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第3章 王子の出自と追放された姫
(2)グリュンの王たち
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土の精霊の扱いかたについて、何か分かるかも知れない。
そう言い出したのは、王様だった。
王の私室の奥にある禁書庫。
そこには、歴代の王の日記が収められているらしい。
「禁書庫とは名ばかりで、私的な日記ですから閲覧は不要とされたものです」
「王様は、その日記をお読みになったことが?」
「ええ。王位を継承してすぐの頃に、パラパラと。
けれど、すぐに執務が多忙になってしまい、ほとんど読めていません」
禁書庫に向かったのは、王とゾフィア、王子とティム、魔術師ギルドマイスター。
それ以外のマイスターたちは、街の修復やスプリガン対策に向かった。
「ここが、禁書庫です。二代前の王の日記と関連した書籍を探しましょう」
魔術師ギルドのマイスターは、目を輝かせて本棚を見ている。
「王様、これは国の宝です。初代からの日記がすべて現存するとは。
これを詳細に調べれば、我が国の歴史書を作ることができますぞ」
「そうですね。けれど、我が国の王たちは、あまり興味がないのです。
自分たちの歴史には。
『国民の現在の幸せの責任が、王にはある』
それを実現するのが、王たる者の務め。それ以外は、不要。
そう教わりました」
「ええ。王様がたは、実際にそうされてきましたなぁ。
その偉大な功績を残さないのは、どうにももったいない」
「ふふふ。では、マイスターの老後にでも編纂をお願いしましょう」
「それは、それは、喜んで」
ゾフィアは、さっそく二代前の王の日記を見つけたようだ。
けれど、それは10冊以上の量だった。
「手分けして、土の精霊のことが書いていないか探しましょう」
ティムは、5冊目の日記を渡された。
ざっと目を通しながら、探す。
日記は、一年に1冊ずつ書かれているようだ。
真ん中くらいまで読み進めたところで、事故の記述にいき当たる。
【 霜の月 14日目
今日は、大変な事故が起きてしまった。
モントツッカーの供給が足りないので、急いでいたのが失敗だった。
足を滑らせて、最下層までトンネルを真っ逆さまに落ちた。
命はないと覚悟したが、気がつくと無傷だった。
ベルグが守ってくれたようだ。
しかし、ベルグ自身はバラバラに砕け散ってしまった。
精霊は、時間とともに修復されると聞いている。
早く戻ってくれることを期待しよう。 】
やはり、王様が聞いていた通りのようだ。
【 新緑の月 3日目
今日も時間ができたので、地下に核を探しに行く。
けれど、どこかに埋もれてしまったのか見つからない。
核さえあれば、ベルグの復活を早められるかも知れないのに。
樹液の結晶は、ベルグがいないと立方体にならない。
純度は下がるが、仕方がない。
結晶だけを少しずつ運ぼう。 】
土の精霊には、核があるらしい。
結晶をベルグが食べて立方体にすることも確かのようだ。
【 花の月 26日目
ベルグは復活しない。
人の出入りがあると、場が乱されるのかも知れない。
しばらく、地下への立ち入りを禁止しよう。
代わりに、樹液の採取口を別に作るしかない。 】
どうやら、地下の封鎖は事故のせいではないようだ。
精霊を復活させるために、立ち入りを禁止したということらしい。
【 収穫の月 18日目
ベルグが砕けてから、もうすぐ一年になる。
復活の兆しはない。
いつまでも、ベルグの復活を待つべきではないのだろう。
幸い、樹液からも安定してモントツッカーは精製できる。
ベルグのことは忘れて、樹液の安定供給を目指そう。
栽培する野菜の種類を増やして、輸出量も増やそう。
そうすれば、民たちは潤う。
それが、王たる者の務めだ。 】
一年で復活しなかったベルグを諦めて、王は次の手段に出たようだ。
