6 / 25
6話
しおりを挟む
放課後、大と涼野は二人で帰ることに。
「じゃあね、二人とも」
「おう」
「また明日ね」
「じゃあな」
一旦お別れの挨拶をして、二人は教室から出て行った。
「ということでどうする?京」
「勿論!決まっているよね?」
ということで追跡任務が確定した。
「テレレレッテレー!GPS」
某青狸さながらの声で京が取り出したのは、いつも使っているスマートフォン。
「まさか…… 見損なったぞ」
犯人が目の前にいる女性だったとは……
「そんなわけないに決まっているでしょ!待ち合わせの為に入れているの!」
「世の女子高生ってそんなものなのか?」
「ん?そんなものじゃない?」
まあ同意の元だったらいいか……
涼野がその機能を結構前から切り忘れているらしく、普通に追跡が可能とのこと。
「じゃあ行こう!」
二人が出てからしばらく経った後に、俺たちも教室を出た。
「カップルで帰るところ悪いんだけど、青野君ちょっといいかな?」
「誰?」
「僕は1組の杉村薫だよ」
この人が杉村か。優男で評判の高い男だ。思っていたよりも背が高く、180㎝位あった。
「その杉村君が何の用で?」
「ちょっと聞かないといけないことがあってね」
今日は京と帰ること自体がメインじゃないし、見張りは京だけで十分か。
「じゃあ今日は先に帰っていてくれ」
「分かった!」
「付き合ってくれてありがとう。ここで話すような内容じゃないから、少し移動しても良いかな?」
「問題ないよ」
連れられてきたのは図書室。
「で、用件は?」
図書室に誰もいないことを確認し、話し始めた。
「単刀直入に言うけど、涼野さんの事だね」
「涼野がどうかしたのか?」
さっきストーカーの話があったばっかりだ。警戒レベルを引き上げる。
「彼女と仲良くなりたいと思ってね。その仲介役を君にお願いしたいと思っているんだ」
「じゃあ大でも良かったんじゃないかな?」
「念のためかな。僕がこう申し出た相手が彼氏でしたーってなった場合少しこじれそうだし」
確かに、紹介を依頼した相手が彼氏だった場合の気まずさは相当なものだ。
となると京と付き合っていることが確定している俺が一番都合の良い相手になってくる。
「確かにそれは一理あると思う。で、どうしたいの?」
「目標は二人で仲良く話せるようになることかな」
思っているよりもささやかというか。まあストーカーならそこが目標になっても変ではないのか?
まあ確定ではないからちゃんと相手はしておかないとな。
「分かった。じゃあ何をして欲しい?」
「何をして欲しい、か。まずは涼野さんの情報を教えて欲しいかな。こんな感じで二人で会うか、電話で話しながら」
それくらいなら大した負担にはならないか。
「基本的に放課後は京と帰るから、電話でお願い」
「オッケー。迷惑かけるね」
「これぐらいは大したことないよ」
俺たちはスマホを取り出し、連絡先を交換した。
アイコンは自分の顔、しかも加工など一切なし。本物の顔で勝負したものだ。しかし、そこら辺の加工した顔に劣らない、寧ろ勝るくらいの出来だった。
「流石だね」
思わずそう言ってしまった。
「もしかしてこのアイコンの事?」
「そうだね」
「お姉ちゃんがカメラマンでね。折角だから撮って貰ったんだよ」
「なるほど、だから出来がここまでいいわけだ」
「そういうこと」
確かにカメラマンの親族が居たらそんなアイコンにするかもな、と動物園で撮ったフラミンゴが映った自分のアイコンを見た。
「連絡先も交換したことだし、涼野についての話をするか」
「そうだね。じゃあ今日は一つだけ。彼女の趣味は何かな?」
「趣味か。テニスじゃねえかな。する方も見る方も」
「そうなんだ。イメージらしいと言えばらしいね」
涼野はすらっとしていて身長が高い。若干色白な毛はあるが、それでもバスケ部のような室内系の運動部よりは外に出ているような爽やかな印象を受ける。
別に室内系の運動部が陰湿というわけじゃないが。そっちはそっちで別の爽やかさが存在する。
「かもな。部活には入っていないがテニス部並の実力らしいよ」
代わりにクラブに所属しており、高校生だけじゃなく大人達に混ざって練習しているらしい。
「それはどうして?」
「クラブの方が部活より設備が良くて、コーチも元プロだか何だかでより強くなれるからだってさ」
間違っても部活が嫌だからとかじゃあないらしい。
「の割には大会の活躍を耳にはしないけれど」
「そもそも大会に出ていないからな」
「それはどうして?」
「お金とか諸々が足りないから本格的に大会で優勝できるようになるまでは出ないんだとさ」
大学になるまでに強くなって、一気に大会に出て賞金かっさらってくるとか言っていた。純粋に資金不足らしい。
「思っていたよりガチだね」
「そうだね。聞いたときにはびっくりしたよ。まあ本人曰く今のレベルだと県の大会でシード貰えるかどうか位とは言っていたけど」
「それ、普通に強いよね」
「だね。実際強豪校から推薦を貰えるレベルだとは思うんだけど、現状に満足していないらしい」
「それきっかけに話をしてみようかなって少し思ったけれど、そのレベルで詳しかったら流石に着いていくことは不可能そうだね」
仲良くなった後なら問題ないだろうが、その前段階でテニスを深くは知らない杉村がこの話をするのはな。
「ただ、良い話を聞けたよ。今日はありがとう」
「なら良かった。また今度な」
俺たちは図書室を出て、各々別方向に帰っていった。
「じゃあね、二人とも」
「おう」
「また明日ね」
「じゃあな」
一旦お別れの挨拶をして、二人は教室から出て行った。
「ということでどうする?京」
「勿論!決まっているよね?」
ということで追跡任務が確定した。
「テレレレッテレー!GPS」
某青狸さながらの声で京が取り出したのは、いつも使っているスマートフォン。
「まさか…… 見損なったぞ」
犯人が目の前にいる女性だったとは……
「そんなわけないに決まっているでしょ!待ち合わせの為に入れているの!」
「世の女子高生ってそんなものなのか?」
「ん?そんなものじゃない?」
まあ同意の元だったらいいか……
涼野がその機能を結構前から切り忘れているらしく、普通に追跡が可能とのこと。
「じゃあ行こう!」
二人が出てからしばらく経った後に、俺たちも教室を出た。
「カップルで帰るところ悪いんだけど、青野君ちょっといいかな?」
「誰?」
「僕は1組の杉村薫だよ」
この人が杉村か。優男で評判の高い男だ。思っていたよりも背が高く、180㎝位あった。
「その杉村君が何の用で?」
「ちょっと聞かないといけないことがあってね」
今日は京と帰ること自体がメインじゃないし、見張りは京だけで十分か。
「じゃあ今日は先に帰っていてくれ」
「分かった!」
「付き合ってくれてありがとう。ここで話すような内容じゃないから、少し移動しても良いかな?」
「問題ないよ」
連れられてきたのは図書室。
「で、用件は?」
図書室に誰もいないことを確認し、話し始めた。
「単刀直入に言うけど、涼野さんの事だね」
「涼野がどうかしたのか?」
さっきストーカーの話があったばっかりだ。警戒レベルを引き上げる。
「彼女と仲良くなりたいと思ってね。その仲介役を君にお願いしたいと思っているんだ」
「じゃあ大でも良かったんじゃないかな?」
「念のためかな。僕がこう申し出た相手が彼氏でしたーってなった場合少しこじれそうだし」
確かに、紹介を依頼した相手が彼氏だった場合の気まずさは相当なものだ。
となると京と付き合っていることが確定している俺が一番都合の良い相手になってくる。
「確かにそれは一理あると思う。で、どうしたいの?」
「目標は二人で仲良く話せるようになることかな」
思っているよりもささやかというか。まあストーカーならそこが目標になっても変ではないのか?
