417 / 581
事例3 正面突破の解放軍【解決篇】
19
しおりを挟む
この話を聞いて、果たして倉科は何を思うだろうか。アリバイの証人として利用されたことになるのだから、その胸中は穏やかではないはずだ。倉科は縁達よりも中嶋との付き合いが長いし、二人が親しいことなど見ていれば分かる。親しかった人間がアンダープリズンを占拠し、そして仲間を殺し、自分までをも利用しようとしていた。もはや、裏切り――などという言葉では言い表せないほどのことを、中嶋は倉科に対して行ったのだ。
「でも、実際に【エーデルワイス】が流れたのは午後一時ではなく、それから三十分遅れた午後一時半前後だった。警部と午後一時過ぎまで一緒にいることでアリバイを作った犯人は、警部と別れた足でアンダープリズンに向かい、そしてレジスタンスリーダーとして自分達の目の前に姿を現した――ってことで大体合ってるっすか?」
チャイムをずらすことにより、外の世界より時間が三十分ほど遅れてしまったアンダープリズン。この時間のずれがあったからこそ、中嶋は倉科と午後一時過ぎまで一緒にいながら、午後一時前にレジスタンスリーダーとして縁達の前に姿を現わすという、魔法のようなことをやってのけることができたのだ。
「えぇ、それで合っています。この際、その先のレジスタンスリーダーの動きも追ってしまいましょうか」
中嶋は沈黙を守ったままだ。ただ、その表情からは感情が消え失せているように感じられた。それは、ショックのあまり茫然自失になっているようにも見えるし、縁の話の粗を冷静に探っているようにも見えた。どちらにせよ、そんな中嶋の表情は見たことがなかったから、なんだか不気味に見えた。
坂田は相変わらず口数が少ない。たまに縁の推測に補足を入れるくらいだ。品定めというべきか、自分の力量を坂田に計られているような気がして、あまり良い気分ではない。縁は坂田の視線から逃れるようにして中嶋のほうへと視線を戻すと続けた。今はとにかく続けるしかない。途中でロジックの構築をやめてしまうと、色々と余計な感情が入り込んできて、ロジックの組み上げを邪魔するのだから。
「食堂に姿を現したレジスタンスリーダーは、それからしばらくして食堂を離れています。食堂を離れた後は……恐らくそのまま住居スペースにある自分の部屋に向かい、ラバーマスクや解放軍の衣装を脱ぎ、本来の格好へと着替えたんだと思います。自分の部屋ですから鍵をかけることができるし、少女のラバーマスクや、解放軍の衣装を隠しておくにも好都合です。着替えるにはこれほど適した場所はないでしょう」
「でも、実際に【エーデルワイス】が流れたのは午後一時ではなく、それから三十分遅れた午後一時半前後だった。警部と午後一時過ぎまで一緒にいることでアリバイを作った犯人は、警部と別れた足でアンダープリズンに向かい、そしてレジスタンスリーダーとして自分達の目の前に姿を現した――ってことで大体合ってるっすか?」
チャイムをずらすことにより、外の世界より時間が三十分ほど遅れてしまったアンダープリズン。この時間のずれがあったからこそ、中嶋は倉科と午後一時過ぎまで一緒にいながら、午後一時前にレジスタンスリーダーとして縁達の前に姿を現わすという、魔法のようなことをやってのけることができたのだ。
「えぇ、それで合っています。この際、その先のレジスタンスリーダーの動きも追ってしまいましょうか」
中嶋は沈黙を守ったままだ。ただ、その表情からは感情が消え失せているように感じられた。それは、ショックのあまり茫然自失になっているようにも見えるし、縁の話の粗を冷静に探っているようにも見えた。どちらにせよ、そんな中嶋の表情は見たことがなかったから、なんだか不気味に見えた。
坂田は相変わらず口数が少ない。たまに縁の推測に補足を入れるくらいだ。品定めというべきか、自分の力量を坂田に計られているような気がして、あまり良い気分ではない。縁は坂田の視線から逃れるようにして中嶋のほうへと視線を戻すと続けた。今はとにかく続けるしかない。途中でロジックの構築をやめてしまうと、色々と余計な感情が入り込んできて、ロジックの組み上げを邪魔するのだから。
「食堂に姿を現したレジスタンスリーダーは、それからしばらくして食堂を離れています。食堂を離れた後は……恐らくそのまま住居スペースにある自分の部屋に向かい、ラバーマスクや解放軍の衣装を脱ぎ、本来の格好へと着替えたんだと思います。自分の部屋ですから鍵をかけることができるし、少女のラバーマスクや、解放軍の衣装を隠しておくにも好都合です。着替えるにはこれほど適した場所はないでしょう」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる