ボクとじーちゃんの古道具屋

クリヤ

文字の大きさ
28 / 32
第3話 フィルムカメラ

(5)カメラの記憶

しおりを挟む
 ボクは、マサさんに連絡して来てもらうことにした。
 だって、マサさんは、修復屋さん。
 道具たちの声も聞こえるから、きっと助けてくれるはず。

 マサさんは、さっそく次の日には来てくれた。
 ボクは、マサさんに事情を話したんだ。

 「う~ん、レンズをもう一度交換するにはさ。
  その友人とやらを探さなくちゃいけないね」
 「そうだよねぇ」
 「何年も前に、会わなくなった友人か……」
 「むずかしいかな?」
 「そうだね、普通は、むずかしいね」
 「普通は、って?」
 「ちょっとだけ、ヒントがあるかもしれないよ」
 「え? ホントに? なんだろ?」
 「そのカメラを預けたアサミちゃん、だね」

 アサミちゃん?
 アサミちゃんが、ヒントってどういうこと?

 「アサミちゃんに、来てもらうことはできるかい?」
 「うん、お家はすぐそこだから、大丈夫だよ」
 「じゃあ、来てもらっておくれ。
  そのアサミちゃんが写ってなかった、っていう写真を持ってね」

 写真?
 知らない景色とか知らない人が写ってたっていう、あれ?
 そんないらない写真、どうするのかな?

 ボクは、マサさんに店番をお願いした。
 アサミちゃんのお家に行くのと、もうひとつの用事のために。

 「アサミちゃん、こんにちは~」
 「あれ? タカオ? どうしたの?」
 「うん。カメラのことで、お話があってね」
 「修理、終わったの?」
 「ううん、まだ。だけどね、お願いがあって」
 「お願い?」
 「うん。パパが撮った写真を貸してほしいんだ」
 「写真? 写真って、わたしが写ってない、あれ?」
 「そう。捨てちゃったり、する?」
 「ううん! もし誰かのだったら困るってパパが。
  ちょっと待ってて。見てくる!」

 「あった、あったよ。タカオ。これで、いい?」
 「うん。ありがとう。アサミちゃんも一緒に来て。
  おやつもあるよ?」
 「え? ほんとう? 行く行く!」

 ボクたちは、ふたりで商店街を歩いて、それから。
 はじっこにある、古道具屋に着いた。

 「マサさん、ただいま~」
 「お、戻ったかい? その子が、アサミちゃん?」
 「うん。アサミちゃん、マサさんだよ。
  カメラを直してくれる人」
 「そうなんだ。こんにちは、アサミです」
 「こんにちは。しっかりしたいいお嬢さんだね」
 「へへっ」

 ほめられて、アサミちゃんは嬉しそう。
 ボクは、アサミちゃんから預かった写真をマサさんに渡した。

 「どれ、どれっと。おや、懐かしいね。
  ひと昔前の、このあたりが写ってるじゃないか」
 「そうなの?」
 「うん。ああ、そうだ、そうだ。
  こんな店もあったっけ。ここには、よく行ったよ」

 マサさんは、写真を見て懐かしそうにしている。
 写真を見てる時の人の顔が、ボクは好き。
 その写真の時代に、タイムスリップしたみたいって感じるんだ。
 じーちゃんもね。
 ボクの赤ちゃんの頃の写真を見てね。
 「ちっちゃいなぁ、最初はこんなだったんだぞ」
 とか言う。
 その時のじーちゃんのお顔はさ。
 まるで、赤ちゃんのボクがそこにいるみたいにね。
 すっごくすっごく優しくなるんだ。

 「マサさん、写真のヒントを探すでしょ?」
 「そうだね」
 「ボク、おやつの準備してるよ」
 「うん、そうしておくれ」
 「アサミちゃん、どうする? お店、見ててもいいけど」
 「ううん、わたしも手伝う。
  ホットミルクの作りかたも知りたいし」
 「そっか。じゃあ、一緒に用意しよう」

 ボクは、マグカップを三つ用意。
 トポポポと、マグカップに牛乳をそそぐ。
 電子レンジに入れて、温めたら。
 メープルシロップをトポン、トポン、トポン。
 
 「へぇ、メープルシロップって、こういう瓶に入ってるんだ。
  かわいいね」
 「うん、じーちゃんが好きなメープルシロップだよ」
 「この取っ手? ってなにに使うの? 持ちづらいけど」
 「それは、今は使わないみたいだよ」

 ボクもさ、じーちゃんに聞いたことがあるんだ。
 メープルシロップの瓶って、横にちっちゃい取っ手があるんだよね。
 全部の瓶じゃないけど。
 そしたらさ、こう教えてくれたんだ。

