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査定2 惨殺アイちゃん参上【解答編】
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千早に対して言ったのだが、そこで「あぁ、そうか……」と口を開いたのは愛のほうだった。
「純平はこの話を聞いてなかったか。この人の名前を逆から読むと【おさあいわか】で――ほら、名前に【アイ】が含まれてるでしょ? それと同じように堺昭夫先生や、この人と同じ警備員の河合秋人さんも名前に【アイ】が含まれてるのよ」
愛の言葉に釈然としないものを感じながらも、とりあえずは納得する一里之。なんというか、それを言い出してしまったらキリがないというか、こじつけでどうにもでもなってしまうような気がする。
「赤祖父様、確かに可能性として、その考えをお話しさせていただきました。しかし、よくよく考えてみると、事件当日に赤祖父様をはじめとして、名前に【アイ】が純正で含まれている方々がおられる中で、わざわざ逆さに読んで自らの名前に【アイ】が含まれているとすること――多少無理があったようです。何よりも【惨殺アイちゃん】自身が、そのようなこじつけとも取れる主張を嫌うでしょう」
一里之が釈然としない部分を言葉にしてくれる千早。いざ説明しろと言われると困るのであるが、自分のことを主張するために、自らの名前に【アイ】が含まれていると宣言しておきながら、ただし名前を逆から読むと――なんてオチを【惨殺アイちゃん】が用意しているとは思えなかった。そもそも、名前に【アイ】が含まれているからこその【惨殺アイちゃん】なのだから、ここは逆さから読むとか、そんなまどろっこしい手段を取らず、正攻法で【アイ】の二文字が名前に含まれていると考えるべき。【アイ】という二文字が自然に並んでいたからこそ【惨殺アイちゃん】というネーミングなのだろうし。
「あ、そ、そうなんだ……。でも待って。そうするとさ、この人も【惨殺アイちゃん】じゃないってことにならない? 逆さから読めば【アイ】が含まれているかもしれないけど、普通に読んだら【アイ】が含まれていないわけだし」
そこでようやく、一里之と同じ着地点に落ちつく愛。そのやり取りを眺めていた男――【かわいあさお】と呼ばれた奴が口を開く。
「これはとんだ濡れ衣じゃないかな? 噂だと【アイ】という名前が犯人の名前にも含まれているはずだよね? でも、残念なことに君が【惨殺アイちゃん】だと指摘した相手の名前には【アイ】が含まれていな――」
「含まれているんです。ただ、私達が思い込みと勘違いをしているだけで……心配せずとも、あなたの名前にも【アイ】が含まれているんですよ」
男の言葉を遮った千早は、一里之が制止したにもかかわらず、また一歩前へと足を踏み出した。
「純平はこの話を聞いてなかったか。この人の名前を逆から読むと【おさあいわか】で――ほら、名前に【アイ】が含まれてるでしょ? それと同じように堺昭夫先生や、この人と同じ警備員の河合秋人さんも名前に【アイ】が含まれてるのよ」
愛の言葉に釈然としないものを感じながらも、とりあえずは納得する一里之。なんというか、それを言い出してしまったらキリがないというか、こじつけでどうにもでもなってしまうような気がする。
「赤祖父様、確かに可能性として、その考えをお話しさせていただきました。しかし、よくよく考えてみると、事件当日に赤祖父様をはじめとして、名前に【アイ】が純正で含まれている方々がおられる中で、わざわざ逆さに読んで自らの名前に【アイ】が含まれているとすること――多少無理があったようです。何よりも【惨殺アイちゃん】自身が、そのようなこじつけとも取れる主張を嫌うでしょう」
一里之が釈然としない部分を言葉にしてくれる千早。いざ説明しろと言われると困るのであるが、自分のことを主張するために、自らの名前に【アイ】が含まれていると宣言しておきながら、ただし名前を逆から読むと――なんてオチを【惨殺アイちゃん】が用意しているとは思えなかった。そもそも、名前に【アイ】が含まれているからこその【惨殺アイちゃん】なのだから、ここは逆さから読むとか、そんなまどろっこしい手段を取らず、正攻法で【アイ】の二文字が名前に含まれていると考えるべき。【アイ】という二文字が自然に並んでいたからこそ【惨殺アイちゃん】というネーミングなのだろうし。
「あ、そ、そうなんだ……。でも待って。そうするとさ、この人も【惨殺アイちゃん】じゃないってことにならない? 逆さから読めば【アイ】が含まれているかもしれないけど、普通に読んだら【アイ】が含まれていないわけだし」
そこでようやく、一里之と同じ着地点に落ちつく愛。そのやり取りを眺めていた男――【かわいあさお】と呼ばれた奴が口を開く。
「これはとんだ濡れ衣じゃないかな? 噂だと【アイ】という名前が犯人の名前にも含まれているはずだよね? でも、残念なことに君が【惨殺アイちゃん】だと指摘した相手の名前には【アイ】が含まれていな――」
「含まれているんです。ただ、私達が思い込みと勘違いをしているだけで……心配せずとも、あなたの名前にも【アイ】が含まれているんですよ」
男の言葉を遮った千早は、一里之が制止したにもかかわらず、また一歩前へと足を踏み出した。
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