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5章
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俊治と倫子はもやしがいなくなって、ホッとしていた。これで力づくで隠蔽できたら、今まで通り過ごせる。
「・・・・・・そうですか。分かりました。あなた達自分がしたことと今の状況わかってないそうですね。この数日で学校にどれだけ嫌がらせの電話来たかご存知ですか? それぞれのご家族、志村真凜さんとこに嫌がらせやいたずらが来てるのです。――これがどういうことかお分かりですか?」
田丸家と佐久間家には嫌がらせのピンポンダッシュ、誹謗中傷の手紙、家が特定され動画サイトにアップされていた。
俊治の娘の学校、加奈子の勤め先、息子が住んでるグループホームと勤務先に、突撃動画ネットに流されてる。
倫子の息子は勤め先を特定され、会社からしばらく休んでくれと言われ、出社不可な状況である。
藤ノ宮女子高校にも嫌がらせの電話が来た。
『土下座か死んで詫びろ!』
『夜道気をつけるんだな』
『佐久間倫子と田丸俊治は神原千夏を放置して逃げた! 自分たちの快楽を優先した! 人殺し!』
『藤ノ宮女子高校は隠蔽体質』
などなど聞くにも見るにも耐えない内容がこの数日で来ている。
ネットに拡散された情報によるものである。
SNSのハッシュタグに
『佐久間校長と田丸を辞めさせよう』
『志村真凛さんと和田紬さんと警備員さんを復帰させよう』
『藤ノ宮女子高校に抗議します』
とつけて盛り上がっている。
「学校から、家族からの連絡を無視してましたね。教頭から相談が来て調べたらこのザマ……本当にあなた達は教育者ですか? 二人ともスマホを見てくださいよ」
俊治と倫子のメッセージアプリには家族から、学校関係者から来ていた。二人共それを全て無視した。
『私と田丸先生が来てなくても知らないで突き通して』
『佐田と志村真凛と和田紬と高山のぞみを辞めさせるように書類作って』
倫子は自分の取り巻きにメッセージを送っているだけだ。
俊治の娘からは知らない人からずっとつけられていること、家に来て『お前の父ちゃんと兄は人殺し!』って言われて動画になってることのメッセージが来ていた。
「俺たちは関係ないって! 倫子と保健室の先生を探しに行っただけだ! 勝手にあいつらが救急車呼んでくたばっただけだろ。あいつらに責任ある」
「そうよ! 私達悪くないわ。だから逆らったあの生徒が悪いのよ! ねっ、俊治さんっ」
倫子は俊治の腕を絡めて肩に寄せる。
二人共お互いを庇おうとする姿勢は変わらない。
「学園長、この二人やっぱり逃げてました」
席を外してた顕信が戻ってきた。タブレットを持ってきている。
「逃げたってなんなのよ!」
倫子が甲高い声で喚く。
「さっきからキャンキャンうるさいわね。黙ってくれる?」
睨みつけるような目つきで加奈子が制止する。
「これです。ここの防犯カメラの画像。警備員の方に見せていただきました」
顕信は校内にある警備兼受付へ行っていた。
事情を話し快く見せてくれた。
タブレットに映像データを移した。
「こちらです。御覧ください」
体育館の映像には一年二組の授業の様子が映し出されている。
田丸が志村真凛を罵倒して首を絞めている所や、蹴りを入れている所、神原千夏の吸入薬を投げ捨てた所・・・・・・。
千夏が倒れた姿や俊治と倫子が体育館から出て駐車場に向かう姿、紬が保健室の先生を体育館につれてきた姿が映し出されてた。
――そして俊治が自分の車に倫子を乗せて学校を出た姿も記録されていた。
倫子の車は残したままで。
これ全て神原千夏が亡くなった日に起きたことだ。
