縁仁【ENZIN】 捜査一課 対凶悪異常犯罪交渉係

鬼霧宗作

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事例4 人殺しの人殺し【事件篇②】

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「大きく動きがあった――というよりも、新たに事件が起きてしまった。殺人蜂の事件と関連性があるのかは分からないが、今回はレジスタンスリーダーがられたよ。あのレジスタンスリーダーがだ」

 倉科の言葉に、坂田は予想通りの反応を見せた。ニタリと笑みを浮かべ、舌なめずりさえしたのである。殺人蜂が殺害されたという事件でさえ、坂田にとっては猟奇性が強くて大好物であろうに、それに続いてレジスタンスリーダーまでもが殺害されたのだ。坂田の心の内が手に取るように分かる。子どものように目を爛々らんらんと輝かせている時は、胸を躍らせていることがほとんどだ。

「殺人蜂だけに留まらず、今度はレジスタンスリーダーかぁ。くくくっ、だったら悪食も仲間に入れてやれよ。やべぇな。この事件、マジでやべぇ奴じゃねぇか! ひゃっはっはっはっはっは! いやいや、マジでやべぇ!」

 坂田はベッドに転がり、気が狂ったかのようにひとしきり笑うと、呼吸を整えながら半身を起こす。きっと、倉科が薄々と感じつつある嫌な予感を、坂田も感じているのであろう。もっとも、彼からすれば、嫌な予感でもなんでもないのだろうが。

「坂田、こいつは連続殺人事件か? それとも、それぞれが独立した事件か? 率直な意見を聞かせてくれ」

 あまり突っ込みたくはなかった部分であったが、倉科は勇気を振り絞って尋ねてみた。坂田の返答次第では、さらにある人物のことを疑わねばならないだろう。

「連続殺人事件に決まってるだろうが。殺されたのは、0.5係が事件で関わってきた事件の犯人ばかりだ。どうして悪食が仲間外れにされたのかは分からねぇけどよ、この事件はそもそも――」

「0.5係に深い関わりのある人間でなければ実行できない――そう言いたいんだろ?」

 坂田の台詞を奪った直後に倉科は後悔した。この時ばかりは自分の推論が間違っていて欲しいと思ったし、馬鹿にされても構わないから、坂田から大いに否定して欲しかった。

「分かってるじゃねぇか」

 坂田から返ってきた言葉は、けれども倉科の推論をちっとも馬鹿にしたものではなかった。むしろ、ごくごく当たり前のように受け入れてしまったのである。

「0.5係に深い関係があって、そして犯行に及べた可能性があった人物。しかも監視カメラの映像から犯人は女性だと思われる」

 ぽつりと漏らした倉科が顔を上げると、これまでの様々な光景が頭をよぎった。それは、きっと倉科の想いが見せた白昼夢だったのかもしれない。
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