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二章 お悔やみ様の祟り
第二十三話
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席が左端と右端に分かれている理子と遼子が、ほぼ同時に「まぁ、いるよね」と、全く同じ言葉を漏らした。少なくとも自分達はそうであると言わんばかりにだ――。左右から同じ言葉が返ってきたものだから、まるで本物のステレオスピーカーのようだった。二人から返ってきた言葉に葛西は頷くと、それをそのまま影山へと向ける。
「影山、少なくとも程島と根岸は全員のメールアドレスを知っているみたいだぞ? 本人が申し出ないだけで、まだまだ知っている人間がいるかもしれない。とにかく、これではっきりとしたな? これらの一連の騒動は、お悔やみ様なんていうオカルトじみた存在じゃなくても起こすことができたってことだ」
土曜日の夜に送られてきたメール。野球部関係者の机に貼られた不謹慎で奇妙な一文。それらは、ある一定の条件さえ整っていれば、誰にでも実行することができた。その事実を葛西によって突き付けられた影山は、小さく唸ると、ぶつぶつと何かを呟きながら着席をした。とりあえず、お悔やみ様の仕業などという非現実的なものを問う討議は、これで丸く収まったようだ。面白半分に付き合っていた連中も、ここまで言いくるめてやれば、変に騒ぎ立てたりもしないだろう。
「待てよ。そういうことになると、全員のメールアドレスを知っていた程島と根岸には、残念なことに疑いがかかることにならないか?」
ふっと野沢が思い立ったかのように呟いた。あごに手を当てて嫌疑の目を彼女達の間へと往復させる。
「――そういうことになる。が、全員のメールアドレスを知っているということは、これらの騒動を起こした犯人にとってのウィークポイントになる。もし俺が犯人だったら、程島や根岸のように、わざわざそれを認めるような発言はしないな。疑われることが分かりきっているから」
彼女達に余計な嫌疑がかからぬようにフォローを入れる。非現実的な理論を打破するために彼女達を引き合いに出したのだから、それくらいのことをやってやる義務が葛西にはあった。
「でも、クラス全員のメールアドレスを知っている人間なんて、そんなにいないよね? 理子、遼子――本当に何も知らないの?」
しかし、委員長まで一緒になって、彼女達へと嫌疑の目を向ける。それにつられて教室までもが、二人を疑うような空気になってしまった。
「そ、それって私達を疑ってるの?」
「そんなことするわけないじゃん? しかも、沙織の名前を使うとかありえないし」
「影山、少なくとも程島と根岸は全員のメールアドレスを知っているみたいだぞ? 本人が申し出ないだけで、まだまだ知っている人間がいるかもしれない。とにかく、これではっきりとしたな? これらの一連の騒動は、お悔やみ様なんていうオカルトじみた存在じゃなくても起こすことができたってことだ」
土曜日の夜に送られてきたメール。野球部関係者の机に貼られた不謹慎で奇妙な一文。それらは、ある一定の条件さえ整っていれば、誰にでも実行することができた。その事実を葛西によって突き付けられた影山は、小さく唸ると、ぶつぶつと何かを呟きながら着席をした。とりあえず、お悔やみ様の仕業などという非現実的なものを問う討議は、これで丸く収まったようだ。面白半分に付き合っていた連中も、ここまで言いくるめてやれば、変に騒ぎ立てたりもしないだろう。
「待てよ。そういうことになると、全員のメールアドレスを知っていた程島と根岸には、残念なことに疑いがかかることにならないか?」
ふっと野沢が思い立ったかのように呟いた。あごに手を当てて嫌疑の目を彼女達の間へと往復させる。
「――そういうことになる。が、全員のメールアドレスを知っているということは、これらの騒動を起こした犯人にとってのウィークポイントになる。もし俺が犯人だったら、程島や根岸のように、わざわざそれを認めるような発言はしないな。疑われることが分かりきっているから」
彼女達に余計な嫌疑がかからぬようにフォローを入れる。非現実的な理論を打破するために彼女達を引き合いに出したのだから、それくらいのことをやってやる義務が葛西にはあった。
「でも、クラス全員のメールアドレスを知っている人間なんて、そんなにいないよね? 理子、遼子――本当に何も知らないの?」
しかし、委員長まで一緒になって、彼女達へと嫌疑の目を向ける。それにつられて教室までもが、二人を疑うような空気になってしまった。
「そ、それって私達を疑ってるの?」
「そんなことするわけないじゃん? しかも、沙織の名前を使うとかありえないし」
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