になっていてな。弟にピッタリな女性じゃないかと思って以前調べた事があったのだ」
何してるのこの人。
「そんな事があったんだ。ってかそれなら何でさっきゆかりさんが俺を貰うって話を全力で否定したのさ」
この人がお眼鏡に敵わないなんて話は無いでしょうに。
「いや、いざ面と向かって言われるとな。可愛い弟を誰にも渡したくないという気持ちが勝ってしまってつい」
「つい、じゃなくてね。まあそもそも何もかもがおかしいから関係ないんだけどさ。あとすいません、姉さんが知らない間に失礼な事をしていたみたいで」
「私自体には迷惑かかってないし、渚くんのお姉さんだから別に謝らなくても良いかな。それよりも私って有名人なの?」
本当にゆかりさんが寛大な人で良かった。そしてそこまでの評判になっていたらしいのに気づいていなかったのか。
まあゆかりさんだし気付かないか。
「私はそう聞いているぞ。ゆかりが授業に来るお陰で医学部1回生の出席率は例年よりも高く、逆に他学部の生徒はゆかりを見るために授業に忍び込んでいるせいで出席率が例年以下になっているとか」
「あ~だから。確かに聞いていた話よりも授業を受けている人が多いな~って思っていたんだよね」
ゆかりさん、もう少し危機感を持ってください。結構な大事件だよこれ。
「東央大学って一応日本一の大学だよね?」
荒れまくった高校とかならまだ分かるけど、日本一優秀な人が集まるとされる大学だよね?
「大学は高校と違ってどの授業を受けようが、勝手な理由で授業を休もうがルール上は問題ないからな。それに、いくら優秀な人が集まったとしても所詮はただの人だ。美人が居たら気になるし、渚を見たら好きになる」
「最後の一言はよくわからないけど、そんなもんなんだね」
「そういうことだ」
なるほど、なら別に東央大学に行ったところで一歩引かれるとかは無いのかも……?
「ねえ、じゃあ京さんの場合も似たような状況だったんじゃないの?凄く美人だし」
変なことを考えていると、ゆかりさんがそんな事を言い出した。
言われてみればそうである。なんなら姉さんの方が性格面も含めて目立ちそうだ。派手だし。
下手したら姉さんを見に集まった人達による暴動とか起きているんじゃないだろうか。
「ああ、私の場合は初回授業とテストの時以外は基本学校に行かないからな。そもそも私が東央大学の生徒だと認識している人自体が少ないんじゃないか?」
「え?それで卒業できるの?」
いくら姉さんが凄かったとしても、ルールを超越することは出来ないよね。
「問題ない。私が居る学部は基本的にテスト100%の授業しかないからな」
「そんな学部ってあるの?」
いくら姉さんの言葉とはいえ、余りにも常識を超えた発言なのでゆかりさんに裏を取ってみる。
「詳しくは知らないけど、そういう学部が何個かあるって聞いたことあるよ。でもその分難易度が凄く高いから結局皆授業に出ているらしいけど」
「あるんだ」
「そもそも私が弟に嘘を言うわけがないだろう」
「さっき嘘ついたばかりでしょ」
自分の発言に少しくらいは責任を持ってくれ。
「あはは、これは一本取られたな」
「なにがだよ」
取る一本が存在していなかったんですが。
「姉弟では無いけど接する機会は多いからね~」
何故か二人は肩を組んで笑いあっていた。
「帰ってきたか!弟よ!」
「お帰り、渚くん」
「何があったの?」
姉さんは他人に対する距離がやたら近い事は知っているけれど、買い物に行って帰ってくる程度の時間でこうはならないでしょ。
「弟が居なくなったことだし、折角だからと弟について語り合うことにしたんだ。そしたら存外盛り上がってな!」
「渚くんの面白い話を聞けて楽しかったよ。いやあ、まさか、ねえ」
「何の話ですか。姉さん、何話したの」
「それは秘密だな」
「ええ……」
まあ話せる内容はここ2カ月の間に起きた事だろうから別に良いけどさ。多分大した内容じゃないし。
「まあいいや、2人とも食べ終わったみたいだけどどうする?」
いつもならそのまま帰って終わりだけど、姉さんとゆかりさんの会話が盛り上がっているのなら邪魔するのもアレだし。
「そうだな、流石に長居するのも迷惑だしお暇した方が良いだろう。医学部は勉強が大変だろうしな」
「別にそこまで気を使わなくても大丈夫だけど、ありがとう。っていうか私の学部知ってたんだね。渚くんが教えたの?」
