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事例1 九十九人殺しと孤高の殺人蜂【事件篇】
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こちらから頼む必要がなくなった――。そんなことを思いながら、倉科との電話を切ると、まさか一緒にいるとは思っていないのであろう。今度は尾崎の携帯が鳴った。内容は縁とまったく同じようであり、尾崎がどこかで口を滑らせて、一緒にいることを暴露してしまわないかとヒヤヒヤしたが、それは辛うじて回避できたらしい。
無事に尾崎も電話を終え、二人で小さく頷き合う。
「こちらからお願いしなくとも坂田には会えそうですね――。今日手に入れた情報は、坂田に会うまで出さないようにしましょう」
縁は自分に小賢しさというか、あざといところがあることを自覚している。事前に倉科へと捜査の件を話してしまうと、二人が勝手に捜査したことがばれてしまうわけであり、アンダープリズンに向かう前にこんこんと説教をされる恐れもある。勝手に捜査をしたことが、なんにせよ明白になってしまうのであれば、直接坂田の前で出してしまったほうがいい。
「そうっすね。そのほうが間違いないっす」
こうして二人で動いたことにより、少なからず収穫があった。贅沢を言うのであれば、もう少しだけ広瀬から話を聞きたかったのであるが――。
二人で翌日の打ち合わせをしつつ、路上に停めてあった車へと乗り込むと、シートベルトを締めながら縁は口を開く。
「あ、そうだ。確か第一の犠牲者が発見された現場がこの近くだったはず。帰りがてら、そこにちょっと寄って行きませんか? 現場百遍は捜査の基本ですし」
現場百遍とは読んで字のごとく。捜査を行う上では現場を百回訪れてでも、慎重に捜査するべきであるという言葉だ。事件のあった空き地はここから遠くはない。地図上でしか把握していないが、番地は頭に叩き込んである。犯人の人物像を絞り込む作業が、こんなところに活きてきたわけだ。もう、第一の事件が起きてから時間が経っているが、現場を見ておいて損はない。何か新しい発見があるかもしれないし。
「そうっすね。現場を調べておいて損することはないっす」
尾崎が同意してくれたところで、スマートフォンで地図を呼び出し、番地を打ち込む。そして「行きましょう、尾崎さん」と、前を見据える縁。ナビに従って車は走り出した。
現場は思いのほか近く、そして思った以上に人目へとつかない場所にあった。ただでさえ人の気配がほとんどない路地に車を停めると、ビルとビルに挟まれる形の人が一人通るのが精一杯の幅しかない路地裏を進む。すると、ビルとビルに囲まれた空間が不自然に現れた。当然ながら、見回しても街頭の監視カメラはない。確かにここならば、人の目を気にせずに犯行へと及ぶことができるだろう。
無事に尾崎も電話を終え、二人で小さく頷き合う。
「こちらからお願いしなくとも坂田には会えそうですね――。今日手に入れた情報は、坂田に会うまで出さないようにしましょう」
縁は自分に小賢しさというか、あざといところがあることを自覚している。事前に倉科へと捜査の件を話してしまうと、二人が勝手に捜査したことがばれてしまうわけであり、アンダープリズンに向かう前にこんこんと説教をされる恐れもある。勝手に捜査をしたことが、なんにせよ明白になってしまうのであれば、直接坂田の前で出してしまったほうがいい。
「そうっすね。そのほうが間違いないっす」
こうして二人で動いたことにより、少なからず収穫があった。贅沢を言うのであれば、もう少しだけ広瀬から話を聞きたかったのであるが――。
二人で翌日の打ち合わせをしつつ、路上に停めてあった車へと乗り込むと、シートベルトを締めながら縁は口を開く。
「あ、そうだ。確か第一の犠牲者が発見された現場がこの近くだったはず。帰りがてら、そこにちょっと寄って行きませんか? 現場百遍は捜査の基本ですし」
現場百遍とは読んで字のごとく。捜査を行う上では現場を百回訪れてでも、慎重に捜査するべきであるという言葉だ。事件のあった空き地はここから遠くはない。地図上でしか把握していないが、番地は頭に叩き込んである。犯人の人物像を絞り込む作業が、こんなところに活きてきたわけだ。もう、第一の事件が起きてから時間が経っているが、現場を見ておいて損はない。何か新しい発見があるかもしれないし。
「そうっすね。現場を調べておいて損することはないっす」
尾崎が同意してくれたところで、スマートフォンで地図を呼び出し、番地を打ち込む。そして「行きましょう、尾崎さん」と、前を見据える縁。ナビに従って車は走り出した。
現場は思いのほか近く、そして思った以上に人目へとつかない場所にあった。ただでさえ人の気配がほとんどない路地に車を停めると、ビルとビルに挟まれる形の人が一人通るのが精一杯の幅しかない路地裏を進む。すると、ビルとビルに囲まれた空間が不自然に現れた。当然ながら、見回しても街頭の監視カメラはない。確かにここならば、人の目を気にせずに犯行へと及ぶことができるだろう。
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