彼女の車は説明会の日に駐車場からどこかへ向かう姿が映し出されていた。
「これ逃げてるよね? どういうことだい?」
「違う違う・・・・・・私は、あの映像・・・・・・」
倫子はあの日の映像を消すように説明会の後警備員に頼んだ。
すぐに承諾してくれたはず。
しかし実際には残っていた。
警備員側としては、同僚の石綿敏夫がいきなりクビと言われ、倫子の方針に納得していなかった。
敏夫はクビを言われた日に同僚達に「クビを言われたよ。俺、納得いかねぇ。あいつが俺のこといけ好かないのは知ってたけど・・・・・・喘息で亡くなった生徒の件での過失を俺に押し付けて、これ幸いと言わんばかりに辞めさせるんだよ・・・・・・学園長に相談しようかな」と顔面蒼白で呟いてた。
同僚達は話を聞いて、なにか残しておこうと一度消して倫子が説明会から帰った日に復元した。
神原千夏の件だけでなく、他の日には教室に二人で一緒にいる所、校長室でいたしてる所などなど校内で頻繁に二人でいる姿が映し出されていた。
しかもいずれも勤務中の様子だ。
「俺たちは悪くない。まんてんもしらさぎの湯もその日行ってない!」
その瞬間、学園長と顕信はニンマリと顔を見合わせた。
「ちょっと、二人の秘密言ってるんじゃないわよ」
俊治は小声で倫子に窘められる。顔が青ざめた。
「具体的な場所言ってくれてありがとう」
「やっぱり二人は男女の仲だったか・・・・・・しかも勤務中に・・・・・・挙げ句の果てには生徒が死んでいるのに雲隠れして・・・・・・それに神原さんと志村さんのご家族に未だに謝罪されてないそうですね。聞きましたよ。どういうおつもりで?」
顕信と学園長に追い詰められた二人は黙りこんだが、俊治が人目を気にせずにあくびをする。
「はぁ? 何で俺たちが謝らないといけないんです? 生徒とあの警備員の過失なのに? 死んだのは俺たちに逆らったからだろ。罰が当たってザマァみやがれですよ」
俊治はケケケと笑う。
謝罪に行かないというよりは行く気がないのである。
「・・・・・・そうですか。分かりました。あなた達自分がしたことと今の状況わかってないそうですね。この数日で学校にどれだけ嫌がらせの電話来たかご存知ですか? それぞれのご家族、志村真凜さんとこに嫌がらせやいたずらが来てるのです。――これがどういうことかお分かりですか?」
田丸家と佐久間家には嫌がらせのピンポンダッシュ、誹謗中傷の手紙、家が特定され動画サイトにアップされていた。
俊治の娘の学校、加奈子の勤め先、息子が住んでるグループホームと勤務先に、突撃動画ネットに流されてる。
倫子の息子は勤め先を特定され、会社からしばらく休んでくれと言われ、出社不可な状況である。
藤ノ宮女子高校にも嫌がらせの電話が来た。
『土下座か死んで詫びろ!』
『夜道気をつけるんだな』
『佐久間倫子と田丸俊治は神原千夏を放置して逃げた! 自分たちの快楽を優先した! 人殺し!』
『藤ノ宮女子高校は隠蔽体質』
などなど聞くにも見るにも耐えない内容がこの数日で来ている。
ネットに拡散された情報によるものである。
SNSのハッシュタグに
『佐久間校長と田丸を辞めさせよう』
『志村真凛さんと和田紬さんと警備員さんを復帰させよう』
『藤ノ宮女子高校に抗議します』
とつけて盛り上がっている。
「学校から、家族からの連絡を無視してましたね。教頭から相談が来て調べたらこのザマ……本当にあなた達は教育者ですか? 二人ともスマホを見てくださいよ」
俊治と倫子のメッセージアプリには家族から、学校関係者から来ていた。二人共それを全て無視した。
『私と田丸先生が来てなくても知らないで突き通して』
『佐田と志村真凛と和田紬と高山のぞみを辞めさせるように書類作って』
倫子は自分の取り巻きにメッセージを送っているだけだ。
俊治の娘からは知らない人からずっとつけられていること、家に来て『お前の父ちゃんと兄は人殺し!』って言われて動画になってることのメッセージが来ていた。
「俺たちは関係ないって! 倫子と保健室の先生を探しに行っただけだ! 勝手にあいつらが救急車呼んでくたばっただけだろ。あいつらに責任ある」
「そうよ! 私達悪くないわ。だから逆らったあの生徒が悪いのよ! ねっ、俊治さんっ」
倫子は俊治の腕を絡めて肩に寄せる。
二人共お互いを庇おうとする姿勢は変わらない。
「学園長、この二人やっぱり逃げてました」
席を外してた顕信が戻ってきた。タブレットを持ってきている。
「逃げたってなんなのよ!」
倫子が甲高い声で喚く。
「さっきからキャンキャンうるさいわね。黙ってくれる?」
睨みつけるような目つきで加奈子が制止する。
「これです。ここの防犯カメラの画像。警備員の方に見せていただきました」
顕信は校内にある警備兼受付へ行っていた。
事情を話し快く見せてくれた。
タブレットに映像データを移した。
「こちらです。御覧ください」
体育館の映像には一年二組の授業の様子が映し出されている。
田丸が志村真凛を罵倒して首を絞めている所や、蹴りを入れている所、神原千夏の吸入薬を投げ捨てた所・・・・・・。
千夏が倒れた姿や俊治と倫子が体育館から出て駐車場に向かう姿、紬が保健室の先生を体育館につれてきた姿が映し出されてた。
――そして俊治が自分の車に倫子を乗せて学校を出た姿も記録されていた。
倫子の車は残したままで。
これ全て神原千夏が亡くなった日に起きたことだ。
彼女の車は説明会の日に駐車場からどこかへ向かう姿が映し出されていた。
「これ逃げてるよね? どういうことだい?」
「違う違う・・・・・・私は、あの映像・・・・・・」
倫子はあの日の映像を消すように説明会の後警備員に頼んだ。
すぐに承諾してくれたはず。
しかし実際には残っていた。
警備員側としては、同僚の石綿敏夫がいきなりクビと言われ、倫子の方針に納得していなかった。
敏夫はクビを言われた日に同僚達に「クビを言われたよ。俺、納得いかねぇ。あいつが俺のこといけ好かないのは知ってたけど・・・・・・喘息で亡くなった生徒の件での過失を俺に押し付けて、これ幸いと言わんばかりに辞めさせるんだよ・・・・・・学園長に相談しようかな」と顔面蒼白で呟いてた。
同僚達は話を聞いて、なにか残しておこうと一度消して倫子が説明会から帰った日に復元した。
神原千夏の件だけでなく、他の日には教室に二人で一緒にいる所、校長室でいたしてる所などなど校内で頻繁に二人でいる姿が映し出されていた。
しかもいずれも勤務中の様子だ。
「俺たちは悪くない。まんてんもしらさぎの湯もその日行ってない!」
その瞬間、学園長と顕信はニンマリと顔を見合わせた。
「ちょっと、二人の秘密言ってるんじゃないわよ」
俊治は小声で倫子に窘められる。顔が青ざめた。
「具体的な場所言ってくれてありがとう」
「やっぱり二人は男女の仲だったか・・・・・・しかも勤務中に・・・・・・挙げ句の果てには生徒が死んでいるのに雲隠れして・・・・・・それに神原さんと志村さんのご家族に未だに謝罪されてないそうですね。聞きましたよ。どういうおつもりで?」
顕信と学園長に追い詰められた二人は黙りこんだが、俊治が人目を気にせずにあくびをする。
「はぁ? 何で俺たちが謝らないといけないんです? 生徒とあの警備員の過失なのに? 死んだのは俺たちに逆らったからだろ。罰が当たってザマァみやがれですよ」
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