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第4章 独占欲
(3)ホットココアは仕掛け入り
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大学の秋は、いつの間にか過ぎる。
まだ暑いと思っていた9月が終わり、10月に入ると床に冷たさを感じ始める。
冷えた炭酸飲料よりも、ほわっと温かい飲みものを選ぶ自分に気づく。
(出かけるのもいいし、家でダラダラするのもいいしなぁ……)
あとしばらくすれば、『秋休み』に入る。
『秋休み』というのは通称で、学祭前後の期間は準備のために授業がない。
それに土日を加えると、1週間ほどの休みになる。
高校までと違って、学祭は自由参加。
サークルなどに入っていない学生にとっては、学祭はあまり関係がない。
だから、ただの休みになる。
それを学生たちは、『秋休み』と呼んでいた。
マシュマロを浮かべたホットココアをちびちび飲む目の前のショウゴ。
ナオキは、ショウゴを後ろから抱きしめて座り、海外ドラマを見る。
長袖になると、肌が直接ふれ合わないのが寂しい。
けれど、温もりを求めて、ショウゴが寄ってくるのが嬉しい。
「このココア、いつもより大人味でおいしいねぇ~」
「マシュマロのせいかな? あ、シナモンも入れたし」
「そっか。ナオキ、ココア作るのも上手だったんだねぇ」
「ショウゴのために調べたんだよ、おいしい作りかた」
「そうなの? へへっ、嬉しっ」
(そろそろかな……?)
ココアを飲み進めるにつれて、ショウゴの口調が甘くゆっくりに変わる。
いつもショウゴが、ナオキに仕掛けるイタズラ。
それを今日は、ナオキがショウゴに仕掛けていた。
ココアを淹れて、ほんのちょっとのラム酒をたらす。
普通なら問題ない量。
けれど、ショウゴには効くはずの量を入れる。
表面をあぶったマシュマロとシナモンを入れれば、完成。
マシュマロのバニラ味とシナモンの香りで、ラム酒は分からない。
普通のココアよりも香り高い、大人味のココアができあがる。
「ねぇ、キスしたいなぁ」
「うん」
ショウゴの唇の横についたココアを舐めとるように、唇を合わせる。
唇を割って入ると、甘くて熱い冬の飲みもののようだ。
「んんっ。……あ、ん……。んふぅ……、あっ」
ショウゴの喘ぎ声も、いつもより甘く感じる。
シャツの中に手のひらを滑り込ませる。
胸の突起にたどり着くと、指で弄ぶようにつまみ、転がす。
そのまま、耳元にささやく。
「オレに話したいことあるでしょ?」
顔をほてらせて、ショウゴが体をくねらせる。
「んっ、ある……けど。おこら……ない? んくぅ……」
「怒らないよ、こんなにかわいいのに」
「あの、ね……。あん、さむい……」
ショウゴ自身の膨らみを感じて、ナオキはサラッと下を脱がせる。
ふるふると期待に揺れるそれを捕まえる。
「すぐにあったかくするから」
「……あ、ナオキの舌、……あつ、い……」
「で? 話したいことは?」
「えっとね……、んぁ、こんなの……はな、せない」
ナオキは、少しイジワルな気分になる。
そもそもナオキが、ココアに仕掛けをしたのにはわけがあった。
最近、ショウゴの様子が、おかしい。
授業中にトイレに立って、しばらく戻ってこない。
語学のクラスに迎えに行ったら、違う教室から出てきたこともある。
図書館で、本を探しにいくと、コーヒーの匂いをさせて戻ってくる。
(まさか、ほかに誰かいる? だったら、オレ、どうしよう)
不安をぶつけるように、ショウゴ自身を吸い込む。
いつもより、強く舌を使う。
「ナオ、キ。どう、したの……?」
「何が?」
「……いつ、もと違う、からぁ……」
「いや?」
「ううん、ううん……。き、もち、いい」
ショウゴの体を確かめるように、肌のすべてに唇を落としていく。
どこにも、誰かの痕跡はない。
中も確かめたくて、窪みに手をのばす。
ナオキの指を拒む様子はない。
むしろ、ナオキを誘うように、くいくいと引き込まれていく。
ナオキのほうに押しつけられる腰を感じると、ガマンができなくなる。
「ショウゴ……、入りたい……」
「……うん、きて……」
肌艶が増して、なまめかしい声でナオキを求める。
背中に浮かぶ、うっすらとした汗さえ、匂い立つような美しさ。
窪みは、ナオキに埋められるのを待っていたかのようにうごめく。
奥まで沈めてしまうと、ナオキには余裕がなくなる。
(このままショウゴといられるなら、もうなんでもいい)
(いてくれるなら……)
打ちつける肌に、配慮ができない。
ショウゴの色白の肌は、すでに赤く色づいている。
その色が、ナオキをさらに欲情させる。
せっかく、特製ココアで仕掛けたというのに。
ナオキは、ほとんど何も聞くことができずに果ててしまった。
***
ショウゴと繋がっている間は、すべてがどうでも良くなる。
けれど、離れてしまうと、独占欲がムクムクと顔を出す。
ショウゴに近づくやつを排除したい。
そういう気持ちが抑えきれない。
ショウゴの色香に、気づき始めるやつもいる。
チラチラと見られていることに、ショウゴ本人は気づかない。
ナオキのことを見ているのだと勘違いして、プリプリと怒っている。
(オレは、どうしたいんだろう?)
