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事例1 九十九人殺しと孤高の殺人蜂【事件篇】
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「女、話を元に戻すぞ――。これらのポエムから犯人像を推察した結果、お前は犯人が学生であるとの答えを導き出した。さてさて、具体的には何が根拠になるんだ?」
何事もなかったかのように話を元に戻した坂田に、縁は明らかに不服そうな表情を浮かべる。その鋭い眼光は坂田に向けられ続けていた。大人しくて、どちらかと言えばオドオドとした印象が強い縁だけに、そのギャップに倉科はただ驚くばかりだ。縁は黙ったままだった。
「くくくくくっ――。気の強ぇ女は嫌いじゃねぇぜ。俺の女にしてやろうか?」
縁の感情を逆撫でするかのごとく、いらんことを口にする坂田。そこで縁が何か言い返そうと口を開きかけたところで、倉科は待ったをかけた。
「山本、ここで坂田とやり合ったところで、事件の犯人が捕まるわけじゃない。気持ちは分かるが、今やるべきことは坂田とやり合うことじゃないだろ?」
坂田の機嫌が良いうちに、さっさと事件の情報を聞き出しておきたい。縁と坂田がぶつかった時はひやりとしたが、どうやらまだ坂田のヘソは曲がっていないようだ。縁にはぐっと堪えて貰い、話の方向を修正すべきだ。
「縁、我慢っす」
置いてきぼりをくらっている尾崎が、自分の存在を忘れられまいと口を開く。縁は「分かっています」と呟いて咳払いをひとつ。大きく深呼吸をしてから改めて坂田を見据えた。
「根拠は幾つかあります。これらのポエムの中にこんなワードが出てくる。例えば【後ろの席】【帰りの掃除】【渡り廊下】などです。ひとつめのポエムの中に含まれている【後ろの席】ですが、これは果たしてどのような状況を指しているのか。これって、学校の教室なんじゃないでしょうか?」
縁が着目したのは、ひとつめのポエムの中にある【後ろの席】というワードだ。ここから縁は学校の教室を連想したようだった。ずらりと並んだ机。前の席に座っている被害者を眺めながら、にやりと笑みを浮かべる男の姿がイメージできた。
「あ、もしかして【帰りの掃除】って、授業が終わって放課後にやらされる奴っすか? 学生時代によくサボったものっす」
尾崎に言われて、倉科は妙に納得した。確かに【帰りの掃除】は学校時代に誰しもがやらされた経験があるだろう。また【渡り廊下】というワードも、なんとなく学校を連想することができる。尾崎の言葉に頷いてから、縁は続けた。
「決定的なのは最新のポエムの中で使われている【今年も夏がやってくる】に続く【離れ離れになっているうちに】という言い回しです。どうして夏がやってくるだけなのに、離れ離れになると表現しているのでしょうか? それは――」
「くくくっ、夏休みに入るからだよなぁ?」
何事もなかったかのように話を元に戻した坂田に、縁は明らかに不服そうな表情を浮かべる。その鋭い眼光は坂田に向けられ続けていた。大人しくて、どちらかと言えばオドオドとした印象が強い縁だけに、そのギャップに倉科はただ驚くばかりだ。縁は黙ったままだった。
「くくくくくっ――。気の強ぇ女は嫌いじゃねぇぜ。俺の女にしてやろうか?」
縁の感情を逆撫でするかのごとく、いらんことを口にする坂田。そこで縁が何か言い返そうと口を開きかけたところで、倉科は待ったをかけた。
「山本、ここで坂田とやり合ったところで、事件の犯人が捕まるわけじゃない。気持ちは分かるが、今やるべきことは坂田とやり合うことじゃないだろ?」
坂田の機嫌が良いうちに、さっさと事件の情報を聞き出しておきたい。縁と坂田がぶつかった時はひやりとしたが、どうやらまだ坂田のヘソは曲がっていないようだ。縁にはぐっと堪えて貰い、話の方向を修正すべきだ。
「縁、我慢っす」
置いてきぼりをくらっている尾崎が、自分の存在を忘れられまいと口を開く。縁は「分かっています」と呟いて咳払いをひとつ。大きく深呼吸をしてから改めて坂田を見据えた。
「根拠は幾つかあります。これらのポエムの中にこんなワードが出てくる。例えば【後ろの席】【帰りの掃除】【渡り廊下】などです。ひとつめのポエムの中に含まれている【後ろの席】ですが、これは果たしてどのような状況を指しているのか。これって、学校の教室なんじゃないでしょうか?」
縁が着目したのは、ひとつめのポエムの中にある【後ろの席】というワードだ。ここから縁は学校の教室を連想したようだった。ずらりと並んだ机。前の席に座っている被害者を眺めながら、にやりと笑みを浮かべる男の姿がイメージできた。
「あ、もしかして【帰りの掃除】って、授業が終わって放課後にやらされる奴っすか? 学生時代によくサボったものっす」
尾崎に言われて、倉科は妙に納得した。確かに【帰りの掃除】は学校時代に誰しもがやらされた経験があるだろう。また【渡り廊下】というワードも、なんとなく学校を連想することができる。尾崎の言葉に頷いてから、縁は続けた。
「決定的なのは最新のポエムの中で使われている【今年も夏がやってくる】に続く【離れ離れになっているうちに】という言い回しです。どうして夏がやってくるだけなのに、離れ離れになると表現しているのでしょうか? それは――」
「くくくっ、夏休みに入るからだよなぁ?」
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