すべてを風のせいにして 〜タイムループバタフライ〜

クリヤ

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(13)カンちゃん

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 「はい、どうぞ~」
 「え? まぢでいいの?」
 「うん、余ってるから食べて~!」
 「わ~い、ありがと~」

 クラス全員分のあんドーナツ。
 高校生のあたしには痛すぎる出費だよ~!
 けど、しょうがない! シュンスケのためだし。
 ターゲットはマリコひとり。
 でもさ、マリコにだけ渡したら、おかしいもんね。

 っていうか、あたしはまだマリコを思い出せなかったからさ。
 出席簿を確認しちゃったよ!
 マリコって名前はひとりだけ。
 思い出せないわけだよ~。
 『カンちゃん』なんだもん!

 名字で呼んでる子って名前、覚えてなくね?
 あたしだけ?

 『カンちゃん』が、シュンスケをいぢめるマリコ?
 ぜっんぜん、分からん!
 同じクラスだけど、名前も呼ぶけど……。
 あんまり接点がないんだよなぁ。
 一緒に遊んだ覚えもないし、ホントにクラスメイトってだけ。
 恨まれるほどの関係じゃない。
 それに、そんな嫌な子ってイメージじゃない。

 「はい、カンちゃん。サツマイモでいい?」
 「ありがと~! サツマイモが1番好きなんだ~!」
 「まぢで? 良かった」
 「どうしたの? こんなに」
 「いやぁ、うちのお母さんが買いすぎちゃって」
 「そうなんだ、羨ましい~!」
 「そう? 迷惑なだけだよ~」

 「美味しいけど、めっちゃこぼれる~!」
 「だよね~。それもまたいいんだけどね」

 んんん?
 カンちゃん、めっちゃこぼすじゃん!
 しかも、それが楽しそう♪
 じゃあなんで、シュンスケにはきびしいの?
 年とって変わった?
 いやいや! 高校時代のグチを言ってるって話だったじゃん。
 どういうこと?
 目の前にいるカンちゃんからは、そんな感じがしない。

 とりあえず、今回の出だしはオッケーじゃね?
 入試対策でチートはダメだけどさ。
 マリコ攻略ならチートもありありだよ~!
 シュンスケにもっと色々聞こうっと。

 「いい感じで話せたよ~!」
 「……それは良かったです。大丈夫でしょうか?」
 「うん。全然いい感じの子だったけど」
 「ボクには、ずっときびしい祖母ですから……」
 「でも、高校時代になんかあるんだよね?」
 「はい、おそらく」
 「マリコってさ、大学はどこ?」
 「D学院らしいです」
 「え? まぢで? ケイタと一緒じゃん!」
 「はい。でも、聞いたことない……。なんで?」
 「あまり人には言いたがりませんので」
 「なんで? 別に隠すような大学じゃないじゃん」
 「一浪して入ったので……」
 「あ、そうなの? それが問題なのかなぁ?」
 「本当は遠くの大学に行きたかったようです」
 「そうなの⁉︎ それで一浪?」
 「たぶん、そうですね。親がそれをずっと責めたようで」
 「え~! まぢで? だって、受験なんて運ゲーじゃん!」
 「まぁ、そういうところはありますね」
 「うん! 大事なのは入ってからだと思ったよ」
 「理解のある親だけじゃないですから……」

 う~ん……。
 受験の失敗が、ずっと人生を縛ってる?
 真面目っぽいカンちゃんなら、あり得る……のか?

 あ! じゃあさ、あたしが教えればいいんじゃね?
 カンちゃんが希望大学に受かれば!
 そしたらコンプレックスもなくなるでしょ。

 今回は、うまくいきそう!
 それで、ついでに仲良くなればオッケーじゃん。
 シュンスケ~! 待ってろよ~!

 あれ? あたし、また結局、勉強するってことじゃ……。
 あははは。もうっ!
 笑うしかないっ!
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