ショウゴを腕に抱きながら、ナオキは悩み続ける。
*****
プリンを食べても、ナオキはユウスケのことを話してくれない。
ぐちぐち言うのは、ナオキに嫌われそうで嫌だ。
だけど、ショウゴは、ナオキの過去だって、自分のものにしたい。
聞いてしまったら、傷つくかも。
そんなことも、頭の端には、よぎる。
けれど、それ以上に、ナオキのすべてを知りたかった。
ショウゴの独占欲は、自分でも引くほど強かった。
(でも、どうすればいい? ナオキに聞けないなら……)
授業そっちのけで、ショウゴの頭の中は、ナオキのことでいっぱいだった。
そんな時、ぼんやりと眺めていた窓の外を通りがかった人が目に入る。
ユウスケだ。
学食で話したリョウヘイと一緒だった。
学部が違うから、空き時間も違うのだろう。
暇そうに、ダラダラと歩いているように見える。
(あっ、あの子に聞けばいいんじゃない?)
まだ暑いと思っていた9月が終わり、10月に入ると床に冷たさを感じ始める。
冷えた炭酸飲料よりも、ほわっと温かい飲みものを選ぶ自分に気づく。
(出かけるのもいいし、家でダラダラするのもいいしなぁ……)
あとしばらくすれば、『秋休み』に入る。
『秋休み』というのは通称で、学祭前後の期間は準備のために授業がない。
それに土日を加えると、1週間ほどの休みになる。
高校までと違って、学祭は自由参加。
サークルなどに入っていない学生にとっては、学祭はあまり関係がない。
だから、ただの休みになる。
それを学生たちは、『秋休み』と呼んでいた。
マシュマロを浮かべたホットココアをちびちび飲む目の前のショウゴ。
ナオキは、ショウゴを後ろから抱きしめて座り、海外ドラマを見る。
長袖になると、肌が直接ふれ合わないのが寂しい。
けれど、温もりを求めて、ショウゴが寄ってくるのが嬉しい。
「このココア、いつもより大人味でおいしいねぇ~」
「マシュマロのせいかな? あ、シナモンも入れたし」
「そっか。ナオキ、ココア作るのも上手だったんだねぇ」
「ショウゴのために調べたんだよ、おいしい作りかた」
「そうなの? へへっ、嬉しっ」
(そろそろかな……?)