この国の王は、切り替えが早い。
それが、この国を豊かにしてきたのだろう。
けれど、ここでの決断が、土の精霊の存在を忘れさせた。
そして、のちの王に精霊の扱いを伝えられないことになったようだ。
それぞれが確認できた内容を話し合う。
ゾフィアは、王になった最初の年の日記から精霊の扱いを見つけ出した。
「ここを見てください。
『前王が精霊の核を取り出すと、精霊は土に戻った。
わたしが、魔力を核に込めて、土の中に埋める。
すぐに、土は精霊になって、わたしの側に控えた』とあります」
「ということは、前の王が核を渡せばいいということですね」
「そうでしょう。けれど、困りましたね。前王は、すでにいらっしゃらない」
「……あっ! だから、ルイ様なのかも知れません!」
「えっ?」
急に名指しされて、王子が戸惑う。
王子の戸惑いをよそに、話は進む。
「こんな時に、我が国に来てくださったのも何かのお導きでしょう」
「そうですよ、きっとそうに違いありません」
「あのお顔立ち。初めて見た時には、驚きました」
「ええ。お名前だって、そうです」
「これは、やはり」
王子の代わりに、ティムが尋ねる。
「ルイが、どうかされました? 目の前で知らない話をされるのは……」
「いや、これは失礼しました。
この話は、あとでお茶でもいただきながら致しましょう」
「ええ。それなら、いいのですが」
ティムが見つけた、事故の記述も皆に見せる。
やはりそうだったかと、皆が納得する。
「精霊の扱いと事故の詳細が分かったので、戻りましょう。
また何か必要ならば、いつでも禁書庫は開けます」
王様がそう言って、全員で小さな応接室に向かう。
応接室には、果実のパイとお茶が用意されていた。
「さぁ、疲れたでしょう。食べながら、話を聞いてください」
「先ほどのお話をしてくださるのですか?」
「もちろんです。
その話をするためには、我が国の初代にまで遡らなければなりません」
***
初の禁書庫登場!
『禁書庫』って言葉の響きがワクワクするよな~。
ま、この国の禁書庫はただのプライベート書庫ってとこ。
特に深い意味はなさそうだけど。
開いたら呪いが発動する魔導書とか置いてありそう!
だけど、実際には、普通の日記だったわ。
ゲーム内に出てくる本って、大抵は読めないか、字が少ない。
けど、ここにあるのは、本当に誰かが書いたっぽい日記。
リアル~!
いや、リアルっていうか、ここがオレの今のリアル。
だから、普通に字が読めても当たり前か。
ひとまず、土の精霊の制御法が分かったらしい。
どうやら、王子を使う?
その話をするのに、初代まで遡るってすげぇな。
*****
「城の広間にあった肖像画をご覧になったでしょう?」
「ええ、もちろんです」
「あの肖像画に描かれているのが、初代グリュン王ルイ1世です」
「ルイ、とおっしゃるんですか?」
「ええ、そうです。
あなたのお名前をうかがって、驚いたのにも理解いただけるでしょう」
「え、ええ。はい。この国は、カッツェンが興した国だったのですね」
「そうです。もちろん、カッツェンだけではありません」
広大な平野の真ん中で、不思議な木を見つけたのが、のちのルイ1世。
その時は、ただの旅の若者ルイだった。
十数人の仲間と旅をしながら、その日暮らしをしていたらしい。
不思議と惹かれる木の根元で、野営をすることになった。
布を張るために、木の近くを少しだけ掘る。
すると、木を少しだけ削ってしまったらしい。
紫色の樹液のようなものがにじみ出てきた。
毒耐性の高いカッツェンは、新しいものを見つけると舐めてみる。
その時も、何の気なしに舐めてみた。
その樹液は甘く、疲れた体がみるみる元気になった。
「仲間うちには、人もおりました。
その人も、本当に少しだけ舐めてみたそうですが」
「酔ったようになったのですね?」
「ええ。精製されていないので、そこまでひどくはないでしょうが」
