60 / 136
第一章
番外編(アーテル)後編
しおりを挟む
現地へ辿り着くと、森は悲惨な状態となり果てていた。
若い木々はなぎ倒され、大地や倒された木々の至る所に争いの跡が残されていた。アーテルからしてみれば見慣れた景色だが、まだ学生であるクリスティーナはそうでもないらしい。まさかこれほどだとは思ってもみなかったのか、顔を引き攣らせていた。優しい者ならば、ここで引き返した方がいいと助言をしたことだろう。しかしアーテルはある一つの目的を達成するためにあえてそれをしなかった。
人の姿へと戻り、ずんずんと森の奥へ足を進めていく。その後ろをクリスティーナたちがきちんとついてきているか一瞥しながら、魔物たちの元まで己の気配を隠すことなく近づいた。
「ひぃ、こんなの、……無理ですわ!!」
(だろうな)
五メートルほどの樹木と大熊が盛大に音を立てながら戦う姿を見て、クリスティーナは震えた声で呟いた。
「最初に依頼内容を確認した上でついてきたはずだ。今更無理だっていうのか?」
厳しいことを言うようだが、間違ったことは言っていない。アーテルが話しかけると、ようやくそこにアーテルがいたことを思い出したのか、そうですわよね、と何かを小さく呟いたあと、先程までの震えが嘘かのように元気な姿をしていた。おそらくアーテルの存在を認識して、アーテルがいれば勝てるとでも思ったのだろう。
その姿を見ると同時に、元々冷めていた心が一層温度を失っていく。
(お嬢だったら、そんなこと絶対に思わないのにな)
比べるほどの価値もないが、そんな想いが心に生まれる。ベルだったらアーテルの長所を最大限に生かして、司令塔や攻撃の補助を率先して行うはずだ。どれほど強大な敵でも、頼るだけではなくて、アーテルたちと共に戦ってきた。
アーテルは深くため息を吐くと、アーテルの腕に抱き着こうとするクリスティーナを躱し、クリスティーナの護衛たちに向かって叫んだ。
「お前ら、こいつの護衛でもしてろ。あの魔物どもは俺がやる」
ギルドで受ける依頼のほとんどが強敵の討伐だったのもあってか、アーテルの実績を知っているであろう護衛たちは、反抗することもなくクリスティーナの周囲を固めた。元々クリスティーナの護衛として雇われているので、ギルドの依頼よりもクリスティーナの命を優先するのは当たり前ではあるのだが。
クリスティーナの周囲を固めたことを確認すると、アーテルは大地を蹴って、魔物である樹木と大熊の合間に入った。
いきなり合間に入ってきた第三者であるアーテルに対し、樹木と大熊は一度は攻撃の手を止めるものの、すぐに攻撃を再開する。もちろん標的はアーテルだ。先にアーテルを潰して、戦いを再開させようという魂胆なのだろう。
しかしそれを読んでいたアーテルからしてみれば、どうということはない。むしろ狙っていたのだから好都合だ。
にやりと口角を上げると、両手からそれぞれ網を模した水を出し、二匹の魔物を閉じ込める。水の網から逃げようと樹木は根っこの足を使って走るが、相手は五メートルもある巨体だ。それほど早くはない速度な上に、自由自在に操ることができる水の網は樹木を追いかけ、己の内に閉じ込めた。対して大熊は自慢の爪で水の網を切り裂こうとするが、水の前では無意味だった。何度切り裂こうが水は水。すぐに網が元通りに形成され、簡単に捕まった。
(思ったよりもあっけないな……)
もう少し強敵だと思っていたが、そうでもなかったようだ。
魔物となった植物や動物は、もう元の姿へ戻ることができない。だからせめて楽に死なせてあげることがアーテルに出来る唯一のことだった。
自身の周囲に水の刃を数十個ほど作り上げ、二匹の魔物へ放つ。水の刃に引き裂かれた二匹の魔物は、どしん、と大きな音を立て地面へと倒れ、息を引き取った。
二匹の魔物が完全に死んだことを確認し、傍に近づいて討伐の証として体の一部を切り取り、持ってきた袋へと入れた。これで依頼は完了となる。
