21 / 36
5章
5
しおりを挟む
体育の授業は恐怖と支配で指導してナンボだ。そうするとみんな否応がなしに従う。
洗脳教育に近いかもしれない。それが手っ取り早いから。
国を支配した感覚だ。奴隷が跪いて言うこと聞いてくれるから。
社会人になれば研修や仕事で恐怖と支配を押し付けて指導する会社が沢山ある。
今のうちに叩き込めば社会に出ても耐えられるだろう。
大人しく従っとけば、こんな騒ぎにならなかったのに。
元は志村真凜というやつが気をつけの最中に目をかいたから、制裁しただけだ。
神原千夏という軟弱な女も死ななかった。
喘息だかなんだか知らないが、たかだか少し走っただけで息苦しくなるなんて、頭おかしい。
喘息の吸入薬なんか授業に関係ないものだから投げ捨てた。
たとえ担任の承諾や医師の証明があろうかと、自分の授業では関係ない。
それなのに志村真凜が事情を説明して意味がわからなかった。
うるせー女だ。生意気だから蹴りを入れた。
本人は痛みを堪えながら、ただの同級生の一人に過ぎないやつの吸入薬を一生懸命取りに行こうとして滑稽だった。
同級生一人で何でここまで助けるか分からない。
神原千夏が倒れた時に死んでは責任取る立場になったらめんどくさいから、倫子と一緒に保健室いくフリして駐車場に向かって適当にどっか向かった。
二人でクルマ乗っていると高揚感が半端なかった。
罪悪感より責任から逃げるのと二人で秘密を共有してる楽しさが勝った。
――自分達は絶対悪くない。勝手に動いた連中や逆らった奴らが悪い。結果として死んだに過ぎない。
倫子が今回関わった生徒とその担任、警備員と保健室の教師と辞めさせる話をしてくれた。
邪魔者がいなくなることを考えたら嬉しかった。
あとは学園長と教頭がいなくなれば万々歳だ。
彼女達の担任がいなくなれば田丸先生がなればいいと倫子が言ってくれた。
倫子の腰巾着達に根回しを散々したのに。
今、目の前で全部バラされてる。
家族にも学園長と教頭のアイツにも。
ネットで一部始終が拡散されている。
「おめえらどうするつもりなんだ。俺たちは謝罪も何もするつもりはないからな!!」
俊治は机を足で蹴る。
「あんたいい加減にせんか!! まだ自分の立場を理解してないの?」
「うるせー黙ってろ!! 死ね!! どいつもこいつも俺様にエラソーに!!」
加奈子に注意されますます不快度が上がる俊治。
「うるさいのは君の方だ、田丸先生。普段の勤務態度といい、ここでの態度といい、非常に悪すぎる。田丸先生に心酔する校長も同類だ」
忌々しげに話す顕信に「俊治さんを悪く言わないで!」と止める倫子。
顕信は盲目状態の倫子を見切る。それは学園長も同じだ。
「もうこれ以上話しても無駄ですね。学園長」
「ああ、そうだな」
「――あなた達二人を懲戒処分に致します。そして慰謝料の請求――怪我をされた志村真凜さん、亡くなられた神原千夏さん、佐久間教頭そして、田丸先生の奥様宛に。正式な書類をこれから渡します」
淡々と告げた学園長からの言葉に、俊治は学園長に近づく。
ポケットからカッターを取り出して「俺たちを懲戒処分だぁ? ふざけんな。殺されたくなかったら取り消せ」
学園長の顔が震えていた。
「もうやっちゃってー!」
ニコニコと子どもを見守るような目の倫子。
校長室の空気が固まった。
洗脳教育に近いかもしれない。それが手っ取り早いから。
国を支配した感覚だ。奴隷が跪いて言うこと聞いてくれるから。
社会人になれば研修や仕事で恐怖と支配を押し付けて指導する会社が沢山ある。
今のうちに叩き込めば社会に出ても耐えられるだろう。
大人しく従っとけば、こんな騒ぎにならなかったのに。
元は志村真凜というやつが気をつけの最中に目をかいたから、制裁しただけだ。
神原千夏という軟弱な女も死ななかった。
喘息だかなんだか知らないが、たかだか少し走っただけで息苦しくなるなんて、頭おかしい。
喘息の吸入薬なんか授業に関係ないものだから投げ捨てた。
たとえ担任の承諾や医師の証明があろうかと、自分の授業では関係ない。
それなのに志村真凜が事情を説明して意味がわからなかった。
うるせー女だ。生意気だから蹴りを入れた。
本人は痛みを堪えながら、ただの同級生の一人に過ぎないやつの吸入薬を一生懸命取りに行こうとして滑稽だった。
同級生一人で何でここまで助けるか分からない。
神原千夏が倒れた時に死んでは責任取る立場になったらめんどくさいから、倫子と一緒に保健室いくフリして駐車場に向かって適当にどっか向かった。
二人でクルマ乗っていると高揚感が半端なかった。
罪悪感より責任から逃げるのと二人で秘密を共有してる楽しさが勝った。
――自分達は絶対悪くない。勝手に動いた連中や逆らった奴らが悪い。結果として死んだに過ぎない。
倫子が今回関わった生徒とその担任、警備員と保健室の教師と辞めさせる話をしてくれた。
邪魔者がいなくなることを考えたら嬉しかった。
あとは学園長と教頭がいなくなれば万々歳だ。
彼女達の担任がいなくなれば田丸先生がなればいいと倫子が言ってくれた。
倫子の腰巾着達に根回しを散々したのに。
今、目の前で全部バラされてる。
家族にも学園長と教頭のアイツにも。
ネットで一部始終が拡散されている。
「おめえらどうするつもりなんだ。俺たちは謝罪も何もするつもりはないからな!!」
俊治は机を足で蹴る。
「あんたいい加減にせんか!! まだ自分の立場を理解してないの?」
「うるせー黙ってろ!! 死ね!! どいつもこいつも俺様にエラソーに!!」
加奈子に注意されますます不快度が上がる俊治。
「うるさいのは君の方だ、田丸先生。普段の勤務態度といい、ここでの態度といい、非常に悪すぎる。田丸先生に心酔する校長も同類だ」
忌々しげに話す顕信に「俊治さんを悪く言わないで!」と止める倫子。
顕信は盲目状態の倫子を見切る。それは学園長も同じだ。
「もうこれ以上話しても無駄ですね。学園長」
「ああ、そうだな」
「――あなた達二人を懲戒処分に致します。そして慰謝料の請求――怪我をされた志村真凜さん、亡くなられた神原千夏さん、佐久間教頭そして、田丸先生の奥様宛に。正式な書類をこれから渡します」
淡々と告げた学園長からの言葉に、俊治は学園長に近づく。
ポケットからカッターを取り出して「俺たちを懲戒処分だぁ? ふざけんな。殺されたくなかったら取り消せ」
学園長の顔が震えていた。
「もうやっちゃってー!」
ニコニコと子どもを見守るような目の倫子。
校長室の空気が固まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】『左遷女官は風花の離宮で自分らしく咲く』 〜田舎育ちのおっとり女官は、氷の貴公子の心を溶かす〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
キャラ文芸
宮中の桜が散るころ、梓乃は“帝に媚びた”という濡れ衣を着せられ、都を追われた。
行き先は、誰も訪れぬ〈風花の離宮〉。
けれど梓乃は、静かな時間の中で花を愛で、香を焚き、己の心を見つめなおしていく。
そんなある日、離宮の監察(監視)を命じられた、冷徹な青年・宗雅が現れる。
氷のように無表情な彼に、梓乃はいつも通りの微笑みを向けた。
「茶をお持ちいたしましょう」
それは、春の陽だまりのように柔らかい誘いだった——。
冷たい孤独を抱く男と、誰よりも穏やかに生きる女。
遠ざけられた地で、ふたりの心は少しずつ寄り添いはじめる。
そして、帝をめぐる陰謀の影がふたたび都から伸びてきたとき、
梓乃は自分の選んだ“幸せの形”を見つけることになる——。
香と花が彩る、しっとりとした雅な恋愛譚。
濡れ衣で左遷された女官の、静かで強い再生の物語。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる