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事例3 正面突破の解放軍【事件篇】
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「確かに、奇襲に打って出るというのも、策として悪くはないかもしれませんね。楠木さんの言う通り、こちらには坂田という牽制力がありますから。ですが、真っ先に食堂を叩くよりも、まずは周囲を固めるべきじゃないですかね? 戦力という面では確実に解放軍に劣っているようですし、まずは食堂以外の場所から調べてみませんか? それで何か分かればラッキーなわけですし」
楠木の意見に賛同しながらも、しかしそこに別方向からのアプローチを付け加える中嶋。事態を収束させるには、解放軍の拠点となっている食堂を叩くのが手っ取り早い。けれども、こちらには坂田という牽制力はあれど、リスクを背負わねばならないことに変わりはない。ならば、先に食堂以外の場所を調べて回り、地盤を固めてしまおうという発想のようだ。食堂以外の場所を調べて、何か得るものがあるのならば、それに越したことはないだろう。相手の勢力が集中している本丸に乗り込む前に、まずは周囲の堀から埋めて行きたくなるのも、当然の心理といえば当然の心理だ。
「でも、このアンダープリズンは広いっすよ。周囲を調べて回るのは悪くないっすけど、そんなことをしていたら時間がかかって仕方がねぇっす。食堂では多くの人達が助けを待っているわけですし、やっぱり事件を早期解決するには、食堂に――」
「仮にそうするのだとしたら、援軍が到着してからのほうが良いと思います。倉科警部がどこまで動いてくれるのかは分かりませんが、援軍が到着してくれれば、当たり前ですけど私達が背負うべきリスクは、ぐっと低くなるはずです」
尾崎の気の短い意見を払拭すべく口を挟む縁。尾崎はきっと、一刻も早く食堂に残された仲間を助けたいのだろう。だからこそ、時間のことを気にしている。拘束が長引けば長引くほど、それだけ職員達をリスクに晒すということなのだから――。自分だけ食堂から逃げ出してしまったという負い目だって、あるに違いない。
「くくくくくっ――。要は手っ取り早く周囲を固めればいいだけだろう? だったら手分けすればいい。これだけの人数と、少なからず戦力があるんだからよぉ。烏合の衆がどれだけ集まろうが、所詮は烏合の衆だ。このまま固まって動くのと、二手に分かれて動くのとじゃ大差ねぇよ」
烏合の衆というのは、随分と人を見下した物言いであるが、しかし常軌から逸脱した存在である坂田からすれば、自分以外の人は人ではなく、せいぜい物程度の扱いだ。いちいち、彼の言動に腹を立てていてはキリがない。
楠木の意見に賛同しながらも、しかしそこに別方向からのアプローチを付け加える中嶋。事態を収束させるには、解放軍の拠点となっている食堂を叩くのが手っ取り早い。けれども、こちらには坂田という牽制力はあれど、リスクを背負わねばならないことに変わりはない。ならば、先に食堂以外の場所を調べて回り、地盤を固めてしまおうという発想のようだ。食堂以外の場所を調べて、何か得るものがあるのならば、それに越したことはないだろう。相手の勢力が集中している本丸に乗り込む前に、まずは周囲の堀から埋めて行きたくなるのも、当然の心理といえば当然の心理だ。
「でも、このアンダープリズンは広いっすよ。周囲を調べて回るのは悪くないっすけど、そんなことをしていたら時間がかかって仕方がねぇっす。食堂では多くの人達が助けを待っているわけですし、やっぱり事件を早期解決するには、食堂に――」
「仮にそうするのだとしたら、援軍が到着してからのほうが良いと思います。倉科警部がどこまで動いてくれるのかは分かりませんが、援軍が到着してくれれば、当たり前ですけど私達が背負うべきリスクは、ぐっと低くなるはずです」
尾崎の気の短い意見を払拭すべく口を挟む縁。尾崎はきっと、一刻も早く食堂に残された仲間を助けたいのだろう。だからこそ、時間のことを気にしている。拘束が長引けば長引くほど、それだけ職員達をリスクに晒すということなのだから――。自分だけ食堂から逃げ出してしまったという負い目だって、あるに違いない。
「くくくくくっ――。要は手っ取り早く周囲を固めればいいだけだろう? だったら手分けすればいい。これだけの人数と、少なからず戦力があるんだからよぉ。烏合の衆がどれだけ集まろうが、所詮は烏合の衆だ。このまま固まって動くのと、二手に分かれて動くのとじゃ大差ねぇよ」
烏合の衆というのは、随分と人を見下した物言いであるが、しかし常軌から逸脱した存在である坂田からすれば、自分以外の人は人ではなく、せいぜい物程度の扱いだ。いちいち、彼の言動に腹を立てていてはキリがない。
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