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20等星・無事と仲良し
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目を覚ますとまた夢の中らしい、周りを見ると白い人が俺っちを心配そうに見ていた。
驚いて体を起こすと、よかったっ、心配したのよ!と抱き付かれた。
「おっ、おい、あんた」
一体何者なんだと引き離して聞くと、白い人が私は...と何か言おうとしたが黒い人に止められた。
今はまだ話さない方がいいと白い人の肩に手を置いて言った。
白い人はごめんなさいと悲しい声で返し、俺っちの胸に手を当てた。
『羽白、私たちは何があっても貴方の味方よ』
「…」
『早く戻りなさい、待ってる人がいるわ』
そう言われると同時に意識を失った。
『もう少しだけ、時間があったら』
『仕方ない、これも羽白の為だ』
_______
夢から覚めると見たことある天井、保健室?
ひょこっと英理空が顔を出してきた。
「羽白!大丈夫か!?」
「英理空、オリオンはどうした!」
勢い良く起き上がると、隣で煩いぞ烏君と言う男の声が聞こえた。
この声は嫌でも腹の立つ、振り返ると椅子に座ってニコニコしていた。
「河童野郎、何でここに居るんだ」
「大きい声を出すなよ、オリオンが起きちまうだろ」
よく見るとベッドで寝ているオリオンがいた。
俺っちは自分のベッドから下りる。
「オリオン…大丈夫なのか?」
「あの後、出口で待っていたらお前の声が聞こえて、オイラが行こうとしたら冷気がきて」
トンネルが一気に凍ったんだ、驚いたけど木綿を連れて階段を下りていたら
溶岩は凍っていて、血だらけの烏君を息絶え絶えに運んでいたオリオンを見つけたんだ。
「脹脛がぐちゃぐちゃで、骨も見えそうなくらいの状態にも関わらずお前を運んだんだ」
「…」
「あんまり自分を追い詰めるなよ」
出口を出てからもずっとお前を心配してたんだからなと溜息交じりに言う河童野郎。
オリオン、お前の方が酷い怪我してんじゃねぇか。
俺っちは悪い…と小さな声で言った。
「謝るな、お前が無事でよかった」
こんな事を言うのは、お前しかいない。
目の前のベッドに視線を送ると、オリオンが目を覚ましていた。
「オリ…オン」
「済まないな、羽白」
無茶させたと体を起こそうとするオリオン、それを河童野郎が支える。
そんな事より、怪我は平気なのかと聞く。
「幸いにも、ゴールしてすぐにサルース先生が治してくれたからな」
「サルース先生が居たのか!」
難関を乗り越えた者たちの医療担当だったらしいと言うオリオン。
それは知らなかった、今までのオリンピアでは医療班が居なかったと話を聞いていた。
「河太郎、仲間は無事だったか?」
「あのなぁ、人の心配より自分の心配しろ」
全員無事だよといい、立ち上がる河童野郎。
それじゃあ、オイラそろそろ戻るわと言って保健室を出て行こうとドアに手を掛ける。
オリオンが河童野郎を呼び止めて、礼を言った。
「河太郎。ありがとう、木綿にも伝えといてくれ」
「全く、次に無茶したら許さねぇぞ」
じゃないとオイラが泣くぞと言う、俺っちも礼を言えば
早く治せよ、烏君と返されて出て行った。
英理空が俺っちたちに近付いて、勢いよく抱き締めてきた。
「英理空?」
「おいっ、英理空!」
「無事でよかった」
今にも泣きそうな声で言う英理空、オリオンが優しく背中を叩く。
俺っちは心配かけてわりぃと言って頭を撫でた。
なんか静かになったなと思っていると、スヤスヤ寝てやがった。
「寝るな!」
「すまん!安心してつい!」
「英理空、悪いがサルース先生を呼んできてくれ」
分かった!と言い、保健室を出て行った英理空。
俺っちはオリオンに礼を言った。
「いや、礼を言うのは私の方だ」
ありがとう、羽白と言われた。
ちゃんと俺っちたちを頼れよと言っておいた、また無茶するだろうから。
_______
その頃、夕日に照らされながら河太郎は外を歩いていた。
何かに気付いて立ち止まる。
「そんな所に隠れてないで出て来いよ、木綿」
「隠れていない、お前を待っていた」
イペはどうしたと聞くと、大した怪我じゃないと答える。
オリオンがお前にも礼を言っていたぞといえば、そうかと素っ気なく答えた。
「それより、オリオンは覚えていたのか?」
「いや、多分ない」
怒りで我を忘れて無くなったかと溜息をつく木綿。
オリオンが無事でよかったと言う河太郎。
「どうする気だ、小鎌先輩に逆らって、苦無を向けてまでオリオンを守って」
「裏切ったわけじゃないから、まだ良い方だろ」
「今のお前の行動は、裏切りに近いんだ」
少しは自制しろ、忍者の心得を忘れたか?と言われる。
滅私奉公、廉恥潔白は嫌いな言葉と返す河太郎。
「お前なぁ」
「小鎌先輩の勝手な行動でイペを巻き込んで、オリオンを殺そうとした」
絶対許さねぇと言い、苦無を手にして近くの木に投げつける。
木綿がお前はオリオンの事になると、我を忘れるから気を付けろと強めに言われる。
「そういうお前こそ、オイラがオリオンを運ぼうとした時に庇ってくれただろ」
「俺だけじゃない、獅子丸も居なかったらお前等を守れなかった」
なんだかんだ言って、優しいなと笑って言う河太郎。
2人を捜していた獅子丸が走ってこっちに来た。
「やっと見つけた!先輩たちが捜していたよ」
「そうか、急いで戻ろう」
会議があるだろうと言い、歩く木綿。
河太郎は戻らねぇと駄目か?と聞く。
その言葉に木綿は戻るぞと返した。
「…」
「小鎌先輩のことなら大丈夫だ、俺たちも一緒だ」
「それはオイラがお前等を巻き込んじまったから」
それに対してまだ気にしていたのかと返す木綿。
獅子丸は?を浮かべていた。
「安心しろ、幼馴染だから一緒に居るだけだ」
「うんうん、河太郎は気にし過ぎだよ」
「お前等…っっ」
やっぱり持つべきものは幼馴染だな!と言って木綿たちに抱き着く。
おい、離れろと河太郎を押しのけようとする木綿。
あははっ、いつもの河太郎だ!と喜ぶ獅子丸。
驚いて体を起こすと、よかったっ、心配したのよ!と抱き付かれた。
「おっ、おい、あんた」
一体何者なんだと引き離して聞くと、白い人が私は...と何か言おうとしたが黒い人に止められた。
今はまだ話さない方がいいと白い人の肩に手を置いて言った。
白い人はごめんなさいと悲しい声で返し、俺っちの胸に手を当てた。
『羽白、私たちは何があっても貴方の味方よ』
「…」
『早く戻りなさい、待ってる人がいるわ』
そう言われると同時に意識を失った。
『もう少しだけ、時間があったら』
『仕方ない、これも羽白の為だ』
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夢から覚めると見たことある天井、保健室?
ひょこっと英理空が顔を出してきた。
「羽白!大丈夫か!?」
「英理空、オリオンはどうした!」
勢い良く起き上がると、隣で煩いぞ烏君と言う男の声が聞こえた。
この声は嫌でも腹の立つ、振り返ると椅子に座ってニコニコしていた。
「河童野郎、何でここに居るんだ」
「大きい声を出すなよ、オリオンが起きちまうだろ」
よく見るとベッドで寝ているオリオンがいた。
俺っちは自分のベッドから下りる。
「オリオン…大丈夫なのか?」
「あの後、出口で待っていたらお前の声が聞こえて、オイラが行こうとしたら冷気がきて」
トンネルが一気に凍ったんだ、驚いたけど木綿を連れて階段を下りていたら
溶岩は凍っていて、血だらけの烏君を息絶え絶えに運んでいたオリオンを見つけたんだ。
「脹脛がぐちゃぐちゃで、骨も見えそうなくらいの状態にも関わらずお前を運んだんだ」
「…」
「あんまり自分を追い詰めるなよ」
出口を出てからもずっとお前を心配してたんだからなと溜息交じりに言う河童野郎。
オリオン、お前の方が酷い怪我してんじゃねぇか。
俺っちは悪い…と小さな声で言った。
「謝るな、お前が無事でよかった」
こんな事を言うのは、お前しかいない。
目の前のベッドに視線を送ると、オリオンが目を覚ましていた。
「オリ…オン」
「済まないな、羽白」
無茶させたと体を起こそうとするオリオン、それを河童野郎が支える。
そんな事より、怪我は平気なのかと聞く。
「幸いにも、ゴールしてすぐにサルース先生が治してくれたからな」
「サルース先生が居たのか!」
難関を乗り越えた者たちの医療担当だったらしいと言うオリオン。
それは知らなかった、今までのオリンピアでは医療班が居なかったと話を聞いていた。
「河太郎、仲間は無事だったか?」
「あのなぁ、人の心配より自分の心配しろ」
全員無事だよといい、立ち上がる河童野郎。
それじゃあ、オイラそろそろ戻るわと言って保健室を出て行こうとドアに手を掛ける。
オリオンが河童野郎を呼び止めて、礼を言った。
「河太郎。ありがとう、木綿にも伝えといてくれ」
「全く、次に無茶したら許さねぇぞ」
じゃないとオイラが泣くぞと言う、俺っちも礼を言えば
早く治せよ、烏君と返されて出て行った。
英理空が俺っちたちに近付いて、勢いよく抱き締めてきた。
「英理空?」
「おいっ、英理空!」
「無事でよかった」
今にも泣きそうな声で言う英理空、オリオンが優しく背中を叩く。
俺っちは心配かけてわりぃと言って頭を撫でた。
なんか静かになったなと思っていると、スヤスヤ寝てやがった。
「寝るな!」
「すまん!安心してつい!」
「英理空、悪いがサルース先生を呼んできてくれ」
分かった!と言い、保健室を出て行った英理空。
俺っちはオリオンに礼を言った。
「いや、礼を言うのは私の方だ」
ありがとう、羽白と言われた。
ちゃんと俺っちたちを頼れよと言っておいた、また無茶するだろうから。
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その頃、夕日に照らされながら河太郎は外を歩いていた。
何かに気付いて立ち止まる。
「そんな所に隠れてないで出て来いよ、木綿」
「隠れていない、お前を待っていた」
イペはどうしたと聞くと、大した怪我じゃないと答える。
オリオンがお前にも礼を言っていたぞといえば、そうかと素っ気なく答えた。
「それより、オリオンは覚えていたのか?」
「いや、多分ない」
怒りで我を忘れて無くなったかと溜息をつく木綿。
オリオンが無事でよかったと言う河太郎。
「どうする気だ、小鎌先輩に逆らって、苦無を向けてまでオリオンを守って」
「裏切ったわけじゃないから、まだ良い方だろ」
「今のお前の行動は、裏切りに近いんだ」
少しは自制しろ、忍者の心得を忘れたか?と言われる。
滅私奉公、廉恥潔白は嫌いな言葉と返す河太郎。
「お前なぁ」
「小鎌先輩の勝手な行動でイペを巻き込んで、オリオンを殺そうとした」
絶対許さねぇと言い、苦無を手にして近くの木に投げつける。
木綿がお前はオリオンの事になると、我を忘れるから気を付けろと強めに言われる。
「そういうお前こそ、オイラがオリオンを運ぼうとした時に庇ってくれただろ」
「俺だけじゃない、獅子丸も居なかったらお前等を守れなかった」
なんだかんだ言って、優しいなと笑って言う河太郎。
2人を捜していた獅子丸が走ってこっちに来た。
「やっと見つけた!先輩たちが捜していたよ」
「そうか、急いで戻ろう」
会議があるだろうと言い、歩く木綿。
河太郎は戻らねぇと駄目か?と聞く。
その言葉に木綿は戻るぞと返した。
「…」
「小鎌先輩のことなら大丈夫だ、俺たちも一緒だ」
「それはオイラがお前等を巻き込んじまったから」
それに対してまだ気にしていたのかと返す木綿。
獅子丸は?を浮かべていた。
「安心しろ、幼馴染だから一緒に居るだけだ」
「うんうん、河太郎は気にし過ぎだよ」
「お前等…っっ」
やっぱり持つべきものは幼馴染だな!と言って木綿たちに抱き着く。
おい、離れろと河太郎を押しのけようとする木綿。
あははっ、いつもの河太郎だ!と喜ぶ獅子丸。
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