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27話
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「まさか起きたら渚君が寝ているとは思わなかった」
と語るのは森園さん。寝ていたせいか綺麗なセミロングの髪が少しぼさぼさしている。これはこれで家庭感を感じられて良いな。
「渚くんが隙を見せるのって中々無いから思わず眺めちゃってたよ」
とぽわぽわした雰囲気で話すのは江藤さん。
「そんなに隙って無かったですか?」
全てのリソースを姉への奉仕活動に費やしている為、結構抜けている事は多いと思っているんだけど。
「うん。仕事は真面目な上に完璧だし、泥酔していた私達を的確に介抱するし、どんな絡み方をしても普通に受け入れてくれるじゃん」
「あまり自覚無いですね……」
しまった!!!
義母さんの為に完璧な仕事をお届けしようと意識しすぎて弟ということの自覚が薄れていた。
姉>弟の等式を成り立たせるためにも、分かりやすい綻びを見せつけなきゃならなかったのに……
「ただ、寝ている渚君を見ていてやっぱり人だし、年相応なんだなって思ったよ」
そう言って俺の頭を撫でてくる国崎さん。僕は今凄く幸せです。
「撫でないでくださいよ。もう高校生ですよ。義務教育は終了したんですよ」
人によってはもう社会に出て一人で働いている人もいる年齢なのだ。と理性で否定する。これを受け入れるのは男子高校生としては少々変だから。
正直もっとやって欲しいけど。
頭は撫でられ得です。姉に撫でられるだけ幸せになれるんです。多分これで商売できると思う。
「可愛いねえ」
「まさかこういう一面もあるんだね。顔を赤くしてさ」
俺が興奮で顔を真っ赤にしたのを、照れたからだと勘違いしてくれた江藤さんと次葉先生は、俺の髪で静電気を発生させる勢いでわしゃわしゃと頭を撫でてくれた。
「そうじゃないんですけど……」
俺は表向きには諦めた表情をしつつ、この幸せな施しを内心ウッキウキで受け入れた。
その後、普通に解散となったのでそのまま家に帰った俺は、ゆかりさんに今日は夕食を作れないと謝罪の連絡を入れ、そのままベッドで横になった。
「良かったけど疲れた……」
土曜と日曜、どちらのイベントも確かに最高の結果が待っていたのは事実だが、それに至る前に余りにもヘビーな出来事が重なりすぎた。
20㎏を超える荷物を持たされる買い物に、泥酔した姉三人の介抱。いくら体力が満ち満ちていた俺も、生憎このダブルパンチを耐えきれるようには出来ていなかった。
これで月曜日から一週間を平穏無事に生きていけるだろうか。姉は俺の疲労度なんて関係なく関わってきてくれるからな。
とりあえず、今日は早めに寝るか。
着替えも風呂も済んでいなかったが、そのまま寝ることにしようとしたタイミングでピンポンとチャイムが鳴った。
「誰だろ」
こんな時間に家に来る人って誰か居たっけな……
とりあえず出なければ話が進まないので玄関に向かい、ドアを開ける。
「こんばんは、渚くん」
「ゆかりさん、どうしたんですか?」
すると玄関の前に居たのはゆかりさんだった。
「夕食を作れないって言ってたのに部屋の電気は付いていたから、何かあって疲れちゃったのかなって」
「よく分かりましたね」
友達とゲームをするからとか、家族が来るからとか色々考えられそうな理由はあったのに。
「自分が食べなくても、時間に余裕が無かったとしてもご飯を作ってくれていたから。じゃあそう言う事だろうって思うよ」
「かないませんね」
やはり弟は姉には一切嘘はつけないし、敵わないんだな。好き。
「というわけで、夕食食べた?」
「食べてないですね」
「なら、出前を取ってあるから一緒に食べよう」
「ゆかりさん……!」
あなたは神か!?いや、既に神だけどさ。本当にこれまで頑張ってきてよかった。
ゆかりさんが心配してくれたという事実だけであと30年くらいは頑張れそうです。
と語るのは森園さん。寝ていたせいか綺麗なセミロングの髪が少しぼさぼさしている。これはこれで家庭感を感じられて良いな。
「渚くんが隙を見せるのって中々無いから思わず眺めちゃってたよ」
とぽわぽわした雰囲気で話すのは江藤さん。
「そんなに隙って無かったですか?」
全てのリソースを姉への奉仕活動に費やしている為、結構抜けている事は多いと思っているんだけど。
「うん。仕事は真面目な上に完璧だし、泥酔していた私達を的確に介抱するし、どんな絡み方をしても普通に受け入れてくれるじゃん」
「あまり自覚無いですね……」
しまった!!!
