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第四章 ミノタウロスはいる【現在 七色七奈】
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首吊りの現場へと駆けつけておきながら、本部には虚偽の報告をしなければならないし、手ぶらで帰ることになる。警察という国家権力が、地域に権力者に頭が上がらないなんて話、創作物の中だけの話だと思っていた。けれども、どうやら現実もあまり変わらないらしい。新聞社の人間として世の中の流れを見てきた立場の人間としては、変に納得できてしまった。
帰りの車の中は、当然ながら無言になった。ようやく大和田が口を開いたのは、駐在所の明かりが見えた辺りまできた時のことだった。
「――情けない話だろ? でも、田舎の辺境じゃ、こうするのが一番利口なんだ。こういうところは、法治国家でありながら法治国家じゃない。警察なんかより、地元の有力者のほうが、よっぽど権限を持ってる」
そんな馬鹿な話――なんて言える雰囲気ではなかった。それに、なまじアンダーグラウンドの世界も見たことがあるから、大和田の言っていることが嘘でもなければ大袈裟でもないことも知っている。
「逆らおうものなら、周囲の人間と口裏を合わせますからね。実際、田舎で起こった事件とかは、有力者によって揉み消されたりするって話を聞いたことがあります」
田舎は平和で事件らしい事件が起きない。それは、もしかすると勝手な思い込みなのかもしれない。起きないのではなく、起きても揉み消される環境があるだけなのではないか。
「分かってもらえてありがたいよ――」
大和田は力なく答えると、駐在所の脇にあるスペースに私の車を停める。
「あの、大和田さん。この辺に、過去のこと――郷土史でもなんでもいいんですけど、そういうものを調べられるところってありますか?」
事件は権力者によって揉み消されているのかもしれない。だとすれば、もしかすると――。
「この辺りはないけど、街の中心部まで出れば、それなりに大きな図書館がある。そこなら、過去の地元紙とかを調べることはできると思うよ」
ビデオテープの確認はこの後するとして、どうやら少しばかり調べなければならないことが出てきたらしい。もし、本当にミノタウロスの森で人が死ぬようなことが起きていれば、それは間違いなく事件となっているはず。しかしながら、この辺りは何も起きない平和な田舎で通ってしまっているのだ。それだけの事件が起きていれば、他所者で後になってから駐在としてやって来た大和田だって、何かしら事件のことを知っているはず。
けれども、それらしき様子が大和田にはないのだ。
帰りの車の中は、当然ながら無言になった。ようやく大和田が口を開いたのは、駐在所の明かりが見えた辺りまできた時のことだった。
「――情けない話だろ? でも、田舎の辺境じゃ、こうするのが一番利口なんだ。こういうところは、法治国家でありながら法治国家じゃない。警察なんかより、地元の有力者のほうが、よっぽど権限を持ってる」
そんな馬鹿な話――なんて言える雰囲気ではなかった。それに、なまじアンダーグラウンドの世界も見たことがあるから、大和田の言っていることが嘘でもなければ大袈裟でもないことも知っている。
「逆らおうものなら、周囲の人間と口裏を合わせますからね。実際、田舎で起こった事件とかは、有力者によって揉み消されたりするって話を聞いたことがあります」
田舎は平和で事件らしい事件が起きない。それは、もしかすると勝手な思い込みなのかもしれない。起きないのではなく、起きても揉み消される環境があるだけなのではないか。
「分かってもらえてありがたいよ――」
大和田は力なく答えると、駐在所の脇にあるスペースに私の車を停める。
「あの、大和田さん。この辺に、過去のこと――郷土史でもなんでもいいんですけど、そういうものを調べられるところってありますか?」
事件は権力者によって揉み消されているのかもしれない。だとすれば、もしかすると――。
「この辺りはないけど、街の中心部まで出れば、それなりに大きな図書館がある。そこなら、過去の地元紙とかを調べることはできると思うよ」
ビデオテープの確認はこの後するとして、どうやら少しばかり調べなければならないことが出てきたらしい。もし、本当にミノタウロスの森で人が死ぬようなことが起きていれば、それは間違いなく事件となっているはず。しかしながら、この辺りは何も起きない平和な田舎で通ってしまっているのだ。それだけの事件が起きていれば、他所者で後になってから駐在としてやって来た大和田だって、何かしら事件のことを知っているはず。
けれども、それらしき様子が大和田にはないのだ。
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