ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【出題編】

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「袴田さんの奥さんが生きていたことを証明するため――もし、そうだとしたら、逆説的にこうならない?」

 コトリはやや体を乗り出しつつ、こう続けた。

「その必要のない袴田さん本人の疑いは一気に薄くなりますわ」

 大東は何者かの虚偽の依頼によって家を訪問することになった。その第三者による虚偽の依頼の目的は、おそらくその時間帯、家に人を寄越すためのもの。すなわち、家に帰って亡き妻の姿を発見することになる袴田には、そんなことをする必要がない。ゆえに、袴田への疑いが薄くなる。もっとも、何者かが袴田の妻を殺害したという前提が必要となってくるが。

「ですが、あえて――という可能性もございますし、まだ情報が明らかに足りませんね。他にも訪問した方がいるのであれば、その情報を知りたいところです」

 明らかに足りない情報というのは、まず間違いなく残りの2人の情報だろう。真昼間の訪問者。果たして他にはどんな人物が訪れたのだろうか。その辺は資料に聞くしかない。

「えっと、大東が帰った後に、袴田さんの奥さんの友人だという方が家を訪れていますね。名前は柏木美奈子かしわぎみなこさんで、お歳は68歳。お茶飲み仲間だったみたいです」

 大東の次に訪問したのは、亡くなった奥さんの友人のようだった。

「いつもならば家に上がってお茶を飲んで行くそうなのですが、この日は用事があるから――という理由で断られたみたいですね。玄関先でやり取りをして帰宅したとのことです」

 大東は虚偽だと思われる依頼を受けて家を訪れ、玄関先で帰ることになった。そして、次の訪問者である美奈子もまた、家に上がることはなかったようだ。

「1人目、そして2人目が訪問した時点で、奥様は生きていたのですね。となると、圧倒的に3人目が怪しくなると思うのですが――」

 冥の言葉に頷きつつ、しかし資料を眺めて一里之は首を傾げた。いや、これならば2人目の訪問者が嘘をついている可能性も出てくるのではないだろうか。

「3人目の訪問者は、縁もゆかりもない配送員です。代引きの荷物があったため呼び鈴を鳴らしたが家から人は出てこず、そのまま引き返したそうです」

 そう、3人目の訪問者に対して、袴田の奥さんは対応せず。すなわち、この時点で袴田の奥さんの生死が明らかになっていないのだ。また、2人目の訪問者は正しいことを言っていて、この3人目こそが嘘をついている可能性もあり得る。
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