ココアを飲み進めるにつれて、ショウゴの口調が甘くゆっくりに変わる。
いつもショウゴが、ナオキに仕掛けるイタズラ。
それを今日は、ナオキがショウゴに仕掛けていた。
ココアを淹れて、ほんのちょっとのラム酒をたらす。
普通なら問題ない量。
けれど、ショウゴには効くはずの量を入れる。
表面をあぶったマシュマロとシナモンを入れれば、完成。
マシュマロのバニラ味とシナモンの香りで、ラム酒は分からない。
普通のココアよりも香り高い、大人味のココアができあがる。
「ねぇ、キスしたいなぁ」
「うん」
ショウゴの唇の横についたココアを舐めとるように、唇を合わせる。
唇を割って入ると、甘くて熱い冬の飲みもののようだ。
「んんっ。……あ、ん……。んふぅ……、あっ」
ショウゴの喘ぎ声も、いつもより甘く感じる。
シャツの中に手のひらを滑り込ませる。
胸の突起にたどり着くと、指で弄ぶようにつまみ、転がす。
そのまま、耳元にささやく。
「オレに話したいことあるでしょ?」
顔をほてらせて、ショウゴが体をくねらせる。
「んっ、ある……けど。おこら……ない? んくぅ……」
「怒らないよ、こんなにかわいいのに」
「あの、ね……。あん、さむい……」
ショウゴ自身の膨らみを感じて、ナオキはサラッと下を脱がせる。
ふるふると期待に揺れるそれを捕まえる。
「すぐにあったかくするから」
「……あ、ナオキの舌、……あつ、い……」
「で? 話したいことは?」
「えっとね……、んぁ、こんなの……はな、せない」
ナオキは、少しイジワルな気分になる。
そもそもナオキが、ココアに仕掛けをしたのにはわけがあった。
最近、ショウゴの様子が、おかしい。
授業中にトイレに立って、しばらく戻ってこない。
語学のクラスに迎えに行ったら、違う教室から出てきたこともある。
図書館で、本を探しにいくと、コーヒーの匂いをさせて戻ってくる。
(まさか、ほかに誰かいる? だったら、オレ、どうしよう)
不安をぶつけるように、ショウゴ自身を吸い込む。
いつもより、強く舌を使う。
「ナオ、キ。どう、したの……?」
「何が?」
「……いつ、もと違う、からぁ……」
「いや?」
「ううん、ううん……。き、もち、いい」
ショウゴの体を確かめるように、肌のすべてに唇を落としていく。
どこにも、誰かの痕跡はない。
中も確かめたくて、窪みに手をのばす。
ナオキの指を拒む様子はない。
むしろ、ナオキを誘うように、くいくいと引き込まれていく。
ナオキのほうに押しつけられる腰を感じると、ガマンができなくなる。
「ショウゴ……、入りたい……」
「……うん、きて……」
肌艶が増して、なまめかしい声でナオキを求める。
背中に浮かぶ、うっすらとした汗さえ、匂い立つような美しさ。
窪みは、ナオキに埋められるのを待っていたかのようにうごめく。
奥まで沈めてしまうと、ナオキには余裕がなくなる。
(このままショウゴといられるなら、もうなんでもいい)
(いてくれるなら……)
打ちつける肌に、配慮ができない。
ショウゴの色白の肌は、すでに赤く色づいている。
その色が、ナオキをさらに欲情させる。
せっかく、特製ココアで仕掛けたというのに。
ナオキは、ほとんど何も聞くことができずに果ててしまった。
***
ショウゴと繋がっている間は、すべてがどうでも良くなる。
けれど、離れてしまうと、独占欲がムクムクと顔を出す。
ショウゴに近づくやつを排除したい。
そういう気持ちが抑えきれない。
ショウゴの色香に、気づき始めるやつもいる。
チラチラと見られていることに、ショウゴ本人は気づかない。
ナオキのことを見ているのだと勘違いして、プリプリと怒っている。
(オレは、どうしたいんだろう?)
ショウゴを腕に抱きながら、ナオキは悩み続ける。
*****
プリンを食べても、ナオキはユウスケのことを話してくれない。
ぐちぐち言うのは、ナオキに嫌われそうで嫌だ。
だけど、ショウゴは、ナオキの過去だって、自分のものにしたい。
聞いてしまったら、傷つくかも。
そんなことも、頭の端には、よぎる。
けれど、それ以上に、ナオキのすべてを知りたかった。
ショウゴの独占欲は、自分でも引くほど強かった。
(でも、どうすればいい? ナオキに聞けないなら……)
授業そっちのけで、ショウゴの頭の中は、ナオキのことでいっぱいだった。
そんな時、ぼんやりと眺めていた窓の外を通りがかった人が目に入る。
ユウスケだ。
学食で話したリョウヘイと一緒だった。
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