クリスティーナたちの方へ振り返れば、最初は呆然としていたが、討伐されたことに実感を持つと次第にその表情が歓喜に変わり、アーテルを見る目が尊敬へと変わった。普通の冒険者であれば、自身の力の無さに悔しさを浮かべたりするものなのだが、クリスティーナからそういった反応は一切見受けられなかった。当たり前だろう。今回のクリスティーナの目的は、魔物の討伐ではなく、アーテル自身なのだから。
ギルドの受付で聞いた話によると、クリスティーナは王都にある学院に通う学生で、契約術師を目指していたが適正がなく、違う専攻へ移ったらしい。それでもどうしても諦められなくて、父親に頼み込んだところ今回のような流れに発展したらしい。
曰く、九年も眠り続けたままの主を待っているアーテルの心に寄り添えば、クリスティーナと契約をしてくれるかもしれない、と。
親子の思惑がこうしてアーテルまで伝わってきているのは、ギルドに貼ってあった依頼書が個人指定のはずなのに、ずっと掲示板に貼り続けろという意味不明な指示が出されたからだ。確かにアーテルは個人指定の依頼を引き受けたことはないし、今後引き受ける予定もない。それを知っての、指示ということだ。ギルドはこの依頼書を張り出す際に不信に思って、探りを入れたらしく、その際にこうした内容が発覚したらしい。とはいっても、相手はこの国の公爵。ギルドも下手に逆らうことができず、困り果てていたところに、アーテルが事情を聞いて引き受けたのが一連の流れだ。
詳細をアーテルが知っていることをクリスティーナは知らず、アーテルに可愛らしく礼を言ってくる。
「アーテル様、ありがとうございました。わたくし、これほどまでに魔物が怖いものだと知らなくて……。足手まといになってましたよね」
事情を知らなければ、見た目可愛らしい少女が申し訳なさそうに謝っているようにしか見えないだろう。
「構わない」
最初から期待はしていなかったので、その件に関しては何も思うところはなかった。しかしそんなアーテルの言葉をどう脳内で翻訳したのか、クリスティーナは頬を桃色に染め上げた。
「あの、アーテル様」
「なんだ」
「アーテル様がベル様のことを大事に想っていらっしゃることは、重々承知しております。ですが、ずっと目覚めないのもまた事実。ベル様の代わりとまではいかないかもしれませんが、わたくしを傍に置いてはくれませんでしょうか? アーテル様のことをもっと知りたいのです」
暗にパートナーになりたいという発言に、にっこりと笑顔を浮かべる。そんなアーテルの表情にさらに勘違いをしたのか、クリスティーナはアーテルに抱き着こうとしてきた。
「アーテル様!! ……え?」
しかしクリスティーナの足はすぐに止まった。アーテルが水でクリスティーナの体を拘束したからだ。クリスティーナの体を拘束すると同時に護衛が動いたので、彼らの体も邪魔をされないようにしっかりと水で拘束する。
「どうして、こんな!!」
「どうして、だと? 決まってる。俺がお嬢以外とパートナーを組むなんてありえないからだ。お嬢の代わりになる? どこまで自分に自信があるのさ。お嬢の代わりなんてどこにもいない。だから俺がお嬢以外の人とパートナーを組むなんてありえないんだよ」
笑顔のまま毒を吐けば、クリスティーナの顔はどんどん青くなっていった。
「今回こうして依頼を受けたのも、お前という害ある者をお嬢に近づけないために忠告するするためだ」
アーテルは笑顔を消し、クリスティーナの首元へ水で出来た刃を一本創り出す。それを見たクリスティーナは体を震わせた。
「お嬢に害なすものは例え、女子供でも容赦はしない。今度その口でお嬢の代わりなるなどと言てみろ。命の保証はしない」
予めギルドから脅してもいいという許可はもらっていた。ギルドからしてみれば、アーテルは国王よりも立場の高いベルの召喚獣だ。むしろ存分にやってくれとお墨付きをもらっていた。
アーテルは獣姿になると、クリスティーナたちから水の拘束を解き、水の刃も消失させた。その場で力なく座り込むクリスティーナを一瞥し、アーテルは一人街へと走った。
「ってなことがあったんだよ」
「あー、なるほどね」
