魅了なんて、オレには効かない

クリヤ

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第3章 王子の出自と追放された姫

(7)金色の魔女の正体

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 ローブという手がかりを失って、失望する王子とティム。
 けれど、気になることは、ほかにもある。
 王子は、引き続き、ゴルトの秘密とされる魔女についての話を切り出した。

 「ゴルトに『金色の魔女』と呼ばれる存在がいるのは、本当ですか?」

 アウグストとアントンは、顔を見合わせると、クスッと笑う。
 そして、笑顔のまま、王子に向かって答えを返す。

 「もちろん、いる。我が国は、金色の魔女が動かしているんだ」

 その返答に、ティムが身構える。
 ティムを目で制止すると、王子は質問を続ける。

 「金色の魔女は、魅了魔法を使えるというのは本当ですか?」
 「ああ、そうだ。我が国では、そういわれている」
 「我が国では? どういう意味です?」
 「魔女がまとめる取り引きは、まるで魅了魔法だということだ」
 「取り引き? まるで、とは……?」

 王子の戸惑った様子に、アウグストがこらえきれぬように笑い出す。
 アントンも、ニコニコとほほ笑んでいる。

 「魔女の正体を知りたいかい?」
 「はい。もちろんです」
 「我が国に伝わる金色の魔女とは、取り引き上手な女性のことだ」
 「はい? 魅了魔法で取り引きをするのですか?」
 「いや? もちろん違う。商売には、落とし所というのがある。
  取り引きをする者は、どちらも同じように満足しなければならない。
  どちらかが不満なら、継続的な取り引きはできないからね」
 「ええ……」

 魔女の魅了魔法の話を聞いているはずなのに、取り引きの仕方の話になる。
 王子は、ますます戸惑いを隠せない。

 「金色の魔女は、その落とし所を見つける能力に長けている。
  相手の望むものや金額を、瞬時に察知して、値つけをしていく。
  取り引きが終わる頃には、相手が必ず満足して笑顔になる。
  その姿が、まるで魅了されたかのように見えるのだよ」
 「それでは、魔法を使っているわけではないと?」
 「そうだ。魔女の力は、天性のものだ。
  我が国にはね、その能力を持つ女性が一世代にひとりは生まれる。
  その女性のことを、当代の金色の魔女と呼んでいるのだ」
 「それでは、魔女というのも、魅了魔法というのも、比喩だと?」
 「その通り。他国や王都を害するものではない。
  むしろ、連邦を貿易というかたちで豊かにする存在だろう」

 はぁぁぁ~、と王子が長いため息をついて、下を向く。
 王子が、いかに気負っていたかが分かる。
 ティムは、その背中をそっとなでた。
 すると、王子は気を取り直したように、顔を上げると質問を続けた。

 「……失礼しました。それで、当代の魔女というのは?」
 「現国王だ。幼き頃から、その才は秀でていた。我の姪にあたる。
  我らが婚姻した時に、次の国王として養子に迎えたのだ」
 「ええ。あの子が優秀ゆえ、わたしとアウグストは早めの隠居ができました」
 「アウグスト様が国王の時代にも魔女が?」
 「もちろんいた。宰相として、さらには現国王の師として活躍した。
  今も相談役として、国の中枢に残ってくれている」
 「それでは、金色の魔女、もしくは、魔女に習って魔法を。
  王都に大規模な魅了魔法をかけるなどというのは……」
 「あり得ない。そういうものではないからな」
 「そう、ですか……」
 「そもそも、魅了魔法などの幻惑魔法は大規模にかけられるものではない。
  麻痺魔法などと同じで、対象への接触が必要だろう。
  それに、連邦では魅了魔法は、原則、禁止されたはずだが?」
 「そうなのです。魅了魔法は、悪用されやすい。
  ですから、医師が治療に用いる場合など一部を除いて禁止です」
 「それなのに、王都には大規模な魅了魔法がかけられたと?」
 「はい。おそらくですが」
 「おそらく? 確定ではないのか?」
 「魅了魔法がかけられたと思しき人が、多数います。
  けれど、いつ、どのようにかけられたのかは不明のままです」
 「なるほど……」

