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第十六話
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十年前。戦争が終結するまで、魔物は数えきれないほど存在していた。今でこそ、たまにしか出没しないが、それは人族と不可侵の協定を結んだからに過ぎない。
なにせ戦争が起こった理由というのも、この魔物が生まれたことが発端であるからだ。
人族は魔族と違って体内に魔核という臓器を持たない。だから魔族が体内の魔力を使って魔法を使用できても、魔核や魔力を持たない人族にはそれができなかった。
けれど人族はどこでその思いつきをしたのか、体内にないのならば、体外から取り込んで魔法を使えばいいという閃きを思いついた。これをのちに人族は魔術と呼んだ。
魔術を使うには体外から魔力を集めることになる。魔力を集めるにはその媒体がいる。最初は宝石や植物に目をつけた。それらは、元々魔力を宿していたからだ。魔術は人族の中ですぐに広まってみせるが、欲には良くも悪くも底がない。宝石や植物を媒介にしても、魔族の魔法には到底及ばなかった。そこである人族が発言したのだ。
魔族の魔核を奪えばいい、と。
魔族は人族にはない魔核があるから魔法が使える。それは人族にとっては当たり前の常識だった。だから思ったのだろう。魔核を媒体にすれば、より大きな魔術を使えるかもしれないと。
人族は手始めに、簡単に殺せる魔族の子どもを攫い、体内から魔核をえぐり出した。えぐり出した魔核を媒体とし、魔術を使用する。すると今までの魔術がちんけに思えるくらい強大な魔術が発動したのだ。人族の考えは正しく、しかし残酷でもあった。これに喜んだ人族は次々と魔族の子どもに手をかけた。
しかしこれが今後、悲劇を生むこととなる。
魔族側の大人たちが相次いで失踪する子どもたちを探して、魔族と人族の国境近くまで来たとき、黒い靄に覆われた生物に襲われたのだ。
当時の魔族たちにはそれが何かも分からず、ただ己の命を害するものとしてその手で殺めた。けれど生物を殺めたあと、一人の魔族が気づいてしまう。その生物が身に着けていた布切れが、己の子どもが身につけていた服であったことに。生物が息を引き取ると徐々に黒い靄が晴れ、生物の顔が明らかになっていく。恐る恐る生物の顔を見てみれば、それは失踪した己の子どもだった。魔族は自身の手で己の子どもを殺めたことを嘆き、悲しむ。その亡骸を抱きしめ滂沱の涙を流していると、子どもの胸がぽっかりと穴が開いていることに気づいた。そしてそこにあるはずの物が、魔核がごっそりと消えていたのだ。
魔族は怒り狂い、子どもを埋葬したあと、魔核を奪った犯人が人族であることを突き止め、魔核を魔術の媒体にしていることを知った。そして同時に、魔核を失った魔族は、黒い靄に覆われた生物、魔物と化してしまうことも知ってしまった。
本来魔族が寿命などで亡くなる場合、心臓が先に停止し、後に魔核の機能も停止する。けれど魔核が奪われた場合、魔族の心臓はまだ動いている。人族よりも強靭な体や長い寿命を持つ魔族は、魔核を奪われ胸を抉られたとしても、すぐに死ぬことができない。その為、力を生成し循環させる役割を持っている魔核を失うと、体内に残った魔力が制御不可となり暴走する。つまり敵味方もわからない魔物と化すのである。
旨みを知ってしまった人族は非力な魔族から魔核を奪い、同族を殺され魔物にされてしまった魔族は人族に憎しみを抱く。これが人族と魔族の戦争への発端となった。
リディアリアの魔法により、戦争は終わりを告げ、魔物も魔族たちの手によって葬られた。
そして二度と同じ過ちを繰り返さないようにと、人族と魔族の間に協定を作った。
人族は魔族から魔核を奪うことを禁じ、魔族も憎しみから今後人族を傷つけることを禁ずる、と。
この協定が十年もの間守られているからこそ、魔族の街はここまで復興することができた。戦争の「せ」の字も聞かないのもこの協定のおかげだろう。
しかしどこの世界にも、ルールを守れない者は存在してしまう。それが今回の魔物が発生した原因だろう。ディティラスの話によると、今でも魔核を全て回収できておらず、一部は人族の間で高額取引されているらしい。だから魔族から魔核を奪うという思考回路に発展したのだろう。