話を聞いたベルは、それはアーテルも怒るわ、と小さく零していた。
「クリスティーナ、さん?」
「は、はいぃ!!」
クリスティーナは当時のことを思い出してか、それともベルの怒りに触れてしまったと思っているのかがたがたと体を震わせていた。自身が代わりになろうとしていたベル本人や、ロセウスやアルブスという二人の召喚獣も目の前にいるのだ。恐怖はあの時の比ではないはずだ。
「別にそこまで怯えなくても……まあ、いいや。私の召喚獣たちはもちろんだけど、他の契約獣たちだってそう。クリスティーナさんが思っているよりも、お互いが大切で切れない絆を持っている。だから代わりになるだなんて、そんな発言はしちゃだめだよ」
けれどベルは頭ごなしに怒りを顕わにする性格ではない。アーテルからしてみればそれでも全然かまわない、むしろ嬉しいのだが、それはアーテルの知るベルではない。だからこそ、アーテルは別の手を打つことにした。
アーテルはその場で獣の姿へと変えると、ベルへ頭を擦りつけた。
「ん? どうしたの、アーテ」
「いや、別に? ただ俺がこうしたかっただけ」
ベルがアーテルたちの毛並みが大好きなことは知っている。だからこそ、こうやっていきなり獣の姿へ変わっても、驚きはしても拒みはしない。むしろ嬉しそうに顎や耳を撫でてくれる。クリスティーナへと視線を向ければ、その口元が微かに動いていた。
――完敗ですわ、と。
むしろ最初から勝率はゼロパーセントだったのだが、と心の中で呟きながらも、その気持ちよさに目を細めた。
若い木々はなぎ倒され、大地や倒された木々の至る所に争いの跡が残されていた。アーテルからしてみれば見慣れた景色だが、まだ学生であるクリスティーナはそうでもないらしい。まさかこれほどだとは思ってもみなかったのか、顔を引き攣らせていた。優しい者ならば、ここで引き返した方がいいと助言をしたことだろう。しかしアーテルはある一つの目的を達成するためにあえてそれをしなかった。
人の姿へと戻り、ずんずんと森の奥へ足を進めていく。その後ろをクリスティーナたちがきちんとついてきているか一瞥しながら、魔物たちの元まで己の気配を隠すことなく近づいた。
「ひぃ、こんなの、……無理ですわ!!」
(だろうな)
五メートルほどの樹木と大熊が盛大に音を立てながら戦う姿を見て、クリスティーナは震えた声で呟いた。
「最初に依頼内容を確認した上でついてきたはずだ。今更無理だっていうのか?」
厳しいことを言うようだが、間違ったことは言っていない。アーテルが話しかけると、ようやくそこにアーテルがいたことを思い出したのか、そうですわよね、と何かを小さく呟いたあと、先程までの震えが嘘かのように元気な姿をしていた。おそらくアーテルの存在を認識して、アーテルがいれば勝てるとでも思ったのだろう。
その姿を見ると同時に、元々冷めていた心が一層温度を失っていく。
(お嬢だったら、そんなこと絶対に思わないのにな)
比べるほどの価値もないが、そんな想いが心に生まれる。ベルだったらアーテルの長所を最大限に生かして、司令塔や攻撃の補助を率先して行うはずだ。どれほど強大な敵でも、頼るだけではなくて、アーテルたちと共に戦ってきた。
アーテルは深くため息を吐くと、アーテルの腕に抱き着こうとするクリスティーナを躱し、クリスティーナの護衛たちに向かって叫んだ。
「お前ら、こいつの護衛でもしてろ。あの魔物どもは俺がやる」
ギルドで受ける依頼のほとんどが強敵の討伐だったのもあってか、アーテルの実績を知っているであろう護衛たちは、反抗することもなくクリスティーナの周囲を固めた。元々クリスティーナの護衛として雇われているので、ギルドの依頼よりもクリスティーナの命を優先するのは当たり前ではあるのだが。
クリスティーナの周囲を固めたことを確認すると、アーテルは大地を蹴って、魔物である樹木と大熊の合間に入った。
いきなり合間に入ってきた第三者であるアーテルに対し、樹木と大熊は一度は攻撃の手を止めるものの、すぐに攻撃を再開する。もちろん標的はアーテルだ。先にアーテルを潰して、戦いを再開させようという魂胆なのだろう。