 「昔はね、もっと大きな瓶にシロップが入っていたらしいんだよ。
  その時にはね、取っ手があったほうが注ぎやすかったのさ。
  だけど、今はね、小さい瓶に入れてるだろ?
  だから、本当はいらないんだけど」
 「けど?」
 「昔は、これの大きい瓶に入ってたんだなぁって分かるしね。
  ほかのシロップと並んで置いてあってもさ。
  ひと目で分かるじゃないか。
  そんなところが、じーちゃんは好きだなぁ」

 そう言ってたんだ。
 アサミちゃんにも、教えてあげたよ。

 「ふうん。大きい瓶はよく分かんないけど。
  これは、かわいいよね」
 「うん!」
 「うちは、ハチミツしかないからね。
  このホットミルク、作れなかったの。
  今度は、瓶が分かったから、お買いものに行ったらね。
  ママに、これ!って言って買ってもらえるよ」
 「うん! そしたら、お家でも特製ホットミルクが飲めるね」
 「ふふふ。楽しみ」

 今日のおやつ。
 あんドーナツは、3種類。
 さっきのもうひとつの用事っていうのは、これ。
 あんドーナツ屋さんに寄ってたんだ。
 アサミちゃんお気に入りのパイナップル生クリーム。
 ルリちゃんを思い出して、抹茶生クリーム。
 ちょっと大人味のココア生クリーム。

 全部を三つずつにわけて、お皿にのせたんだ。
 黄色、緑、こげ茶色。
 カラフルで、とってもおいしそう!

 「マサさん、おやつできたよ~」
 「はいよ~。こっちも、写真が見終わったよ」
 「まずは、おやつだね」
 「うん、食べながら話そう」

 「いただきま~す!」
 「うん、パイナップル生クリーム、さわやかでおいしいね」
 「でしょ! わたしは、これにビックリ!」
 「なに?」
 「パイナップルと抹茶って合うんだね!」
 「お茶と果物は合うって、前にじーちゃんが言ってたなぁ」
 「ね! 初めて知っちゃった。次から買うよ」
 「この、ココア味ってのもいいじゃないか。
  少し苦いけれど、生クリームと合わせるとちょうどいい」

 みんなのお腹が、ポッとして満足。
 ふわりと優しい空気になったところで。
 マサさんが、お話を始めたんだ。

 「この写真は、どうやら30年くらい前のものだね」
 「え? 撮ったのは、先週だよ?」
 「そう。
  でも、レンズを通った光をカメラはフィルムに写さなかった」
 「どういうこと?」
 「う~ん。わかりやすく言うとね。
  レンズに映る今の風景を、カメラがわざと写さないでね。
  自分の記憶にある昔の風景や人をフィルムに写したんだ」
 「なるほど、やりそうだね」
 「え? どういう意味?
  カメラって、勝手にそんなことができるの?」
 「あ、えっと。そうじゃなくてね」

 アサミちゃんにわかってもらうには、ボクのヒミツを話すしかない。

 「実は、ボク。道具の声が聞こえるんだ」

 アサミちゃんは、口をぽっかり開けて、しばらくそのままだった。
 信じてもらえないかもしれない……。
 そうしたら、どうすれば?

 「ホントに? うらやましい!」

 ボクの心配なんか吹き飛ばすような明るい声。
 アサミちゃんは、目をキラキラさせて、そう言ったんだ。

 「どうして? いつから?」
 「うん、ボクが道具たちとお話したくてね。
  一生懸命、道具にお願いしたんだ。
  ホコリを払って、キレイに磨いて。
  ボクとお話してほしいって心からお願いしたんだよ」
 「そっか。それ、わたしもできる?」
 「できるかもしれないよ。
  アサミちゃんのおじいちゃんのカメラは、お話できるからね」
 「え? 全部の道具がお話できるんじゃないの?」
 「違うよ、どうして?」
 「わたしがよく見てるお姫様が出てくるアニメだとね。
  スプーンもお皿も、ティポットも。
  み~んな、お話して、踊り出すから!」
 「ふふふ。そうだったら、ステキだよね」
 「違うの?」
 「うん。ちょっと違う」
 「お話できたり、ちょっと動けたりする道具はね。
  とっても大切にされてきたものだけなんだよ」
 「それじゃあ、うちのおじいちゃんのカメラも?」
 「そう。とってもとっても大切にされてきたんだと思うよ」
 「そっか。だけど、おじいちゃんはパパにあげちゃったよね?」
 「うん。なにか、わけがあるのかもしれないよね」

 アサミちゃんが、すぐに信じてくれて良かった。
 マサさんのお話を聞くのに、道具たちのお話は必要だからね。
 それから、ボクとマサさんはね。
 カメラさんから聞いたお話をアサミちゃんにも、したんだ。
 カメラさんが言う『わたくしの持ち主』っていうのがさ。
 アサミちゃんのおじいちゃんだ、ってこともね。
 

 「それじゃあ、アサミちゃん、いいかい?」
 「うん」
 「あたしの想像通りか、確かめるためにね。
  もう一度、写真を見てほしいんだよ」
 「もう一度?」
 「そうさ。アサミちゃんは、知らない人だって言ってたけどね。
  本当に知らない人なのか、よぉ~く見てほしいのさ」
 「うん、やってみる」
 
 アサミちゃんは、じっくりと写真を見始めた。
 きっと前の時は、すぐに見るのをやめてしまったのかも。
 あたりまえだよね、自分が写ってないんだもん。

 「あっ!」

 う~ん、ってうなりながら、写真を見ていたアサミちゃん。
 急に声を出したんだ。

 「どうしたの?」
 「なにか見覚えのあるものや人が写っていたかい?」
 「うん、たぶん」
 「どれだい?」
 「えっと、このおうち。少し違うけど、おじいちゃんちに似てる」
 「ふんふん」
 「あと、これ。この人、おじいちゃんの若い頃かも。
  あごにあるホクロが、同じところにある!」
 「そうかい。アサミちゃんは、ちゃんと見てくれてエラいね」
 「ふふふ」
 
 「やっぱり、あたしの思った通りさね」
 「思った通りって?」
 「このカメラは、自分の記憶を写真に写したのさ。
  昔撮った写真の記憶をね」
 「じゃあ、この写真をちゃんと見れば……」
 「その友人とやらも、写っているかもしれないね」

 やった! 手がかりゲットだね。
 そっか。カメラさんは、相方さんに会いたくて……?

 「もし、同じように家が写ってたりすれば……」
 「友人さんが、住んでるところがわかるかも?」
 「そうだね、じっくり見てみよう」

 アサミちゃんは、おじいちゃんにつながるヒントを。
 マサさんは、30年前の風景のヒントを。
 それぞれ探して、写真を見続けた。

 「どうやら写真には、何度も同じ街が写っているね」
 「そうなの?」
 「しかも、すぐそこさ。隣りの駅だよ」
 「そうなの⁉︎」
 「うん。友人は、どうやら隣りの駅の街に住んでいたようだ」
 「わたしも見つけたよ」
 「アサミちゃんも?」
 「うん。おじいちゃんが、この人だとするとね。
  おじいちゃん以外には、この人が何度も写ってる」

 アサミちゃんが見つけたのは、男の人。
 若い頃のおじいちゃんと同じくらいの年。
 すっごく楽しそうに、笑ってる写真が多い。

 「もしかして、その人が……?」
 「お友だちかもしれないよね!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

未来スコープ  ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―

米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」 平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。 それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。 恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題── 彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。 未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。 誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。 夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。 この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。 感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。 読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

カリンカの子メルヴェ

田原更
児童書・童話
地下に掘り進めた穴の中で、黒い油という可燃性の液体を採掘して生きる、カリンカという民がいた。 かつて迫害により追われたカリンカたちは、地下都市「ユヴァーシ」を作り上げ、豊かに暮らしていた。 彼らは合言葉を用いていた。それは……「ともに生き、ともに生かす」 十三歳の少女メルヴェは、不在の父や病弱な母に代わって、一家の父親役を務めていた。仕事に従事し、弟妹のまとめ役となり、時には厳しく叱ることもあった。そのせいで妹たちとの間に亀裂が走ったことに、メルヴェは気づいていなかった。 幼なじみのタリクはメルヴェを気遣い、きらきら輝く白い石をメルヴェに贈った。メルヴェは幼い頃のように喜んだ。タリクは次はもっと大きな石を掘り当てると約束した。 年に一度の祭にあわせ、父が帰郷した。祭当日、男だけが踊る舞台に妹の一人が上がった。メルヴェは妹を叱った。しかし、メルヴェも、最近みせた傲慢な態度を父から叱られてしまう。 そんな折に地下都市ユヴァーシで起きた事件により、メルヴェは生まれてはじめて外の世界に飛び出していく……。 ※本作はトルコのカッパドキアにある地下都市から着想を得ました。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

黒地蔵

紫音みけ🐾書籍発売中
児童書・童話
友人と肝試しにやってきた中学一年生の少女・ましろは、誤って転倒した際に頭を打ち、人知れず幽体離脱してしまう。元に戻る方法もわからず孤独に怯える彼女のもとへ、たったひとり救いの手を差し伸べたのは、自らを『黒地蔵』と名乗る不思議な少年だった。黒地蔵というのは地元で有名な『呪いの地蔵』なのだが、果たしてこの少年を信じても良いのだろうか……。目には見えない真実をめぐる現代ファンタジー。 ※表紙イラスト=ミカスケ様

少年騎士

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

処理中です...