樹液を舐めたカッツェンたちは、その味にひどく惹かれた。
この木が、自分たちの力になると直感した。
すぐに、木の周辺に家を作り、畑を作った。
十数人の仲間とともに、予定にはなかった定住を始めたのである。
「そのくらい、おいしかったのでしょうか?」
「それもあるでしょうが、ルイ1世は直感に優れていたそうです」
「と、言いますと?」
「ルイ1世がいいと言ったものは、大抵、成功するとか。
旅に出たのも、直感がそう示したからだと聞いています」
ルイ1世は、何もなかった平野に街を作った。
街は人を呼び、人は街を大きくする。
一代で、ルイ1世は国の基礎を作り上げてしまったのである。
「モントツッカーは、国づくりに大きな役割を果たしたそうです。
回復薬がまだ簡単には手に入らない時代でしたから。
樹液から作られたモントツッカーを求めて、多くの民が集まりました」
「土の精霊は、どこで?」
「土の精霊を見つけたのは、ルイ3世だと言われています」
「ほかにもルイが?」
不思議なことに、王家には初代にそっくりな子どもが時々生まれた。
その子たちは、意図せずにルイと名づけられた。
ルイと名づけられた子は、のちに王になった。
そして、国の危機を救ったり、新たな技術をもたらしたりするのである。
「ルイ3世は、木を『ゾンネンバウム』と名づけたかたです。
樹液の効率的な採取のために、トンネルを作ったかたでもあります」
「もしや、そのトンネルで精霊を?」
「おそらく、そうでしょう。
ベルグが、現れてからモントツッカーは増産されました。
カッツェンは、ますます元気に働き、我が国の領土は広がりました」
ルイ7世は、近隣諸国との戦いを避けるために連邦国家への参加を決めた。
ルイ11世は、禁止薬物になったモントツッカーを救った。
全王会議で、グリュンでのみ流通させることを認めさせたのである。
そして、先々代であるルイ15世。
スプリガンの使役を発見して、大規模農場を少人数で経営できるようにした。
「グリュンには、運が味方しているようですね」
「ふふ。そうだと信じています。
ですから、あなたが現れた時に危機は去ると思いました」
「わたしは、グリュンの者ではないのに、なぜでしょう?」
「なぜ、同じお顔なのかということですか?」
「はい。不思議です。名前も」
「実は、ルイ7世からあなたと同じことが起こり始めました」
カッツェンは、カッツェン以外とも子をなすことができる。
けれど、生まれた子は、そのことごとくがカッツェンだった。
おそらく、カッツェンの血が強いのだろうと言われていた。
ところが、ルイ7世には不思議なことが起きた。
一日に2時間だけ、人の姿になるのである。
グリュンでは、人の見た目をあまり気にしない。
だから、7世にとっては、どちらでも良かったようだ。
けれど、この変身は、国にとっては利点になった。
グリュンの連邦国家への参加には、反対する国もあった。
カッツェンの王は、信用できないという理由だった。
その全王会議に、7世は人の姿でおもむいた。
『カッツェンだから』という理由はなくなり、連邦への参加は認められた。
「だから、わたしの変身にも驚かなかったのですね?」
「ええ。むしろ、嬉しくなりました」
「ということは、わたしの祖先にグリュンのカッツェンのかたが?」
「おそらく数代前にブラオに嫁いだ者の血でしょう。
代を重ねるうちに、カッツェンの子はカッツェンだけではなくなりました」
「そうなのですか?」
「はい。グリュンにも人が増え、他国との婚姻も増えましたから。
変身もせず、ほとんど人と同じという子もいます」
「ほとんど?」
「ええ。モントツッカーに耐性があるところだけは、残るようです」
「ははは。それは、わたしも同じです。アルコルも好きです」
「それでは、王家に伝わるアルコルもごちそうしなくては」
「それは楽しみです」
同じ顔、同じ名で生まれるルイは、生まれ変わりなのではないか。
そうグリュンの王家では考えているらしい。
