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事例2 美食家の悪食【解決篇】
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「――名前?」
縁の口から飛び出した言葉に首を傾げたのは安野だった。犯人のこだわりがゆえに生じた選定基準。それが被害者の名前だったということなのだろうか。
「えぇ、名前です。安野警部、ちょっとお願いがあります。持ち歩いている手帳に第一と第二の事件で犠牲になった人の名前を、縦書きで書いて貰っていいですか? 1ページに一人ずつです。できる限り分かりやすく大きく書いて下さい。あ、漢字でお願いします」
縁に言われた安野は「あ、あぁ」と、少しばかり戸惑いながらも、胸ポケットから手帳を取り出すと、それに備え付けてあるボールペンを手に取った。
「えっと、確か第一の犠牲者は中田未来で――漢字はこうだったはず。それで、第二の犠牲者の名前は森山真央。漢字はこれで間違っていなかったはずだ」
記憶を手繰り寄せるように宙へと視線を投げつつ、メモ帳にペンを走らせる安野。なにゆえに、縁はこんなことを安野に頼んだのか。
「これでいいか?」
安野が手帳を見せると、縁は小さく頷いて「ちょっと代わって貰っていいですか?」と、メモ帳と引き換えに拳銃を安野へと手渡す。安野はやや気が向かないという感じでありながらも、仕方なく先生に対して銃口を向けた。
「さて、ここに犠牲者の名前を縦書きで書いて貰いました。それでは、ここで遺体が発見された際の状況を確認してみます。今回の事件の被害者は、体の中心を通るようにして点線が引かれ、それをガイドラインにするかのごとく、頭部をかち割られていました。それと同じように、こうすると――」
縁はそう言いながら、犠牲者の名前が書かれていたページを半分に折った。すると、当然ながら縦に書かれた名前の中心を通るように線が入る。
「名前がね――綺麗に左右対称になるんです」
一瞬、何を言っているのか分からなかったが、縁が先生に向かって突き付けたメモ帳を覗き込んで、ようやく合点がいった。
中田未来――。これを縦書きにして中心線を通してやると、そこを境にして文字が左右対称になるのだ。同じく森山真央も綺麗に左右対称になる。
「犯人はレシピを作成する際にゴシック体を使っていました。ゴシック体とは文字の装飾を省いたものであり、明朝体とは違い、とめ、はね、はらい――といった要素を簡略化している。それゆえに、明朝体では左右対称とならない漢字も綺麗に左右対称となります。だからこそ、好んでゴシック体を使ったのだと思われる」
縁の口から飛び出した言葉に首を傾げたのは安野だった。犯人のこだわりがゆえに生じた選定基準。それが被害者の名前だったということなのだろうか。
「えぇ、名前です。安野警部、ちょっとお願いがあります。持ち歩いている手帳に第一と第二の事件で犠牲になった人の名前を、縦書きで書いて貰っていいですか? 1ページに一人ずつです。できる限り分かりやすく大きく書いて下さい。あ、漢字でお願いします」
縁に言われた安野は「あ、あぁ」と、少しばかり戸惑いながらも、胸ポケットから手帳を取り出すと、それに備え付けてあるボールペンを手に取った。
「えっと、確か第一の犠牲者は中田未来で――漢字はこうだったはず。それで、第二の犠牲者の名前は森山真央。漢字はこれで間違っていなかったはずだ」
記憶を手繰り寄せるように宙へと視線を投げつつ、メモ帳にペンを走らせる安野。なにゆえに、縁はこんなことを安野に頼んだのか。
「これでいいか?」
安野が手帳を見せると、縁は小さく頷いて「ちょっと代わって貰っていいですか?」と、メモ帳と引き換えに拳銃を安野へと手渡す。安野はやや気が向かないという感じでありながらも、仕方なく先生に対して銃口を向けた。
「さて、ここに犠牲者の名前を縦書きで書いて貰いました。それでは、ここで遺体が発見された際の状況を確認してみます。今回の事件の被害者は、体の中心を通るようにして点線が引かれ、それをガイドラインにするかのごとく、頭部をかち割られていました。それと同じように、こうすると――」
縁はそう言いながら、犠牲者の名前が書かれていたページを半分に折った。すると、当然ながら縦に書かれた名前の中心を通るように線が入る。
「名前がね――綺麗に左右対称になるんです」
一瞬、何を言っているのか分からなかったが、縁が先生に向かって突き付けたメモ帳を覗き込んで、ようやく合点がいった。
中田未来――。これを縦書きにして中心線を通してやると、そこを境にして文字が左右対称になるのだ。同じく森山真央も綺麗に左右対称になる。
「犯人はレシピを作成する際にゴシック体を使っていました。ゴシック体とは文字の装飾を省いたものであり、明朝体とは違い、とめ、はね、はらい――といった要素を簡略化している。それゆえに、明朝体では左右対称とならない漢字も綺麗に左右対称となります。だからこそ、好んでゴシック体を使ったのだと思われる」
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