そういう人物はすぐにでも捕まえたいのだが、いたちごっこになるせいで、人族の王でも中々難しいものがあるらしい。
「今回は魔核を奪われた元魔族、魔物討伐に七貴族に応援をお願いしたい旨の報告書が上がってきている。でもね、私この話を聞いてふと思ったの。もし魔核を失った魔物が魔核を取り戻したらどうなるのかな、って」
リディアリアの着眼点を聞いて、ライトニングが息を呑んだのがわかった、それに気づかないふりをして話を振る。
「ライトニングは知ってる? 魔核を取り戻したら魔物は魔族に戻れるのか」
長い沈黙が二人の間に訪れた。
厳しい表情をするライトニングをただ、見つめ返す。やがてライトニングは長い息を吐いた。
「私の知識にはありませんね。魔物となった魔族は、他者を害する前に同族の手によって息の根を止めます。けれど魔物を魔族に戻す、というのは誰も考えなかったのでしょう」
魔物は元が魔族だということが判別しにくいほどに、姿が変わり果てている。一言でいえば、醜い生き物だ。だから元に戻るという考えは誰も持たなかったのも頷ける。
「でも、魔物は魔核を失った魔族が成った生物。逆に考えてみれば、魔物は魔核を得たら、元に戻るとか思わない?」
「実際に行った事例がないので、どう判断すればいいのかわかりかねますが、確率が全くないというわけではないでしょうね」
ライトニングは報告書に片手に持ちながら、もう片方の手を顎に当てた。
「だからね、私は思ったの。もしこれで魔核を奪った人族から取り返して、元に戻ることがあるのなら、私の魔核もどうにかなるんじゃないかって」
「まさかっ……」
リディアリアの考えを即座に理解したライトニングは、その場で立ち上がった。
「そう、多分ライトニングの考えていることで合っているよ」
「人族の間で行われる魔核の裏取引。こちらに手を出し、正当な理由をつけて魔核を回収。その魔核を自身の体に入れる、と?」
魔族から魔核を奪うことは戦争の終結と同時に協定で禁じられた。しかしそれ以前に奪われたものに関しては、所在のわかるもののみ回収され、親族の元へ返された。わからないものに関してはそのまま人族の間で高額取引されている。それをリディアリアは自身の体に入れようとしているのだ。
イチかバチかの賭けだった。
「うん」
成功の保証はどこにもない。
でも確率がゼロパーセントなわけでもない。
「危険ですよ」
「それも承知の上で、だよ。でもこの計画には魔核を見れる魔眼を持ち、治癒魔法を使えるライトニング、貴方の協力がないと成功はしない」
この賭けにはライトニングという手札が必須だった。
ライトニングがいなければ、確率はゼロパーセントのまま。なにせリディアリアには医療や魔核の知識が全くといっていいほどない。その点、ライトニングは魔眼を持っているし、医療や魔核についての知識が誰よりも深く多い。
「お願い、ライトニング。力を貸してほしい」
「リディアリア……」
リディアリアは頭を下げて頼み込んだ。
「普段の私ならば絶対、すぐにはい、とは頷かなかったでしょうね」
数十秒の静寂ののち、ライトニングがぽつりと言葉を漏らした。その声はどこか、自嘲しているようにも聞こえる。頭を上げて、そっと顔色を覗えば困ったように笑みを浮かべていた。
「私はね、リディアリア。こう見えても魔王に次ぐ地位を持つ、七貴族【傲慢】なんですよ」
当たり前のことを話すライトニングに、こくりと頷く。
「もしリディアリアではなく、他の魔族がこの話を持ち掛けてきたら必ず保留にします。だってそうでしょう? 魔物は元魔族とはいっても敵味方見境なく攻撃してきます。たった一人の魔族のために大勢のけが人が、最悪死人が出る場合だってあります。医療に携わるものとしてそんなことは避けたいし、もし行うとしても万全の準備を整えてからにしたい。私が関わる以上、私のミスで誰かが作戦中に死ぬなど、絶対に嫌なのです」
ライトニングが口にすることは十分に理解できる。リディアリアだって、もしライトニングの立場だったら絶対にそう思うだろう。
「でもね、リディアリア。貴女の命が助かるというのであれば、別の話です」
「ライトニング……」
「以前お話したでしょう? 私は七貴族【傲慢】である前に、義理でも貴女の父親であると。リディアリアの余命はもう数カ月しか残されていない。悠長に考えている暇はありません。もし助かる道があるのなら、全力で支えたいのです」