「けれど、わたしはグリュンの王家に生まれてはいない」
「ええ。けれど、我が国の危機には現れてくださった。
どのようなかたちでも我が国を守ってくださっています」
「そうですか? それなら、いいのですが。
それでは、土の精霊の話を聞かせていただいても?」
「ええ。もし、生まれ変わりならば、その魂は同じはず。
ベルグは、あなたの魂に反応して懐いているのではと思います」
「なるほど」
「ですから、あなたを今の主人だと感じているわけです。
主人のあなたが、ベルグから核を取り出し、渡してもらえれば」
「前王からの引き継ぎと同じことができるはずだと?」
「そうだと思います」
初代から続く長い話が終わり、土の精霊の譲りかたにも目処がついた。
王様は、ほっとしたようなため息をついた。
王子も、やや疲れたような表情を浮かべている。
それを見たティムは、夕食までの休憩を願い出た。
王子とティムは、部屋に戻って休むことになった。
「王家特製アルコルをいただいたぞ」
「ルイ……、今飲んでも大丈夫ですか?」
「なぜ?」
「催淫効果があるのでは? 夕食も王様とご一緒するのでしょう?」
「うん! そうして休めということだろう?」
「はは。ご承知の上でしたか」
「ティム、ダメか?」
「もちろん、ダメな時などありません」
王子は、ゴブレットにアルコルを注ぐ。
王家特製アルコルは、澄んでいながらも深い紫色をしている。
ひとくち飲んだ王子は、目を輝かせる。
「これは、ほかとは違う味わいだろうな。わたしでさえ、少し酔いそうだ」
「わたしは、やめておいたほうが?」
「いや? 薄めるから、少しだけ飲んでみてくれ」
勧められて飲んだアルコルは、爽やかな飲み口なのにズシンと腹にくる。
王子の腕が、ティムの腰に巻きつく。
「ルイ? 珍しいですね」
「そうか? 本当は、いつもずっとこうしていたい」
「そうなの……ですか?」
「そう。ティムの核に、わたしの魔力を注ぎ込んで埋めたい。
そうして、死ぬまで離れないようになればいいのに」
「もうなっていますよ」
「ティムは、いつもそう言ってくれるが、わたしは不安なんだ」
「なぜです?」
「おまえは、いつか消えてしまう気がするから」
「消えたりしませんよ。
わたしのいる場所は、ルイの側以外に、どこにあるって言うんです?」
王子は、返事をする代わりにティムの唇をふさいだ。
そして、むさぼるようにティムの中を探る。
ティムもそれに応えていると、王子にベッドの上に押し倒される。
王子がティムの体中に唇を落としていく。
すぐにでも王子をひっくり返して、下にしたい気持ちが起こる。
けれど、むずむずする気持ちを抑えて、王子の好きにさせる。
催淫効果のあるアルコルを飲んだせいだろうか。
王子は、ティムの体とふれあっているだけで、達してしまう。
ティムは、王子を抱きしめて、その体中に舌を這わせる。
王子は、そのすべてにあえぎ声で応える。
とうとう最後には、声がかすれてしまう。
ティムは、ゆったりと王子の中に入っていく。
声が出ない王子の体が、のけ反って快感をティムに伝える。
夕食前の軽い運動にしては、やりすぎだなとティムは思った。
***
王子は、グリュンの王家の血を引いてたっぽい!
予想はしてたけど、顔も名前も同じなんてすげぇ!
このあたりは、いかにもゲームっぽいんだけどなぁ。
生まれ変わり、なんてホントにあるのかなぁ?
あ、でもオレって異世界転移しちゃってるんだった。
だったら、あってもおかしくないな。
土の精霊の譲りかたも分かって良かった。
あいつ、大型犬みたいでかわいいけどさ。
やっぱ、王子の側にいるのはオレだけでいいんじゃね?
これって、やっぱ独占欲かなぁ。
王家の特製アルコルは、味もいいが催淫効果がイイ!
王子が自分からのってきてくれる。
かわいい……。
「おまえは、いつか消えてしまう気がするから」
けど、王子はいつもなんとなく不安そう。
オレって消えるの?
