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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【プロローグ】

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「とにかくですねぇ――【レクリエーション】で行うゲームに負けたら死ぬんですぅ。で、制限時間内にアベンジャーの正体が暴けなかったら全員爆発。もちろん、アベンジャーは爆発から除きますぅ。これくらい分かりやすく、ごちゃごちゃ細けぇこと言わない。それがデスゲームなんですよぉ。ちょっとした矛盾よりも、派手に人が死んでみたり、意味もなくセックスしてみたりするほうが大事なんですぅ」

 姫乙の理論は全く分からないが、こちらが何を言ったところで、細かいところはうんぬんかんぬん――とかわされることが良く分かった。本来の趣旨とは外れているのではと抗議したところで、結果は火を見るより明らかだ。

「言ってることは滅茶苦茶だけど、ここでざっと確認させてもらっていい? 私達はこれから【糾弾ホームルーム】内で【レクリエーション】を行う。そして、その【レクリエーション】で負けた人間は即射殺される。また【レクリエーション】を行うのは【糾弾ホームルーム】内だから、制限時間までにアベンジャーの正体を暴けなかった場合も私達の負けになる。貴方の大好きな爆発という形で死ぬ――これで間違っていない?」

 姫乙の横暴かつ身勝手な言い分には、誰しもが不快感を抱いている。けれども不満をぶつけたところでルールブックの姫乙には通用しない。だからこそ、芽衣はそれらを全て受け入れることを前提にしているのだろう。決まったことに――どうせ変わりもしないことに文句を垂れるくらいならば、その先のことを考えたほうが建設的だ。

「付け加えておきますとぉ、スタイルは違うとはいえ【レクリエーション】を行なっている間でもぉ、しっかりアベンジャーにたどり着けるような環境作りをお約束しますぅ。ロジックは解けてこそロジックなのですから」

 前回は、事件が起きて7人ものクラスメイトが死んで、そして【糾弾ホームルーム】が開かれて、アベンジャーを見事に特定して2年4組は生還した。

 今回は、事件などは起こっていないが【糾弾ホームルーム】が開かれ、そこで行われる【レクリエーション】の結果によっては犠牲者が出る可能性がある。つまり、進め方によっては犠牲者ゼロで済ませることも可能であり、逆に多数の犠牲者を出してしまう恐れがある。

 ――全くの別物だ。けれども、これが【糾弾ホームルーム】であると姫乙が定める以上、それは現実となって安藤達に襲いかかるのだ。とんでもない話である。
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