 アウグストは、アゴの下に手を添えて考え込むような様子を見せる。
 アントンが、黙ってお茶のお代わりを用意している。

 「ということは、我が国が王都を害した黒幕だと考えたわけか?」
 「い、いえ。そういうわけでは。
  大規模魅了魔法を使えるのは、連邦でも金色の魔女くらいだろうと」
 「ふむ……。それだけで、我が国を疑ったわけではないのだろう?」
 「わたしに、毒のようなものを盛った女性が金色のドレスを。
  それに、グリュンの姫と婚約破棄してまで結ばれたいのがゴルトの姫だと」
 「そういうことになっていたのか?」
 「はい。失礼ながら、わたしには姫との面識がなく。
  そのような関係でもありません」
 「そうだろうな。ふたりを見ていれば分かる。
  愛しているのだろう?」
 「はい、わたしにはティムさえいれば、ほかには何も」
 「ふふ。若い頃を思い出すよ、我もそうだった」
 「今は違うのですか? アウグスト?」
 「おや、アントン。珍しいこともあるものだ。若い人に刺激を受けたかな? 
  今宵を楽しみにしておこう」
 「ふふふ。わたしもおふたりのようになりたいものです」


 ***

 金色の魔女の正体は、商売上手な女性だったって!
 まぢか~! 魅了も魔法のことじゃねぇとか。
 手がかりなくなっちゃったじゃん。
 どうすんだ、これ。

 しかも、魔女って呼ばれてんのは現国王。
 連邦崩壊させる意図でもなきゃ、やるわけないし。
 商売上手さん的には、王都乗っ取りする意味もなく。
 あれあれ? これってさぁ。
 連邦内のすべての国をまわったのに、黒幕いないってこと?

 いやいや! 国王に会ってみるまでは、分からんだろっ!
 アウグストとアントンは、隠居の身。
 権力はすでに移譲されてるわけだから。

 ん? じゃあ、魔女から魔法を習った誰かっていうのは?
 やっぱり、ゴルトの姫のことなのか?
 おとなしくて、本好きな?


 *****

 話を続けようと、王子が口を開きかけた時。
 青いモヤが王子の周りを覆う。
 モヤが消えると、人の姿に戻った王子が現れる。

 「おお! こちらの姿では、はじめましてだな。
  うん、人の姿も大層美しい王子様だ」
 「ありがとうございます。時間が経ってしまったようです」
 「だいぶ長く話してしまったかな。今夜は泊まってくれ」
 「ええ。お言葉に甘えさせていただきます」
 「早めに夕食の支度をさせましょう。
  アウグスト、お話の続きは夕食の時でいいですね?」
 「ああ、構わない。ふたりも、それでいいかい?
  少し休むといい。部屋を用意させよう」
 「はい、お気遣いありがとうございます」

 王子とティムに用意された部屋も、異国の香りが漂う。
 様々な色合いの絹のクッションや上掛け。
 寝台の天蓋からさがる布も鮮やかな色に豪華なふさ飾り。

 「ルイ。アントン様からうかがったのですが。
  ここには、異国風の蒸し風呂があるらしいですよ。
  試してみますか?」
 「蒸し風呂? 入ったことはないが、興味はあるな」
 「では、行ってみましょうか」

 蒸し風呂の中にも、鮮やかで美しい幾何学模様のタイルが貼られている。
 異国風のハーブの香りが室内を満たす。

 「暑いなぁ……」
 「しばらくは、じっと汗が出るのを待つとか」
 「ティムは、平気か?」
 「ええ、まぁ」
 「……もう、無理だ!」

 蒸し風呂を飛び出した王子を、ティムがつかまえて座らせる。
 固く絞った布で、王子の体をこすっていく。

 「これは、気持ちがいい。こんなに汚れているのか」
 「ツルツルの肌が、もっとツルツルになりそうですね」
 「……あっ、ん! ……ティム、変なところにあたる……」
 「敏感なところは、もっと優しくしますから大丈夫ですよ」

 胸の桃色の突起周辺をこすられると、王子が反応してしまう。
 そんな王子を見ながら、ティムは楽しそうに作業を進める。

 「アウグスト様たちのような隠居生活には憧れるなぁ」
 「もう隠居の話ですか? まだ王にもなっていないのに」
 「そうだなぁ。でも、わたしは王には向いていないと思う」
 「そんなことはありませんよ、皆を惹きつける王になられます」
 「うん……。その時、ティムは……」
 「はい?」
 「いや、何でもない」