メインストーリーが終われば、元の世界に戻るんだろうか?
そう言い出したのは、王様だった。
王の私室の奥にある禁書庫。
そこには、歴代の王の日記が収められているらしい。
「禁書庫とは名ばかりで、私的な日記ですから閲覧は不要とされたものです」
「王様は、その日記をお読みになったことが?」
「ええ。王位を継承してすぐの頃に、パラパラと。
けれど、すぐに執務が多忙になってしまい、ほとんど読めていません」
禁書庫に向かったのは、王とゾフィア、王子とティム、魔術師ギルドマイスター。
それ以外のマイスターたちは、街の修復やスプリガン対策に向かった。
「ここが、禁書庫です。二代前の王の日記と関連した書籍を探しましょう」
魔術師ギルドのマイスターは、目を輝かせて本棚を見ている。
「王様、これは国の宝です。初代からの日記がすべて現存するとは。
これを詳細に調べれば、我が国の歴史書を作ることができますぞ」
「そうですね。けれど、我が国の王たちは、あまり興味がないのです。
自分たちの歴史には。
『国民の現在の幸せの責任が、王にはある』
それを実現するのが、王たる者の務め。それ以外は、不要。
そう教わりました」
「ええ。王様がたは、実際にそうされてきましたなぁ。
その偉大な功績を残さないのは、どうにももったいない」
「ふふふ。では、マイスターの老後にでも編纂をお願いしましょう」
「それは、それは、喜んで」
ゾフィアは、さっそく二代前の王の日記を見つけたようだ。
けれど、それは10冊以上の量だった。
「手分けして、土の精霊のことが書いていないか探しましょう」
ティムは、5冊目の日記を渡された。
ざっと目を通しながら、探す。
日記は、一年に1冊ずつ書かれているようだ。
真ん中くらいまで読み進めたところで、事故の記述にいき当たる。
【 霜の月 14日目
今日は、大変な事故が起きてしまった。
モントツッカーの供給が足りないので、急いでいたのが失敗だった。
足を滑らせて、最下層までトンネルを真っ逆さまに落ちた。
命はないと覚悟したが、気がつくと無傷だった。
ベルグが守ってくれたようだ。
しかし、ベルグ自身はバラバラに砕け散ってしまった。
精霊は、時間とともに修復されると聞いている。
早く戻ってくれることを期待しよう。 】
やはり、王様が聞いていた通りのようだ。
【 新緑の月 3日目
今日も時間ができたので、地下に核を探しに行く。
けれど、どこかに埋もれてしまったのか見つからない。
核さえあれば、ベルグの復活を早められるかも知れないのに。
樹液の結晶は、ベルグがいないと立方体にならない。
純度は下がるが、仕方がない。
結晶だけを少しずつ運ぼう。 】
土の精霊には、核があるらしい。
結晶をベルグが食べて立方体にすることも確かのようだ。
【 花の月 26日目
ベルグは復活しない。
人の出入りがあると、場が乱されるのかも知れない。
しばらく、地下への立ち入りを禁止しよう。
代わりに、樹液の採取口を別に作るしかない。 】
どうやら、地下の封鎖は事故のせいではないようだ。
精霊を復活させるために、立ち入りを禁止したということらしい。
【 収穫の月 18日目
ベルグが砕けてから、もうすぐ一年になる。
復活の兆しはない。
いつまでも、ベルグの復活を待つべきではないのだろう。
幸い、樹液からも安定してモントツッカーは精製できる。
ベルグのことは忘れて、樹液の安定供給を目指そう。
栽培する野菜の種類を増やして、輸出量も増やそう。
そうすれば、民たちは潤う。
それが、王たる者の務めだ。 】
一年で復活しなかったベルグを諦めて、王は次の手段に出たようだ。
この国の王は、切り替えが早い。
それが、この国を豊かにしてきたのだろう。
けれど、ここでの決断が、土の精霊の存在を忘れさせた。
そして、のちの王に精霊の扱いを伝えられないことになったようだ。
それぞれが確認できた内容を話し合う。
