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事例2 美食家の悪食【解決篇】
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「保護じゃありません! 確保です、確保っ! とりあえず、そいつから離れてくださいっ!」
そいつ――とは、誰のことを指しているのであろうか。一瞬、そんな間抜けな発想が頭をよぎった。話の文脈から察するに、縁が指している人物は一人しかいないはずなのに。とりあえず、思わず安野と顔を見合わせてしまった。
「三件の殺人と遺体遺棄、及び遺体損壊の件でお話を伺いたい。署までご同行願えますか?」
縁は尾崎と安野のさらに先を睨み付ける。そこでようやく頭が現状を理解してくれたのか、それとも安野が先に離れてくれたからなのか、尾崎も反射的にその人物から離れることができた。自然と拳銃を構えている縁の背後へと回る。麻田の「なにをやってんだか……」という呆れたような一言が、地味に痛かった。
縁と麻田が飛び込んできて、離れるようにと指示を受けた安野と尾崎が縁達のほうへと回った。つまり、縁が睨み付ける先にいる人物はただ一人だけ。縁が小さく溜め息をつき、そして拳銃をしっかりと構えながら言葉を吐き出す。
「これまでのカニバリズム事件。貴方が犯人なんですよね? 先生――」
そう――縁の視線の先にいたのは、必然的に残された、ただ一人の人物。この事件の司法解剖を担当し、何食わぬ顔で事件にたずさわってきた先生こと、中谷美華であった。
しんと静まり返ってしまった空気の中、くすりと笑った先生。突き付けられた銃口にさえ怯まずに口を開く。
「ちょっと……冗談はやめてちょうだい。どうして私になるわけ? 私はそんなことしていないわ。曲がりなりにも警察に協力する側の人間よ?」
縁は深刻そうな表情を見せているが、一方で先生はそこまで重く捉えていないようだった。幾ら冗談でも限度というものがあるし、これが冗談ではないことくらい先生にだって分かっているはずなのだが。
「三人もの女性を殺害し、そして喰らうという異常な犯罪。この事件を全て統合して考えると、犯人は貴方しかいないんです」
先生の言葉をかわすかのごとく、はっきりと断言する縁。もちろん、根拠があって物事を言っているのであろうが、先生の余裕そうな佇まいというべきか、罪悪感が皆無の態度を見るに、どうにも先生が悪食だったとは思えない。
「だったら、根拠をお話し願いましょうか? どうして私が犯人だということになってしまうのか――。様々な意味で興味深いわ」
縁の言葉に恐れる様子もなく、むしろ挑発するかのごとく笑みを浮かべる先生。まるでわがままを言う子どもをあしらう母親であるかのような余裕がそこにはあった。
そいつ――とは、誰のことを指しているのであろうか。一瞬、そんな間抜けな発想が頭をよぎった。話の文脈から察するに、縁が指している人物は一人しかいないはずなのに。とりあえず、思わず安野と顔を見合わせてしまった。
「三件の殺人と遺体遺棄、及び遺体損壊の件でお話を伺いたい。署までご同行願えますか?」
縁は尾崎と安野のさらに先を睨み付ける。そこでようやく頭が現状を理解してくれたのか、それとも安野が先に離れてくれたからなのか、尾崎も反射的にその人物から離れることができた。自然と拳銃を構えている縁の背後へと回る。麻田の「なにをやってんだか……」という呆れたような一言が、地味に痛かった。
縁と麻田が飛び込んできて、離れるようにと指示を受けた安野と尾崎が縁達のほうへと回った。つまり、縁が睨み付ける先にいる人物はただ一人だけ。縁が小さく溜め息をつき、そして拳銃をしっかりと構えながら言葉を吐き出す。
「これまでのカニバリズム事件。貴方が犯人なんですよね? 先生――」
そう――縁の視線の先にいたのは、必然的に残された、ただ一人の人物。この事件の司法解剖を担当し、何食わぬ顔で事件にたずさわってきた先生こと、中谷美華であった。
しんと静まり返ってしまった空気の中、くすりと笑った先生。突き付けられた銃口にさえ怯まずに口を開く。
「ちょっと……冗談はやめてちょうだい。どうして私になるわけ? 私はそんなことしていないわ。曲がりなりにも警察に協力する側の人間よ?」
縁は深刻そうな表情を見せているが、一方で先生はそこまで重く捉えていないようだった。幾ら冗談でも限度というものがあるし、これが冗談ではないことくらい先生にだって分かっているはずなのだが。
「三人もの女性を殺害し、そして喰らうという異常な犯罪。この事件を全て統合して考えると、犯人は貴方しかいないんです」
先生の言葉をかわすかのごとく、はっきりと断言する縁。もちろん、根拠があって物事を言っているのであろうが、先生の余裕そうな佇まいというべきか、罪悪感が皆無の態度を見るに、どうにも先生が悪食だったとは思えない。
「だったら、根拠をお話し願いましょうか? どうして私が犯人だということになってしまうのか――。様々な意味で興味深いわ」
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