「いや、教えてないけど。姉さん、どうして知っているの?」
俺が伝えたのはあくまで大学生ってことだけで、そこまで細かい話はしていない。
「東央大学の生徒として、全校生徒の顔と名前は全員把握しているだけだが」
「高校の生徒会長とかじゃないんだから」
高校とか中学ならまだともかくとして、大学は無理でしょ。確かあそこ3万人位居たでしょ。
姉さんなら出来なくも無いだろうけど、そんな事する意味ないでしょ。
「流石我が弟。洞察力に優れているな」
「いや、この程度誰でも分かるよ」
何を言ってるんだこの人は。
「まあ、普通同級生までしか覚えないからな。それはさておき、ゆかりは東央大学でちょっとした有名人なんだ。だから以前から知っていたのだよ」
「有名人?」
言い方的に同級生は覚えているっぽいけど、ツッコむのが面倒なので無視することにした。
「ああ。あの医学部に芸能人ですら敵わないレベルの美女が入ってきたと話題になっていてな。弟にピッタリな女性じゃないかと思って以前調べた事があったのだ」
何してるのこの人。
「そんな事があったんだ。ってかそれなら何でさっきゆかりさんが俺を貰うって話を全力で否定したのさ」
この人がお眼鏡に敵わないなんて話は無いでしょうに。
「いや、いざ面と向かって言われるとな。可愛い弟を誰にも渡したくないという気持ちが勝ってしまってつい」
「つい、じゃなくてね。まあそもそも何もかもがおかしいから関係ないんだけどさ。あとすいません、姉さんが知らない間に失礼な事をしていたみたいで」
「私自体には迷惑かかってないし、渚くんのお姉さんだから別に謝らなくても良いかな。それよりも私って有名人なの?」
本当にゆかりさんが寛大な人で良かった。そしてそこまでの評判になっていたらしいのに気づいていなかったのか。
まあゆかりさんだし気付かないか。
「私はそう聞いているぞ。ゆかりが授業に来るお陰で医学部1回生の出席率は例年よりも高く、逆に他学部の生徒はゆかりを見るために授業に忍び込んでいるせいで出席率が例年以下になっているとか」
「あ~だから。確かに聞いていた話よりも授業を受けている人が多いな~って思っていたんだよね」
ゆかりさん、もう少し危機感を持ってください。結構な大事件だよこれ。
「東央大学って一応日本一の大学だよね?」
荒れまくった高校とかならまだ分かるけど、日本一優秀な人が集まるとされる大学だよね?
「大学は高校と違ってどの授業を受けようが、勝手な理由で授業を休もうがルール上は問題ないからな。それに、いくら優秀な人が集まったとしても所詮はただの人だ。美人が居たら気になるし、渚を見たら好きになる」
「最後の一言はよくわからないけど、そんなもんなんだね」
「そういうことだ」
なるほど、なら別に東央大学に行ったところで一歩引かれるとかは無いのかも……?
「ねえ、じゃあ京さんの場合も似たような状況だったんじゃないの?凄く美人だし」
変なことを考えていると、ゆかりさんがそんな事を言い出した。
言われてみればそうである。なんなら姉さんの方が性格面も含めて目立ちそうだ。派手だし。
下手したら姉さんを見に集まった人達による暴動とか起きているんじゃないだろうか。
「ああ、私の場合は初回授業とテストの時以外は基本学校に行かないからな。そもそも私が東央大学の生徒だと認識している人自体が少ないんじゃないか?」
「え?それで卒業できるの?」
いくら姉さんが凄かったとしても、ルールを超越することは出来ないよね。
「問題ない。私が居る学部は基本的にテスト100%の授業しかないからな」
「そんな学部ってあるの?」
いくら姉さんの言葉とはいえ、余りにも常識を超えた発言なのでゆかりさんに裏を取ってみる。
「詳しくは知らないけど、そういう学部が何個かあるって聞いたことあるよ。でもその分難易度が凄く高いから結局皆授業に出ているらしいけど」
「あるんだ」
「そもそも私が弟に嘘を言うわけがないだろう」
「さっき嘘ついたばかりでしょ」
自分の発言に少しくらいは責任を持ってくれ。
「あはは、これは一本取られたな」
「なにがだよ」
取る一本が存在していなかったんですが。
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