リディアリアの頭をぽんぽんと撫で、太陽のように柔らかな笑みをした。
「リディアリア、私も協力します。もちろん七貴族【傲慢】としてではなく、貴女の父親として、ね」
「……っ、ありがとう」
なにせ戦争が起こった理由というのも、この魔物が生まれたことが発端であるからだ。
人族は魔族と違って体内に魔核という臓器を持たない。だから魔族が体内の魔力を使って魔法を使用できても、魔核や魔力を持たない人族にはそれができなかった。
けれど人族はどこでその思いつきをしたのか、体内にないのならば、体外から取り込んで魔法を使えばいいという閃きを思いついた。これをのちに人族は魔術と呼んだ。
魔術を使うには体外から魔力を集めることになる。魔力を集めるにはその媒体がいる。最初は宝石や植物に目をつけた。それらは、元々魔力を宿していたからだ。魔術は人族の中ですぐに広まってみせるが、欲には良くも悪くも底がない。宝石や植物を媒介にしても、魔族の魔法には到底及ばなかった。そこである人族が発言したのだ。
魔族の魔核を奪えばいい、と。
魔族は人族にはない魔核があるから魔法が使える。それは人族にとっては当たり前の常識だった。だから思ったのだろう。魔核を媒体にすれば、より大きな魔術を使えるかもしれないと。
人族は手始めに、簡単に殺せる魔族の子どもを攫い、体内から魔核をえぐり出した。えぐり出した魔核を媒体とし、魔術を使用する。すると今までの魔術がちんけに思えるくらい強大な魔術が発動したのだ。人族の考えは正しく、しかし残酷でもあった。これに喜んだ人族は次々と魔族の子どもに手をかけた。
しかしこれが今後、悲劇を生むこととなる。
魔族側の大人たちが相次いで失踪する子どもたちを探して、魔族と人族の国境近くまで来たとき、黒い靄に覆われた生物に襲われたのだ。
当時の魔族たちにはそれが何かも分からず、ただ己の命を害するものとしてその手で殺めた。けれど生物を殺めたあと、一人の魔族が気づいてしまう。その生物が身に着けていた布切れが、己の子どもが身につけていた服であったことに。生物が息を引き取ると徐々に黒い靄が晴れ、生物の顔が明らかになっていく。恐る恐る生物の顔を見てみれば、それは失踪した己の子どもだった。魔族は自身の手で己の子どもを殺めたことを嘆き、悲しむ。その亡骸を抱きしめ滂沱の涙を流していると、子どもの胸がぽっかりと穴が開いていることに気づいた。そしてそこにあるはずの物が、魔核がごっそりと消えていたのだ。
魔族は怒り狂い、子どもを埋葬したあと、魔核を奪った犯人が人族であることを突き止め、魔核を魔術の媒体にしていることを知った。そして同時に、魔核を失った魔族は、黒い靄に覆われた生物、魔物と化してしまうことも知ってしまった。
本来魔族が寿命などで亡くなる場合、心臓が先に停止し、後に魔核の機能も停止する。けれど魔核が奪われた場合、魔族の心臓はまだ動いている。人族よりも強靭な体や長い寿命を持つ魔族は、魔核を奪われ胸を抉られたとしても、すぐに死ぬことができない。その為、力を生成し循環させる役割を持っている魔核を失うと、体内に残った魔力が制御不可となり暴走する。つまり敵味方もわからない魔物と化すのである。
旨みを知ってしまった人族は非力な魔族から魔核を奪い、同族を殺され魔物にされてしまった魔族は人族に憎しみを抱く。これが人族と魔族の戦争への発端となった。
リディアリアの魔法により、戦争は終わりを告げ、魔物も魔族たちの手によって葬られた。
そして二度と同じ過ちを繰り返さないようにと、人族と魔族の間に協定を作った。
人族は魔族から魔核を奪うことを禁じ、魔族も憎しみから今後人族を傷つけることを禁ずる、と。
この協定が十年もの間守られているからこそ、魔族の街はここまで復興することができた。戦争の「せ」の字も聞かないのもこの協定のおかげだろう。
しかしどこの世界にも、ルールを守れない者は存在してしまう。それが今回の魔物が発生した原因だろう。ディティラスの話によると、今でも魔核を全て回収できておらず、一部は人族の間で高額取引されているらしい。だから魔族から魔核を奪うという思考回路に発展したのだろう。
そういう人物はすぐにでも捕まえたいのだが、いたちごっこになるせいで、人族の王でも中々難しいものがあるらしい。