義母さんの為に完璧な仕事をお届けしようと意識しすぎて弟ということの自覚が薄れていた。
姉>弟の等式を成り立たせるためにも、分かりやすい綻びを見せつけなきゃならなかったのに……
「ただ、寝ている渚君を見ていてやっぱり人だし、年相応なんだなって思ったよ」
そう言って俺の頭を撫でてくる国崎さん。僕は今凄く幸せです。
「撫でないでくださいよ。もう高校生ですよ。義務教育は終了したんですよ」
人によってはもう社会に出て一人で働いている人もいる年齢なのだ。と理性で否定する。これを受け入れるのは男子高校生としては少々変だから。
正直もっとやって欲しいけど。
頭は撫でられ得です。姉に撫でられるだけ幸せになれるんです。多分これで商売できると思う。
「可愛いねえ」
「まさかこういう一面もあるんだね。顔を赤くしてさ」
俺が興奮で顔を真っ赤にしたのを、照れたからだと勘違いしてくれた江藤さんと次葉先生は、俺の髪で静電気を発生させる勢いでわしゃわしゃと頭を撫でてくれた。
「そうじゃないんですけど……」
俺は表向きには諦めた表情をしつつ、この幸せな施しを内心ウッキウキで受け入れた。
その後、普通に解散となったのでそのまま家に帰った俺は、ゆかりさんに今日は夕食を作れないと謝罪の連絡を入れ、そのままベッドで横になった。
「良かったけど疲れた……」
土曜と日曜、どちらのイベントも確かに最高の結果が待っていたのは事実だが、それに至る前に余りにもヘビーな出来事が重なりすぎた。
20㎏を超える荷物を持たされる買い物に、泥酔した姉三人の介抱。いくら体力が満ち満ちていた俺も、生憎このダブルパンチを耐えきれるようには出来ていなかった。
これで月曜日から一週間を平穏無事に生きていけるだろうか。姉は俺の疲労度なんて関係なく関わってきてくれるからな。
とりあえず、今日は早めに寝るか。
着替えも風呂も済んでいなかったが、そのまま寝ることにしようとしたタイミングでピンポンとチャイムが鳴った。
「誰だろ」
こんな時間に家に来る人って誰か居たっけな……
とりあえず出なければ話が進まないので玄関に向かい、ドアを開ける。
「こんばんは、渚くん」
「ゆかりさん、どうしたんですか?」
すると玄関の前に居たのはゆかりさんだった。
「夕食を作れないって言ってたのに部屋の電気は付いていたから、何かあって疲れちゃったのかなって」
「よく分かりましたね」
友達とゲームをするからとか、家族が来るからとか色々考えられそうな理由はあったのに。
「自分が食べなくても、時間に余裕が無かったとしてもご飯を作ってくれていたから。じゃあそう言う事だろうって思うよ」
「かないませんね」
やはり弟は姉には一切嘘はつけないし、敵わないんだな。好き。
「というわけで、夕食食べた?」
「食べてないですね」
「なら、出前を取ってあるから一緒に食べよう」
「ゆかりさん……!」
あなたは神か!?いや、既に神だけどさ。本当にこれまで頑張ってきてよかった。
ゆかりさんが心配してくれたという事実だけであと30年くらいは頑張れそうです。
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