ゾフィアは、王になった最初の年の日記から精霊の扱いを見つけ出した。
「ここを見てください。
『前王が精霊の核を取り出すと、精霊は土に戻った。
わたしが、魔力を核に込めて、土の中に埋める。
すぐに、土は精霊になって、わたしの側に控えた』とあります」
「ということは、前の王が核を渡せばいいということですね」
「そうでしょう。けれど、困りましたね。前王は、すでにいらっしゃらない」
「……あっ! だから、ルイ様なのかも知れません!」
「えっ?」
急に名指しされて、王子が戸惑う。
王子の戸惑いをよそに、話は進む。
「こんな時に、我が国に来てくださったのも何かのお導きでしょう」
「そうですよ、きっとそうに違いありません」
「あのお顔立ち。初めて見た時には、驚きました」
「ええ。お名前だって、そうです」
「これは、やはり」
王子の代わりに、ティムが尋ねる。
「ルイが、どうかされました? 目の前で知らない話をされるのは……」
「いや、これは失礼しました。
この話は、あとでお茶でもいただきながら致しましょう」
「ええ。それなら、いいのですが」
ティムが見つけた、事故の記述も皆に見せる。
やはりそうだったかと、皆が納得する。
「精霊の扱いと事故の詳細が分かったので、戻りましょう。
また何か必要ならば、いつでも禁書庫は開けます」
王様がそう言って、全員で小さな応接室に向かう。
応接室には、果実のパイとお茶が用意されていた。
「さぁ、疲れたでしょう。食べながら、話を聞いてください」
「先ほどのお話をしてくださるのですか?」
「もちろんです。
その話をするためには、我が国の初代にまで遡らなければなりません」
***
初の禁書庫登場!
『禁書庫』って言葉の響きがワクワクするよな~。
ま、この国の禁書庫はただのプライベート書庫ってとこ。
特に深い意味はなさそうだけど。
開いたら呪いが発動する魔導書とか置いてありそう!
だけど、実際には、普通の日記だったわ。
ゲーム内に出てくる本って、大抵は読めないか、字が少ない。
けど、ここにあるのは、本当に誰かが書いたっぽい日記。
リアル~!
いや、リアルっていうか、ここがオレの今のリアル。
だから、普通に字が読めても当たり前か。
ひとまず、土の精霊の制御法が分かったらしい。
どうやら、王子を使う?
その話をするのに、初代まで遡るってすげぇな。
*****
「城の広間にあった肖像画をご覧になったでしょう?」
「ええ、もちろんです」
「あの肖像画に描かれているのが、初代グリュン王ルイ1世です」
「ルイ、とおっしゃるんですか?」
「ええ、そうです。
あなたのお名前をうかがって、驚いたのにも理解いただけるでしょう」
「え、ええ。はい。この国は、カッツェンが興した国だったのですね」
「そうです。もちろん、カッツェンだけではありません」
広大な平野の真ん中で、不思議な木を見つけたのが、のちのルイ1世。
その時は、ただの旅の若者ルイだった。
十数人の仲間と旅をしながら、その日暮らしをしていたらしい。
不思議と惹かれる木の根元で、野営をすることになった。
布を張るために、木の近くを少しだけ掘る。
すると、木を少しだけ削ってしまったらしい。
紫色の樹液のようなものがにじみ出てきた。
毒耐性の高いカッツェンは、新しいものを見つけると舐めてみる。
その時も、何の気なしに舐めてみた。
その樹液は甘く、疲れた体がみるみる元気になった。
「仲間うちには、人もおりました。
その人も、本当に少しだけ舐めてみたそうですが」
「酔ったようになったのですね?」
「ええ。精製されていないので、そこまでひどくはないでしょうが」
樹液を舐めたカッツェンたちは、その味にひどく惹かれた。
この木が、自分たちの力になると直感した。
すぐに、木の周辺に家を作り、畑を作った。
十数人の仲間とともに、予定にはなかった定住を始めたのである。
「そのくらい、おいしかったのでしょうか?」
「それもあるでしょうが、ルイ1世は直感に優れていたそうです」
「と、言いますと?」
「ルイ1世がいいと言ったものは、大抵、成功するとか。
旅に出たのも、直感がそう示したからだと聞いています」
ルイ1世は、何もなかった平野に街を作った。
街は人を呼び、人は街を大きくする。
一代で、ルイ1世は国の基礎を作り上げてしまったのである。
「モントツッカーは、国づくりに大きな役割を果たしたそうです。
回復薬がまだ簡単には手に入らない時代でしたから。
樹液から作られたモントツッカーを求めて、多くの民が集まりました」
「土の精霊は、どこで?」
「土の精霊を見つけたのは、ルイ3世だと言われています」
「ほかにもルイが?」
不思議なことに、王家には初代にそっくりな子どもが時々生まれた。
その子たちは、意図せずにルイと名づけられた。
ルイと名づけられた子は、のちに王になった。
そして、国の危機を救ったり、新たな技術をもたらしたりするのである。
「ルイ3世は、木を『ゾンネンバウム』と名づけたかたです。
樹液の効率的な採取のために、トンネルを作ったかたでもあります」
「もしや、そのトンネルで精霊を?」
「おそらく、そうでしょう。
ベルグが、現れてからモントツッカーは増産されました。
カッツェンは、ますます元気に働き、我が国の領土は広がりました」
ルイ7世は、近隣諸国との戦いを避けるために連邦国家への参加を決めた。
ルイ11世は、禁止薬物になったモントツッカーを救った。
全王会議で、グリュンでのみ流通させることを認めさせたのである。
そして、先々代であるルイ15世。
スプリガンの使役を発見して、大規模農場を少人数で経営できるようにした。
「グリュンには、運が味方しているようですね」
「ふふ。そうだと信じています。
ですから、あなたが現れた時に危機は去ると思いました」
「わたしは、グリュンの者ではないのに、なぜでしょう?」
「なぜ、同じお顔なのかということですか?」
「はい。不思議です。名前も」
「実は、ルイ7世からあなたと同じことが起こり始めました」
カッツェンは、カッツェン以外とも子をなすことができる。
けれど、生まれた子は、そのことごとくがカッツェンだった。
おそらく、カッツェンの血が強いのだろうと言われていた。
ところが、ルイ7世には不思議なことが起きた。
一日に2時間だけ、人の姿になるのである。
グリュンでは、人の見た目をあまり気にしない。
だから、7世にとっては、どちらでも良かったようだ。
けれど、この変身は、国にとっては利点になった。
グリュンの連邦国家への参加には、反対する国もあった。
カッツェンの王は、信用できないという理由だった。
その全王会議に、7世は人の姿でおもむいた。
『カッツェンだから』という理由はなくなり、連邦への参加は認められた。
「だから、わたしの変身にも驚かなかったのですね?」
「ええ。むしろ、嬉しくなりました」
「ということは、わたしの祖先にグリュンのカッツェンのかたが?」
「おそらく数代前にブラオに嫁いだ者の血でしょう。
代を重ねるうちに、カッツェンの子はカッツェンだけではなくなりました」
「そうなのですか?」
「はい。グリュンにも人が増え、他国との婚姻も増えましたから。
変身もせず、ほとんど人と同じという子もいます」
「ほとんど?」
「ええ。モントツッカーに耐性があるところだけは、残るようです」
「ははは。それは、わたしも同じです。アルコルも好きです」
「それでは、王家に伝わるアルコルもごちそうしなくては」
「それは楽しみです」
同じ顔、同じ名で生まれるルイは、生まれ変わりなのではないか。
そうグリュンの王家では考えているらしい。
「けれど、わたしはグリュンの王家に生まれてはいない」
「ええ。けれど、我が国の危機には現れてくださった。
どのようなかたちでも我が国を守ってくださっています」