 下半身をこすり始めると、王子の反応はますます強くなる。

 「ん……、ふっ。……あ、んくぅ……」
 「直接さわっているわけでもないのに、敏感ですね」
 「……言うな。ティムにふれられたら、それだけでダメなんだ……」
 「なんてかわいらしい王子なんでしょう。食べてしまいたい」
 「んっ! ……夕食は、これからだぞ。……あっ」

 やたらと楽しそうなティムに翻弄されて、王子はクタクタになる。
 こすられて磨かれた肌は、より一層、白く輝いていた。


 ***

 ああ! オレのお気に入りカッツェンタイム終了~。
 もうちょっと、なでたかったなぁ。
 最近は、カッツェンタイムを潜入とかにばかり使う。
 たまには、気持ちいいことに使いてぇ!
 と思っても、言いませんよ? 従者ティムとしてはね。

 残念~って思ってたら、なんと今日はご褒美タイムがっ!
 蒸し風呂だって!
 要するにサウナだけど、この世界にもあるんだなぁ!
 色白の王子は、サウナであたたまると、全身がピンク。
 そそられるのをガマンして、布でこする。
 これが案外、楽しかった!
 王子が敏感すぎて、エロい声が出ちゃう。
 オレも楽しくなって、ついつい、わざとこすってました!

 つるんつるんになった王子をいただくのが楽しみ。
 だけど、まずは話の続きだな~。


 *****

 食卓に並んだのは、やはり異国風の料理。
 串焼きからは、数種のスパイスの香り。
 肉も連邦で食べられているものより、野生味あふれる香りがする。
 新鮮な野菜と酸っぱめの味つけのクリームソース。
 豆のスープもひと味違う。

 「口に合うかね?」
 「はい、初めて食べましたが、おいしいです」
 「こういう料理も、料理人も娘が手配してくれてね」
 「娘さんというと、現国王陛下ですか?」
 「そうだ。娘は、商売上手だし、異国に興味もあってな。
  自ら異国に買い付けにもいくのだよ。異国の言葉も、上手にあやつれる」
 「国王自らですか?」
 「そうだ。あの子の関心は、外に外に向かっている。
  だから、連邦を崩壊させるようなことをわざわざすることはない。
  それは断言してもいい」
 「そうでしたか。よく分かりました」
 「けれど、伝説の宝のこともある。
  明日は、我らもともに城に向かおうじゃないか」
 「本当ですか? それは助かります」
 「うん。だから、今日は心置きなく休んでくれ」

 おいしい料理に満足して、王子とティムは疲れた体を休めた。

 次の朝、王子とティムはアウグストとアントンとともに城へと向かう。
 思ったよりも早く、ゴルトの城壁が見えてくる。
 青みがかったレンガが積まれた城壁に、はためくのは金色のゴルト国旗。
 門は、やはり金色に塗られており、その真ん中には秤りの模様が描かれている。

 アウグストとアントンとともに待つ応接室。
 そこに現れたのは、ひとりの女性。
 装飾の少ない動きやすそうな衣服に身を包んでいる。
 
 「ようこそ、ゴルトへ。王子様。わたしが、国王のミラです。
  あなたには、聞きたいことが山ほどあります」

 おとなしそうな見た目に反して、開かれた口からは強めの言葉が飛び出す。
 けれど、そのあとにしたニコリとした笑顔は、とても魅力的だった。


 ***

 異国の料理っていうのは、オレもほぼ初めて。
 串焼きの肉は、羊っぽい。
 香辛料がたくさん使ってあって、肉の臭みは感じない。
 サワークリームみたいなソースをつけて食べる野菜もいい感じ。

 この世界でも外国好きってのがいるんだな。
 国王自ら、異国に買い付けだって!
 国王っていうより、やり手の商社の人みたいじゃね?
 通訳なしで、外国とのやり取りもできるらしい。
 確かに、そういう人は国内にゴタゴタを持ち込む気はしない。

 オレたちの目の前に現れた国王は、まぢで商社の人みたい。
 スーツみたいなシンプルな服を着て、ツカツカ歩いてくる。

 「ようこそ、ゴルトへ。王子様。わたしが、国王のミラです。
  あなたには、聞きたいことが山ほどあります」

 このセリフを言った時の国王は、さすがの迫力。
 目が笑っていない。
 けれど、その直後に笑った顔の魅力的なこと!
 これはもう、天然人たらしの笑顔ですよ。
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