しかしそれを読んでいたアーテルからしてみれば、どうということはない。むしろ狙っていたのだから好都合だ。
にやりと口角を上げると、両手からそれぞれ網を模した水を出し、二匹の魔物を閉じ込める。水の網から逃げようと樹木は根っこの足を使って走るが、相手は五メートルもある巨体だ。それほど早くはない速度な上に、自由自在に操ることができる水の網は樹木を追いかけ、己の内に閉じ込めた。対して大熊は自慢の爪で水の網を切り裂こうとするが、水の前では無意味だった。何度切り裂こうが水は水。すぐに網が元通りに形成され、簡単に捕まった。
(思ったよりもあっけないな……)
もう少し強敵だと思っていたが、そうでもなかったようだ。
魔物となった植物や動物は、もう元の姿へ戻ることができない。だからせめて楽に死なせてあげることがアーテルに出来る唯一のことだった。
自身の周囲に水の刃を数十個ほど作り上げ、二匹の魔物へ放つ。水の刃に引き裂かれた二匹の魔物は、どしん、と大きな音を立て地面へと倒れ、息を引き取った。
二匹の魔物が完全に死んだことを確認し、傍に近づいて討伐の証として体の一部を切り取り、持ってきた袋へと入れた。これで依頼は完了となる。
クリスティーナたちの方へ振り返れば、最初は呆然としていたが、討伐されたことに実感を持つと次第にその表情が歓喜に変わり、アーテルを見る目が尊敬へと変わった。普通の冒険者であれば、自身の力の無さに悔しさを浮かべたりするものなのだが、クリスティーナからそういった反応は一切見受けられなかった。当たり前だろう。今回のクリスティーナの目的は、魔物の討伐ではなく、アーテル自身なのだから。
ギルドの受付で聞いた話によると、クリスティーナは王都にある学院に通う学生で、契約術師を目指していたが適正がなく、違う専攻へ移ったらしい。それでもどうしても諦められなくて、父親に頼み込んだところ今回のような流れに発展したらしい。
曰く、九年も眠り続けたままの主を待っているアーテルの心に寄り添えば、クリスティーナと契約をしてくれるかもしれない、と。
親子の思惑がこうしてアーテルまで伝わってきているのは、ギルドに貼ってあった依頼書が個人指定のはずなのに、ずっと掲示板に貼り続けろという意味不明な指示が出されたからだ。確かにアーテルは個人指定の依頼を引き受けたことはないし、今後引き受ける予定もない。それを知っての、指示ということだ。ギルドはこの依頼書を張り出す際に不信に思って、探りを入れたらしく、その際にこうした内容が発覚したらしい。とはいっても、相手はこの国の公爵。ギルドも下手に逆らうことができず、困り果てていたところに、アーテルが事情を聞いて引き受けたのが一連の流れだ。
詳細をアーテルが知っていることをクリスティーナは知らず、アーテルに可愛らしく礼を言ってくる。
「アーテル様、ありがとうございました。わたくし、これほどまでに魔物が怖いものだと知らなくて……。足手まといになってましたよね」
事情を知らなければ、見た目可愛らしい少女が申し訳なさそうに謝っているようにしか見えないだろう。
「構わない」
最初から期待はしていなかったので、その件に関しては何も思うところはなかった。しかしそんなアーテルの言葉をどう脳内で翻訳したのか、クリスティーナは頬を桃色に染め上げた。
「あの、アーテル様」
「なんだ」
「アーテル様がベル様のことを大事に想っていらっしゃることは、重々承知しております。ですが、ずっと目覚めないのもまた事実。ベル様の代わりとまではいかないかもしれませんが、わたくしを傍に置いてはくれませんでしょうか? アーテル様のことをもっと知りたいのです」
暗にパートナーになりたいという発言に、にっこりと笑顔を浮かべる。そんなアーテルの表情にさらに勘違いをしたのか、クリスティーナはアーテルに抱き着こうとしてきた。
「アーテル様!! ……え?」
しかしクリスティーナの足はすぐに止まった。アーテルが水でクリスティーナの体を拘束したからだ。クリスティーナの体を拘束すると同時に護衛が動いたので、彼らの体も邪魔をされないようにしっかりと水で拘束する。