「今回は魔核を奪われた元魔族、魔物討伐に七貴族に応援をお願いしたい旨の報告書が上がってきている。でもね、私この話を聞いてふと思ったの。もし魔核を失った魔物が魔核を取り戻したらどうなるのかな、って」
リディアリアの着眼点を聞いて、ライトニングが息を呑んだのがわかった、それに気づかないふりをして話を振る。
「ライトニングは知ってる? 魔核を取り戻したら魔物は魔族に戻れるのか」
長い沈黙が二人の間に訪れた。
厳しい表情をするライトニングをただ、見つめ返す。やがてライトニングは長い息を吐いた。
「私の知識にはありませんね。魔物となった魔族は、他者を害する前に同族の手によって息の根を止めます。けれど魔物を魔族に戻す、というのは誰も考えなかったのでしょう」
魔物は元が魔族だということが判別しにくいほどに、姿が変わり果てている。一言でいえば、醜い生き物だ。だから元に戻るという考えは誰も持たなかったのも頷ける。
「でも、魔物は魔核を失った魔族が成った生物。逆に考えてみれば、魔物は魔核を得たら、元に戻るとか思わない?」
「実際に行った事例がないので、どう判断すればいいのかわかりかねますが、確率が全くないというわけではないでしょうね」
ライトニングは報告書に片手に持ちながら、もう片方の手を顎に当てた。
「だからね、私は思ったの。もしこれで魔核を奪った人族から取り返して、元に戻ることがあるのなら、私の魔核もどうにかなるんじゃないかって」
「まさかっ……」
リディアリアの考えを即座に理解したライトニングは、その場で立ち上がった。
「そう、多分ライトニングの考えていることで合っているよ」
「人族の間で行われる魔核の裏取引。こちらに手を出し、正当な理由をつけて魔核を回収。その魔核を自身の体に入れる、と?」
魔族から魔核を奪うことは戦争の終結と同時に協定で禁じられた。しかしそれ以前に奪われたものに関しては、所在のわかるもののみ回収され、親族の元へ返された。わからないものに関してはそのまま人族の間で高額取引されている。それをリディアリアは自身の体に入れようとしているのだ。
イチかバチかの賭けだった。
「うん」
成功の保証はどこにもない。
でも確率がゼロパーセントなわけでもない。
「危険ですよ」
「それも承知の上で、だよ。でもこの計画には魔核を見れる魔眼を持ち、治癒魔法を使えるライトニング、貴方の協力がないと成功はしない」
この賭けにはライトニングという手札が必須だった。
ライトニングがいなければ、確率はゼロパーセントのまま。なにせリディアリアには医療や魔核の知識が全くといっていいほどない。その点、ライトニングは魔眼を持っているし、医療や魔核についての知識が誰よりも深く多い。
「お願い、ライトニング。力を貸してほしい」
「リディアリア……」
リディアリアは頭を下げて頼み込んだ。
「普段の私ならば絶対、すぐにはい、とは頷かなかったでしょうね」
数十秒の静寂ののち、ライトニングがぽつりと言葉を漏らした。その声はどこか、自嘲しているようにも聞こえる。頭を上げて、そっと顔色を覗えば困ったように笑みを浮かべていた。
「私はね、リディアリア。こう見えても魔王に次ぐ地位を持つ、七貴族【傲慢】なんですよ」
当たり前のことを話すライトニングに、こくりと頷く。
「もしリディアリアではなく、他の魔族がこの話を持ち掛けてきたら必ず保留にします。だってそうでしょう? 魔物は元魔族とはいっても敵味方見境なく攻撃してきます。たった一人の魔族のために大勢のけが人が、最悪死人が出る場合だってあります。医療に携わるものとしてそんなことは避けたいし、もし行うとしても万全の準備を整えてからにしたい。私が関わる以上、私のミスで誰かが作戦中に死ぬなど、絶対に嫌なのです」
ライトニングが口にすることは十分に理解できる。リディアリアだって、もしライトニングの立場だったら絶対にそう思うだろう。
「でもね、リディアリア。貴女の命が助かるというのであれば、別の話です」
「ライトニング……」
「以前お話したでしょう? 私は七貴族【傲慢】である前に、義理でも貴女の父親であると。リディアリアの余命はもう数カ月しか残されていない。悠長に考えている暇はありません。もし助かる道があるのなら、全力で支えたいのです」
リディアリアの頭をぽんぽんと撫で、太陽のように柔らかな笑みをした。
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