学校迷宮と若返りドーナツ

クリヤ

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(16)第3の試練もクリア!

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 「まずは、りんごを半分に割る」
 「え? 割っちゃうの?」
 「どうして? イヤか?」
 「イヤとかじゃなくて、くるくる回してむくのかなって」
 「ああ! あれか」
 「アニメとかマンガだとくるくるって、むくでしょ?」
 「そうか? そういや、柿はくるくるって、むくな」
 「じゃあ、なんでりんごはまず割るの?」
 「そうだな~。オレが思うには……」
 「うん」

 「まず、りんごはデカい。片手で持つのは大変だ」
 「そうだね」
 「あと、柿と違って、時間をおくと茶色くなる」
 「なるね。あれって、なんで?」
 「ん~んと、りんごの中にポリフェノールってのが入ってて」
 「え? ぽりふぇ?」
 「ポリフェノール」
 「ポリフェノールか。それで?」
 「そいつは、体にいいもんなんだけど空気にふれるとさ」
 「うん」
 「茶色になっちゃうんだってさ」
 「なんか悪くなっちゃったみたいに見えるよね」
 「だな。茶色でも食べられるんだけどな」
 「くるくるでむくと、時間がかかるだろ?」
 「あ、茶色になっちゃうんだね」
 「うん。だから、先に割るほうがいいって思うんだよ」
 「そっか。すっごく、くるくるが上手で早いなら?」
 「くるくるでもアリだろうな」

 じーちゃんは、そう言ってりんごをパカッとふたつに割った。
 それから、割ったうちの片方をもう一度パカッと。
 そして、りんごの芯の部分を取るために、ななめにナイフを入れる。
 英語の『V(ブイ)』みたいにね。

 そこからが大変だった!
 じーちゃんは、ナイフをスイスイ皮の近くに入れてむく。

 「ナイフを持ったら、ナイフじゃなくて親指を動かすんだ」

 そう言うんだけど、うまくはいかない。

 「むずかしい! ムリ!」
 「ははっ! 最初から、うまくはいかないさ」
 「だよね。やっぱり、ママにむいてもらうよ!」
 「ユウスケ、それでいいのか? 2学期の調理実習が」
 「あっ! そうだ! もう少しがんばる」

 結果、ボクがむいたりんごは表面がガタガタ。
 時間がかかったせいで、ちょっぴり茶色。
 上手には、できなかった。

 だけど、じーちゃんは、すっごくすっごく褒めてくれたんだ。

 「上手じゃなくたって、挑戦したことがいい!」

 そう、言ってね。

 それから、ボクたちはフルーツポンチ作りへ!

 むいたりんごを横に寝かせて、たてに切っていった。

 「これはいちょう切り。いちょうの葉っぱのかたちに似てるから」

 じーちゃんは、そう教えてくれた。
 ボクは、1日で皮むきといちょう切りをおぼえた。
 なんだか、急にレベルアップした気分。

 「オレがボウルを押さえてるから、ユウスケが入れてみろ」
 「まかせて!」

 ボクが開けたミックスフルーツ缶。
 中には、みかん、黄桃、さくらんぼ、ぶどう、パイナップル。
 シロップごとボウルにジャバッと入れる。
 ボクがむいて、切ったりんご。
 それに、サイダーを合わせて~。
 フルーツポンチのできあがり!

 ボクとじーちゃんのフルーツポンチ♪

 「よぉし、ユウスケ。食べちゃおう!」
 「うん!」

 大きなスプーンでたっぷりすくって、口に入れる。
 サイダーがシュワシュワで。
 フルーツが甘くって、りんごはシャリシャリ。
 ボクたちは、夢中で食べた。

 この試練は、走ったり作ったり、とっても疲れたから。
 そして、初めてやった料理だったからかな?
 とってもとってもおいしく思えたんだ。
 不思議なんだけど、フルーツポンチを食べたらね。
 今までの疲れがぜ~んぶ消えちゃった。
 ゲームの中の『回復薬』みたいにね。

 パンパカパーン! パンパンパン! パンパカパーン!

 ボクたちがフルーツポンチを食べ終わったら、またあの音。

 黒板のほうを振り返ってみる。
 やっぱり!
 さっきまであった、【試練】の文字は消えていた。

 
 ☆ミッションクリア☆

 家庭科室の試練をクリアしました。
 次の試練に進むことができます。

 ⬅︎出口は、あちら


 「う~ん、まだ続くみたいだなぁ」
 
 じーちゃんは、困った顔と笑った顔が混ざったような顔をしていた。
 ボクは、じーちゃんとクリアしていく【試練】がちょっと楽しくなってた。
 だけど、それはひみつ。
 だって、楽しいなんて『迷宮』に聞かれたらさ。
 永遠に、閉じ込められちゃいそうだからね。
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