「そうですか? それなら、いいのですが。
それでは、土の精霊の話を聞かせていただいても?」
「ええ。もし、生まれ変わりならば、その魂は同じはず。
ベルグは、あなたの魂に反応して懐いているのではと思います」
「なるほど」
「ですから、あなたを今の主人だと感じているわけです。
主人のあなたが、ベルグから核を取り出し、渡してもらえれば」
「前王からの引き継ぎと同じことができるはずだと?」
「そうだと思います」
初代から続く長い話が終わり、土の精霊の譲りかたにも目処がついた。
王様は、ほっとしたようなため息をついた。
王子も、やや疲れたような表情を浮かべている。
それを見たティムは、夕食までの休憩を願い出た。
王子とティムは、部屋に戻って休むことになった。
「王家特製アルコルをいただいたぞ」
「ルイ……、今飲んでも大丈夫ですか?」
「なぜ?」
「催淫効果があるのでは? 夕食も王様とご一緒するのでしょう?」
「うん! そうして休めということだろう?」
「はは。ご承知の上でしたか」
「ティム、ダメか?」
「もちろん、ダメな時などありません」
王子は、ゴブレットにアルコルを注ぐ。
王家特製アルコルは、澄んでいながらも深い紫色をしている。
ひとくち飲んだ王子は、目を輝かせる。
「これは、ほかとは違う味わいだろうな。わたしでさえ、少し酔いそうだ」
「わたしは、やめておいたほうが?」
「いや? 薄めるから、少しだけ飲んでみてくれ」
勧められて飲んだアルコルは、爽やかな飲み口なのにズシンと腹にくる。
王子の腕が、ティムの腰に巻きつく。
「ルイ? 珍しいですね」
「そうか? 本当は、いつもずっとこうしていたい」
「そうなの……ですか?」
「そう。ティムの核に、わたしの魔力を注ぎ込んで埋めたい。
そうして、死ぬまで離れないようになればいいのに」
「もうなっていますよ」
「ティムは、いつもそう言ってくれるが、わたしは不安なんだ」
「なぜです?」
「おまえは、いつか消えてしまう気がするから」
「消えたりしませんよ。
わたしのいる場所は、ルイの側以外に、どこにあるって言うんです?」
王子は、返事をする代わりにティムの唇をふさいだ。
そして、むさぼるようにティムの中を探る。
ティムもそれに応えていると、王子にベッドの上に押し倒される。
王子がティムの体中に唇を落としていく。
すぐにでも王子をひっくり返して、下にしたい気持ちが起こる。
けれど、むずむずする気持ちを抑えて、王子の好きにさせる。
催淫効果のあるアルコルを飲んだせいだろうか。
王子は、ティムの体とふれあっているだけで、達してしまう。
ティムは、王子を抱きしめて、その体中に舌を這わせる。
王子は、そのすべてにあえぎ声で応える。
とうとう最後には、声がかすれてしまう。
ティムは、ゆったりと王子の中に入っていく。
声が出ない王子の体が、のけ反って快感をティムに伝える。
夕食前の軽い運動にしては、やりすぎだなとティムは思った。
***
王子は、グリュンの王家の血を引いてたっぽい!
予想はしてたけど、顔も名前も同じなんてすげぇ!
このあたりは、いかにもゲームっぽいんだけどなぁ。
生まれ変わり、なんてホントにあるのかなぁ?
あ、でもオレって異世界転移しちゃってるんだった。
だったら、あってもおかしくないな。
土の精霊の譲りかたも分かって良かった。
あいつ、大型犬みたいでかわいいけどさ。
やっぱ、王子の側にいるのはオレだけでいいんじゃね?
これって、やっぱ独占欲かなぁ。
王家の特製アルコルは、味もいいが催淫効果がイイ!
王子が自分からのってきてくれる。
かわいい……。
「おまえは、いつか消えてしまう気がするから」
けど、王子はいつもなんとなく不安そう。
オレって消えるの?
メインストーリーが終われば、元の世界に戻るんだろうか?
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