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事例1 九十九人殺しと孤高の殺人蜂【事件篇】
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「いえ、残念ながら――。先ほども言いましたが、うちは生徒の数が多くて、いちいち授業を受ける生徒の顔を把握しながら授業を行っている講師は多くありません。もちろん、見慣れない生徒が混じっていることに気付いて報告を上げてくれた講師がいるからこそ発覚したものなんですが、具体的にはどれくらいの頻度で、どの授業に出ていたのかは把握できていません」
それはそれでシステム的な面を改善したほうがいいような気がする。生徒の数が多いがゆえの弊害なのかもしれないが、その辺りを杜撰にしていると、極端な話になるが月謝を支払わずとも授業を受けられるような気がする。一人くらい塾の人間ではない生徒が混じっていても気付かないのではないだろうか。講師陣の意識的な面でも問題があるようだ。これもまた、講師の数が多いゆえの弊害か。
他のクラスの授業に無断で参加していたという問題児――。縁は提示された情報を目で追いつつ、あることに気付いて「あっ」と声を上げた。
「縁、どうしたっすか?」
とうとう茶菓子を平らげるという偉業を達成した尾崎が、最後のせんべいを惜しむようにかじりながら聞いてくる。この男は事件の話を聞きにきたのか、それとも腹を満たしにきたのか――。小一時間ほど説教してやりたくなる衝動を堪える。
「ほら、この生徒が通っている高校なんですが――」
縁は不審点を指差すと、尾崎がせんべいを口にくわえながら目を見開いた。
「ほのはっほぅって、はひは――」
ちゃんと食べから喋って欲しい。何を言っているか分からない。というか、どれだけ最後の一枚を惜しんでいるのだ。尾崎をその場に正座させて、理解するまでこんこんと説教したい衝動を飲み込んだ。それと同様に、ようやくせんべいを飲み込んだ尾崎が、改めて口を開く。
「この学校って、確か――」
尾崎の言葉に縁は頷いた。安堂が出してくれた生徒の個人情報には、縁が過去に目にしたことのある情報があったのだ。そう、蔵元総合高校という、奇妙な既視感が残されていたのである。
「えぇ、蔵元総合高校は、最初の犠牲者である田野雪乃が通っていた高校です」
縁と尾崎は顔を見合わせると、思わぬところで浮上した、広瀬なる生徒と犠牲者の共通項に頷き合った。
「安堂さん、これお借りしてもよろしいですか? 悪いようには使いませんので」
縁はそう言うと、広瀬という生徒の個人情報が書かれた紙を手に取る。すると、安堂は少しばかり困惑した表情を浮かべた。
「いえ、仮にも生徒の個人情報ですから、持ち出されるとなると色々と抵触が――」
それはそれでシステム的な面を改善したほうがいいような気がする。生徒の数が多いがゆえの弊害なのかもしれないが、その辺りを杜撰にしていると、極端な話になるが月謝を支払わずとも授業を受けられるような気がする。一人くらい塾の人間ではない生徒が混じっていても気付かないのではないだろうか。講師陣の意識的な面でも問題があるようだ。これもまた、講師の数が多いゆえの弊害か。
他のクラスの授業に無断で参加していたという問題児――。縁は提示された情報を目で追いつつ、あることに気付いて「あっ」と声を上げた。
「縁、どうしたっすか?」
とうとう茶菓子を平らげるという偉業を達成した尾崎が、最後のせんべいを惜しむようにかじりながら聞いてくる。この男は事件の話を聞きにきたのか、それとも腹を満たしにきたのか――。小一時間ほど説教してやりたくなる衝動を堪える。
「ほら、この生徒が通っている高校なんですが――」
縁は不審点を指差すと、尾崎がせんべいを口にくわえながら目を見開いた。
「ほのはっほぅって、はひは――」
ちゃんと食べから喋って欲しい。何を言っているか分からない。というか、どれだけ最後の一枚を惜しんでいるのだ。尾崎をその場に正座させて、理解するまでこんこんと説教したい衝動を飲み込んだ。それと同様に、ようやくせんべいを飲み込んだ尾崎が、改めて口を開く。
「この学校って、確か――」
尾崎の言葉に縁は頷いた。安堂が出してくれた生徒の個人情報には、縁が過去に目にしたことのある情報があったのだ。そう、蔵元総合高校という、奇妙な既視感が残されていたのである。
「えぇ、蔵元総合高校は、最初の犠牲者である田野雪乃が通っていた高校です」
縁と尾崎は顔を見合わせると、思わぬところで浮上した、広瀬なる生徒と犠牲者の共通項に頷き合った。
「安堂さん、これお借りしてもよろしいですか? 悪いようには使いませんので」
縁はそう言うと、広瀬という生徒の個人情報が書かれた紙を手に取る。すると、安堂は少しばかり困惑した表情を浮かべた。
「いえ、仮にも生徒の個人情報ですから、持ち出されるとなると色々と抵触が――」
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