まあ確定ではないからちゃんと相手はしておかないとな。
「分かった。じゃあ何をして欲しい?」
「何をして欲しい、か。まずは涼野さんの情報を教えて欲しいかな。こんな感じで二人で会うか、電話で話しながら」
それくらいなら大した負担にはならないか。
「基本的に放課後は京と帰るから、電話でお願い」
「オッケー。迷惑かけるね」
「これぐらいは大したことないよ」
俺たちはスマホを取り出し、連絡先を交換した。
アイコンは自分の顔、しかも加工など一切なし。本物の顔で勝負したものだ。しかし、そこら辺の加工した顔に劣らない、寧ろ勝るくらいの出来だった。
「流石だね」
思わずそう言ってしまった。
「もしかしてこのアイコンの事?」
「そうだね」
「お姉ちゃんがカメラマンでね。折角だから撮って貰ったんだよ」
「なるほど、だから出来がここまでいいわけだ」
「そういうこと」
確かにカメラマンの親族が居たらそんなアイコンにするかもな、と動物園で撮ったフラミンゴが映った自分のアイコンを見た。
「連絡先も交換したことだし、涼野についての話をするか」
「そうだね。じゃあ今日は一つだけ。彼女の趣味は何かな?」
「趣味か。テニスじゃねえかな。する方も見る方も」
「そうなんだ。イメージらしいと言えばらしいね」
涼野はすらっとしていて身長が高い。若干色白な毛はあるが、それでもバスケ部のような室内系の運動部よりは外に出ているような爽やかな印象を受ける。
別に室内系の運動部が陰湿というわけじゃないが。そっちはそっちで別の爽やかさが存在する。
「かもな。部活には入っていないがテニス部並の実力らしいよ」
代わりにクラブに所属しており、高校生だけじゃなく大人達に混ざって練習しているらしい。
「それはどうして?」
「クラブの方が部活より設備が良くて、コーチも元プロだか何だかでより強くなれるからだってさ」
間違っても部活が嫌だからとかじゃあないらしい。
「の割には大会の活躍を耳にはしないけれど」
「そもそも大会に出ていないからな」
「それはどうして?」
「お金とか諸々が足りないから本格的に大会で優勝できるようになるまでは出ないんだとさ」
大学になるまでに強くなって、一気に大会に出て賞金かっさらってくるとか言っていた。純粋に資金不足らしい。
「思っていたよりガチだね」
「そうだね。聞いたときにはびっくりしたよ。まあ本人曰く今のレベルだと県の大会でシード貰えるかどうか位とは言っていたけど」
「それ、普通に強いよね」
「だね。実際強豪校から推薦を貰えるレベルだとは思うんだけど、現状に満足していないらしい」
「それきっかけに話をしてみようかなって少し思ったけれど、そのレベルで詳しかったら流石に着いていくことは不可能そうだね」
仲良くなった後なら問題ないだろうが、その前段階でテニスを深くは知らない杉村がこの話をするのはな。
「ただ、良い話を聞けたよ。今日はありがとう」
「なら良かった。また今度な」
俺たちは図書室を出て、各々別方向に帰っていった。
0
あなたにおすすめの小説
クラスで3番目に可愛い無口なあの子が実は手話で話しているのを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
俺のクラスにいる月宮雫は、誰も寄せ付けないクールな美少女。そのミステリアスな雰囲気から『クラスで3番目に可愛い子』と呼ばれているが、いつも一人で、誰とも話さない。
ある放課後、俺は彼女が指先で言葉を紡ぐ――手話で話している姿を目撃してしまう。好奇心から手話を覚えた俺が、勇気を出して話しかけた瞬間、二人だけの秘密の世界が始まった。
無口でクール? とんでもない。本当の彼女は、よく笑い、よく拗ねる、最高に可愛いおしゃべりな女の子だったのだ。
クールな君の本当の姿と甘える仕草は、俺だけが知っている。これは、世界一甘くて尊い、静かな恋の物語。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
モース10
藤谷 郁
恋愛
慧一はモテるが、特定の女と長く続かない。
ある日、同じ会社に勤める地味な事務員三原峰子が、彼をネタに同人誌を作る『腐女子』だと知る。
慧一は興味津々で接近するが……
※表紙画像/【イラストAC】NORIMA様
※他サイトに投稿済み
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
サクラブストーリー
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。
しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。
桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。
※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる