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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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 彼のキャラクターからして当然なのであろうが、話し合いをまとめているのは根津である。彼の隣には、幼馴染を失ってしまったショックから学校に来ることができず、しかし無理矢理に登校させられることになった副委員長――友華がいる。彼女の目はどこか虚ろであり、話し合いに参加している様子は見られない。

 番場純也と渡辺淳平の親友コンビは、それこそ積極的に根津と意見を交わしているようだった。前回のホームルームで、どうして彼らが黙っていたのか分からないくらいだ。ムードメーカーとしてクラスに笑いを巻き起こしてきたコンビが、いよいよ本領を発揮したのかもしれない。

 福岡纏に関しては――もはや、天然娘だから仕方がないのかもしれないが、折り畳み式のコンパクトミラーを取り出し、しきりにまつ毛を気にしているようだった。その長いつけまつ毛が外れそうなのか、それとも位置が気に入らないのか。とにかく、話し合いのほうに耳を傾けつつも、どうしてもまつ毛が気になるようだった。銃口を突きつけられている状態で、よくもそんなことができたものである。きっと電車の中でも平気で化粧直しとかができるタイプだ。

 根津、千奈美、友華、番場、渡辺、纏の6人。ゲームに残っているのは彼らだけで、この場面で【アントニオ】さえ成立してしまえば、クラス全員がゲームから抜けることになる。そして、これまでの推測から、根津のチームも間違いなく【アントニオ】を成立させられるはずだ。

 これで姫乙に一矢報いることができるとまでは思わない。けれども、きっと姫乙の期待を裏切るような形になるはずだ。

 最後まで可能性を考えたかったのであろう。でも、答えは最初から出ており、最終的に着地する場所も決まっていた。話がまとまったらしく、根津がゆっくりと口を開いた。

「Aチームは【7】【8】【9】を宣言する――」

 予定調和。むしろAチームに残されていた選択肢は【7】【8】【9】の【アントニオ】狙いのみ。これにて3チームが【アントニオ】成立でゲームから抜ける。ゆえに、ゲームの続行も不可能になる。

「もはや言葉は不要でしょう。それではぁ、早速ぅ――姫ぇぇぇぇぇ乙ぁぁぁぁぁぁっ! ジャッジメントォォォ!」

 言葉も不要であるし、見ているほうが恥ずかしくなるような仕草やポーズも無用である。次第にポーズが絞られてきて、これまでと同様に【アウト】と【セーフ】の間を行き来する。だから、時折挟んでくる顔芸はなんなのか。
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