アイアムイラストレーター!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

僧侶A

文字の大きさ
19 / 53

19話

しおりを挟む
「305,000円になります」

「クレジットカードの一括払いでお願いします」

 想定外の出費になったが、これでサキの悩みが多少なりとも解決できるのであれば安い買い物だ。

「ええ……しかも一括……!?!?」

「別にこのくらいなら一括で払える奴はいくらでも居るだろ」

 会計の額が100万とか200万とかを超えているわけではないしな。

「そんなものなんですかね……?」

「とにかく、今から今買った服で目的地に行くぞ」

「はい……」

 会計を済ませた後、再度買った服に着替えさせて店を出た。


「これで大丈夫なんですか……?」

「ああ、安心しろ。じゃあ行くぞ」

 私はサキに大丈夫だと伝え、そのまま収録スタジオへと向かうことに。



「そういえば気になっていたんだが、配信やこの間通話したときと今のキャラ、全く違わないか?」

 これよりも重大すぎる問題が目の前にあったのでスルーしていたが、サキにしては内気すぎた。

「オンライン上だったら顔が見えていようが見えてなかろうがいくらでも強気に行けるんですけど、実際に誰かと対面するとなると緊張してしまって……」

「そうなのか」

「がっかりしました……?」

 そう聞くサキは今カッコいい服を着てばっちり決めているのに、今までで一番弱々しかった。

「別に、配信内外でキャラが違う人なんていくらでもいるだろうから気にする所はない。むしろ、そういう性格なのに配信では頑張ってあの性格を見せているんだなと感心した。端的に言えば、もっと好きになった」

「……!!!」

 と正直な感想を述べると、サキの顔は真っ赤になっていた。

「収録を私の家にしなくて正解だったみたいだな」

 ボカロを歌わせるよりも自身で歌ったものを録音した方が早いということで作曲機材のついでに収録機材も揃えたので実は家でも収録が出来る。

 しかし、ここまで褒められることに耐性が無い女性を家に連れ込むのは大問題である。

 横着せずにスタジオを予約していてよかった。


 そして歩くこと10数分、目的地であるスタジオに辿り着いた。

「本当に話しかけられませんでしたね」

「言った通りだっただろ?」

「ここまでしてくださって本当に感謝しかないです……」

「その分収録を頑張ってもらえれば十分だ。始めるぞ」

「はい!」

 というわけで歌の収録が始まった。




 それから約3時間後、

「これで全パート終了だ。お疲れ様」

「え?これだけ!?」

 終了を告げられたサキはまだまだ収録が続くと思っていたようで目を見開いて驚いていた。

「ああ。完璧な歌だったぞ」

「普通一曲分だけでも4時間くらいかかるのに……」

 結果としては大体3時間ちょいくらいで全ての収録が終わっており、今までの歌ってみたとの違いでサキは驚いていた。


「そりゃあサキの歌が良かったのと、事前にオリジナル曲を聞きこんできてくれたからだ」

 流石に知らない曲の収録になるので時間がかかることが想定されていたのだが、サキはほぼ完ぺきに覚えてきてくれていた。

「それはあの曲がとてもいい出来だったから、ついつい聞いちゃったんだよ」

「一応ボーカロイドに歌わせていたのが功を奏した形だな」

「うん」

「念のために作っておいて良かったな」

「ありがとうございます」

「別に構わない。全て私がやりたいからやっていることだからな」

 と私が言うと、サキは深々と頭を下げてきた。本当にいい人だな。

「歌部分はあとMIXだけですかね?優斗さんの収録は既に終わっているようですし」

「いや、私の収録はこれからだ」

「え、既に歌っていましたよね?収録の時に聞ける音声には既に歌声が入っていましたし」

「ああ、あれか。あれはサキが収録の時に歌いやすいように声を入れていただけだぞ」

「滅茶苦茶上手かったですよね……?」

「そう言ってもらえるのは嬉しいな。しかしあのままMIXすると私の主張が強すぎるからな。あのまま使うとこちらが圧倒的主役になってしまう」

 あくまで主役はサキであり、私はただの引き立て役だ。いくら他が崩れようと、この鉄則だけは決して破ってはいけない。

「本当に私のことを中心に考えてくれるんですね」

「ファンだから当然だろう」

 もし他のサキファンが似たような状況になったとしても、全員が全員同じような行動をとるだろう。

 それが一番ファンは喜ぶし、一緒に歌ったファン側としてもサキの歌唱部分が大きい方が聞いていて幸せだ。

「本当にありがとうございます……」

 と私が言うと、サキは顔を真っ赤にして再びお礼を言ってきた。

「ありがとう、その言葉のお陰でもっと頑張れる」

 推しからのお礼の言葉はやる気を掻き立てる最高のスパイスだ。

「というわけで私は家に帰って収録とMIXを始めようと思うが、何か行きたいところとかやりたいことはあったりするか?」

「いえ、これまでで沢山もらってきたので十分満足です」

「そうか、それは良かった」

 その後サキをタクシーに乗せ、私は電車に乗って帰宅した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...