「どうして、こんな!!」
「どうして、だと? 決まってる。俺がお嬢以外とパートナーを組むなんてありえないからだ。お嬢の代わりになる? どこまで自分に自信があるのさ。お嬢の代わりなんてどこにもいない。だから俺がお嬢以外の人とパートナーを組むなんてありえないんだよ」
笑顔のまま毒を吐けば、クリスティーナの顔はどんどん青くなっていった。
「今回こうして依頼を受けたのも、お前という害ある者をお嬢に近づけないために忠告するするためだ」
アーテルは笑顔を消し、クリスティーナの首元へ水で出来た刃を一本創り出す。それを見たクリスティーナは体を震わせた。
「お嬢に害なすものは例え、女子供でも容赦はしない。今度その口でお嬢の代わりなるなどと言てみろ。命の保証はしない」
予めギルドから脅してもいいという許可はもらっていた。ギルドからしてみれば、アーテルは国王よりも立場の高いベルの召喚獣だ。むしろ存分にやってくれとお墨付きをもらっていた。
アーテルは獣姿になると、クリスティーナたちから水の拘束を解き、水の刃も消失させた。その場で力なく座り込むクリスティーナを一瞥し、アーテルは一人街へと走った。
「ってなことがあったんだよ」
「あー、なるほどね」
話を聞いたベルは、それはアーテルも怒るわ、と小さく零していた。
「クリスティーナ、さん?」
「は、はいぃ!!」
クリスティーナは当時のことを思い出してか、それともベルの怒りに触れてしまったと思っているのかがたがたと体を震わせていた。自身が代わりになろうとしていたベル本人や、ロセウスやアルブスという二人の召喚獣も目の前にいるのだ。恐怖はあの時の比ではないはずだ。
「別にそこまで怯えなくても……まあ、いいや。私の召喚獣たちはもちろんだけど、他の契約獣たちだってそう。クリスティーナさんが思っているよりも、お互いが大切で切れない絆を持っている。だから代わりになるだなんて、そんな発言はしちゃだめだよ」
けれどベルは頭ごなしに怒りを顕わにする性格ではない。アーテルからしてみればそれでも全然かまわない、むしろ嬉しいのだが、それはアーテルの知るベルではない。だからこそ、アーテルは別の手を打つことにした。
アーテルはその場で獣の姿へと変えると、ベルへ頭を擦りつけた。
「ん? どうしたの、アーテ」
「いや、別に? ただ俺がこうしたかっただけ」
ベルがアーテルたちの毛並みが大好きなことは知っている。だからこそ、こうやっていきなり獣の姿へ変わっても、驚きはしても拒みはしない。むしろ嬉しそうに顎や耳を撫でてくれる。クリスティーナへと視線を向ければ、その口元が微かに動いていた。
――完敗ですわ、と。
むしろ最初から勝率はゼロパーセントだったのだが、と心の中で呟きながらも、その気持ちよさに目を細めた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界から来た華と守護する者
桜
恋愛
空襲から逃げ惑い、気がつくと屍の山がみえる荒れた荒野だった。
魔力の暴走を利用して戦地にいた美丈夫との出会いで人生変わりました。
ps:異世界の穴シリーズです。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
わたしのヤンデレ吸引力が強すぎる件
こいなだ陽日
恋愛
病んだ男を引き寄せる凶相を持って生まれてしまったメーシャ。ある日、暴漢に襲われた彼女はアルと名乗る祭司の青年に助けられる。この事件と彼の言葉をきっかけにメーシャは祭司を目指した。そうして二年後、試験に合格した彼女は実家を離れ研修生活をはじめる。しかし、そこでも彼女はやはり病んだ麗しい青年たちに淫らに愛され、二人の恋人を持つことに……。しかも、そんな中でかつての恩人アルとも予想だにせぬ再会を果たして――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる