アストロノミー~星火燎原~

リオン・アルバーン

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25等星・露天風呂と亀裂

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大浴場に間に合い、オリオンはまた後でと言い、女湯の暖簾を潜る。
俺っちと英理空は男湯の暖簾を潜った。
脱衣所には誰居らず、貸切風呂だった。

「英理空、どうやら俺っちたちだけみたいだぜ」

「やったーっ!」

服を脱いでガラスドアを開ける、そこにはライオンの口から湯が出ていた。
それを見た英理空がマーオンだ!と叫んだ。

「なんだそれ?」

「あの湯を吐いている奴だ!」

「あ~っ、あれか」

そう言って指差す英理空。
多分、マーライオンを覚えられずに、そう呼んでいるんだと察した。

「とりあえず体洗おうぜ」

「おう!」

シャワーを浴びて髪を洗う、久々の風呂だからよく洗っておかねぇとなんて思っていた。
隣で座っていた英理空が声を掛ける。

「なぁ、羽白」

「なんだ?」

「さっきから視線を感じるんだ!」

隣で大声を出す英理空、驚いて目にシャンプーが入りかかった。
うるせぇ!お前の声が嫌でも大浴場に響き渡るわ!とシャワーを反対の方に向けて言った。

「羽白…反対に誰かいるぞ」

「ちょっと待て、流すから」

そう言って洗い流し頭を振る、英理空が言っていた反対の方を見る。
隣には第3の難関で会った___

「オイシス!」

「オシリスだよ、烏君」

エジプト神の奴等がいつの間に入って来ていたんだと驚く、英理空が知ってるのか?と聞く。
英理空は気を失って知らないんだった、後で説明すると言う。
鰐男があの後、大丈夫だったと聞いてきた。

「オリオンのおかげで…何で聞くんだ?」

「僕も心配になっちゃって、でも元気になってよかった!」

「お前等がここに居るってことは…」

「イシス先輩たちも入りに来てるよ」

(「オリオンだにゃ!」)

(「バステト、離れろ」)

嫌そうに言うオリオン、嫌だにゃ!せっかく会えたのに~っと言うバステトと呼ばれる女の声。
バステト、離れてあげてと言い、ちぇっといい渋々離れたらしい。

(「ちょっと、なんであんたが居るのよ」)

(「さっき宿に戻って来たからだ」)

(「私はあんたが神になることを認めないから!」)

(「…私は神にはならない」)

そう返し、もう出ると言い出て行くオリオン。待ちなさいよ!まだ話は終わってないわと止めようとする女の声が聞こえた。
もう1人の女に止められる声も聞こえ、俺っちは英理空を見て行くぞと言い大浴場を出ようとした時、オイシスに声を掛けられる。

「烏君、能力には気を付けた方がいいよ」

「どういうことだ?」

「能力を使えば、また暴走する」

次は友人を襲うと言った。
俺っちはオイシスに向かって強気で返した。

「そんなんことにならねぇように、能力を使いこなしてやる!トーナメントに当たって負けても恨むなよ!」

「羽白!」

かっこいいぞ!と言う英理空に、いいから早く出るぞと言い出て行った。
あの烏君、分かってないねと笑って言うオシリス。

_______

すぐに着替えてオリオンを捜す、近くの自販機で牛乳を飲んでいた。
俺っちが声を掛けると、フルーツ牛乳を渡される。

「さんきゅ、これ何処にあったんだ?」

「その自販機」

英理空はイチゴ牛乳とコーヒー牛乳を買っていた。
羽白!どっちがいい!と聞いてきた。

「俺っちはフルーツ牛乳派だ!」

「そうだったのか!?」

牛乳とコーヒー牛乳で悩むと呟くオリオン。
俺はイチゴ牛乳だ!と言う英理空。
ここまで好みがバラバラなんだなと思った。

「私は牛乳派だな」

「お前も牛乳…はぁっ!?」

俺っちが後ろを振り返るとオイシス達が立っていた。
オリオンは飲み終えた牛乳瓶をゴミ箱に捨て、俺っちの前に立つ。

「オシリス、言いたいことがある」

「まさかオリオン…」

やっと私と!と喜んで言った瞬間、オリオンが冷たい視線を送った。
えっ、違うの?としょげて聞くオイシス。

「私は神にはならん、それだけだ」

「なんで…」

オリオンは行くぞと言い、俺っちたちは後を歩いた。
オシリスが呆然と立ち尽くしていると、アヌビスに声を掛けられる。
ネフティスは嫌味のように言った。

「オシリス先輩」

「あんな半端な半神半人じゃなれないわよ」

「いや、彼女は神になれる。それなのにどうしてなろうとしないのか…」

気にならない?と笑顔で聞くオシリス。
それにイシスが叱る。

「やめなさい、オリオンの過去を探ろうなんてこと」

「それが原因なら彼女の助けに…」

「ならないよ」

そう静かに言ったのはセべクだった。
全員それに驚いていると、セべクが我に返った。

「ぼっ、僕もイシス先輩と一緒で、勝手に過去探ったりしたら駄目だよ!」

「セべクもこう言ってるからこの話はこれで終わりよ」

部屋に戻りましょと言うイシス。
セべクが僕、疲れちゃいましたと笑って部屋に向かう。
明日から話し合いするからなとセト、頑張りますと言うアヌビス。
オシリスは気になるな…と考えながら部屋に戻って行った。

_______

廊下の窓からオリオンが外を見る。
俺っちたちはさっきの話はどういうことだ?と聞くと振り向いて言った。

「昔あの人に聞いたことがある。神気が現れた時、半神半人は神になると」

しかしそれは半神半人全員に現れるわけではない、類稀だと言うオリオン。
英理空はだが噂では神になれると聞いたことがあると言う。

「…半神半人は神にはなれない、能力を最大限まで引き出すことができることだけだ」

酷使すれば死ぬと言うオリオン。
英理空は俯いた、俺っちはマジかよと言った。

「なんで他の奴は神なれるって言うんだよ」

「どうせ血筋だとか言いたいんだろう」

「俺はっ、神になれないのかっ?」

英理空が悔しそうに言った、それに俺っちはどうしたんだと言い顔を覗く。
顔を勢いよく上げると、泣きそうな顔をしていた。

「俺はっ!母上に神になれるって言われて頑張ったんだっ!」

「英理空」

英理空がオリオンの胸ぐらを掴んだ。
俺っちは馬鹿っ!何やってんだ!?と言い英理空の手を掴む。

「それなのにっ、なれないなんてどうして言えるんだ!!」

「…」

「努力すれば報われると!」

「報われない時もある、分かるだろ」

それに神になりたいお前と私とは違うと言うオリオン。
英理空は手を離し、そうだったな…と静かに返す。

「オリオンには分からないだろう、母上に自分を見て欲しいと思う俺の気持ちを」

「…」

「おい、英理空」

「済まない、少し1人にさせてくれ」

そう言って英理空は行ってしまった、オリオンは部屋に戻ると言い背を向けて行ってしまった。
俺っちは両者を交互に見て、あーもーっ!!と叫び、英理空を追いかけた。
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