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第二章 動き出す狂気【現在 七色七奈】
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私が見たものは一体何だったのだろうか。この独特な雰囲気の田舎に帰ってきてしまったがゆえに見てしまった幻なのか。でも、確かに私は見たはずなのだ。手招きする白い手を。
大和田の言葉に納得したものの、心のどこかでまだ納得できていなかった私は、車に戻るまでの間に何度も振り返った。もう一度、白い手が玄関先から出ていて、手招きをしていないか――と。しかし、私の期待は虚しく、廃墟の玄関は固く閉ざされたままだった。
車に戻った途端、妙な虚無感に襲われる。赤松朱里の所在に直接コンタクトすることができる実家という武器を失ってしまったのは大きい。せめて彼女の連絡先でも分かれば、色々と変わってくるだろうに――。それらの手段が失われてしまった私は、完全なる振り出しへと戻されてしまう。
ビデオテープを探し当てては、また次のビデオテープを探す。そのビデオテープが何本あるのか分からない上に、それを全て集めたからといって、何が起きるかなんてまるで分からない。良くも悪くも手がかりはビデオテープだけ。それ以外のアプローチの道は閉ざされてしまった。
この場で帰ろうと思えば帰ることができただろう。残りの有給、何をするでもなく自宅で過ごすとか、買い物に出かけてみるとか、いくらでも過ごしようはあったと思う。けれども、ここまで中途半端にビデオテープを集めてしまったら――その中身を見てしまったら、もう引き戻すことなんてできない。ただでさえ増幅しつつある心のモヤモヤが残るだけだ。
「大和田さん、私のビデオデッキとかもろもろ、しばらく大和田さんのところに置かせてもらっていい?」
本当ならば宿を探し、そこを拠点にするつもりだった。しかしながら、私が宿を借りる最大の理由は、テレビにビデオを繋ぐことであり、その環境がすでに整っているのであれば、わざわざ旅館を借りる必要はない。風呂など不便な点はあるが、中心街のほうへと車を走らせれば銭湯くらいはあるだろうし、寝るのは車中泊で充分だ。
「あ、あぁ。別に構わないけど」
大和田自身、ビデオテープに興味があるようだし、拠点を借りるのは簡単だった。後はどれだけのビデオテープが残されているのかだ。とにかく、手がかりを失った今は、ビデオテープを一本でも多く消化するしかないだろう。
車のエンジンをかけた私は、早速ビデオテープを確認すべく、駐在所に向かってアクセルを踏み込んだのであった。
大和田の言葉に納得したものの、心のどこかでまだ納得できていなかった私は、車に戻るまでの間に何度も振り返った。もう一度、白い手が玄関先から出ていて、手招きをしていないか――と。しかし、私の期待は虚しく、廃墟の玄関は固く閉ざされたままだった。
車に戻った途端、妙な虚無感に襲われる。赤松朱里の所在に直接コンタクトすることができる実家という武器を失ってしまったのは大きい。せめて彼女の連絡先でも分かれば、色々と変わってくるだろうに――。それらの手段が失われてしまった私は、完全なる振り出しへと戻されてしまう。
ビデオテープを探し当てては、また次のビデオテープを探す。そのビデオテープが何本あるのか分からない上に、それを全て集めたからといって、何が起きるかなんてまるで分からない。良くも悪くも手がかりはビデオテープだけ。それ以外のアプローチの道は閉ざされてしまった。
この場で帰ろうと思えば帰ることができただろう。残りの有給、何をするでもなく自宅で過ごすとか、買い物に出かけてみるとか、いくらでも過ごしようはあったと思う。けれども、ここまで中途半端にビデオテープを集めてしまったら――その中身を見てしまったら、もう引き戻すことなんてできない。ただでさえ増幅しつつある心のモヤモヤが残るだけだ。
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「あ、あぁ。別に構わないけど」
大和田自身、ビデオテープに興味があるようだし、拠点を借りるのは簡単だった。後はどれだけのビデオテープが残されているのかだ。とにかく、手がかりを失った今は、ビデオテープを一本でも多く消化するしかないだろう。
車のエンジンをかけた私は、早速ビデオテープを確認すべく、駐在所に向かってアクセルを踏み込んだのであった。
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