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ケース3 山奥の事故物件【プロローグ】
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それにしても、どうして登山なんてしなければならないのであろうか。むしろ、そんな辺鄙な場所にある物件とは、どんなものなのか。
「それ相応の装備も準備したほうがいいぞ。山を舐めると痛い目に遭うからな」
念のためにもう一度だけ確認しようと思ったが、しかし登山をしなければならないことは確定らしい。山を舐めるな――と言われたって、そもそも登山とは無縁のような人生を送ってきたし、これから先も特に興味を持つようなことではなかったに違いない。
「あ、俺の分もある程度装備が欲しい。今回は俺も一緒に行ってやる」
ホームセンターの駐車場に到着すると、鯖洲が珍しく同行するとのこと。もっとも、登山に必要な装備を買うだけのつもりらしいが。それにしたって珍しい。
鯖洲とホームセンターに入ると、知識がないながらもスマホと睨めっこをしながら、必要であろうものを揃える一里之。車でどこまで行けるかは分からないし、そこから先は徒歩になるとすれば、そこまで多くの物資は運べない。ある程度の選別は必要になってくるだろう。
結果的に山登りのための道具を揃えるのがメインとなった。一応、必要最低限のものは用意できたとは思うが、鯖洲と自分の装備だけでも、かなりの金額を支出することになってしまった。リュックに詰めることになる必要最低限のものは、おそらく限界まで買い込んだはず。万が一にも足りないものがあったら下山するしかない。
装備共々、鯖洲の車のトランクに詰め込むと、助手席に乗り込んだ鯖洲がようやく本題を切り出した。
「さて、今回向かうのは山奥にある廃山荘だ。かつては若い夫婦が登山客相手のペンションをやっていたらしい。秘境にある隠れたペンションってことで、一時期話題になったらしいが、ある事件が起きてから幽霊が出る――なんて悪い噂が立ってな。客足が遠ざかって廃業しちまったらしい」
当たり前であるが、今回の物件もいわくつきだ。事故物件というものは、おそらく普通の人が考えているより、この世の中に多く蔓延していることだろう。
「車で行けるのは登山口まで。そこから先は徒歩になるからな。まぁ、着替えたりするのはそこに到着してからでもいいだろう」
鯖洲は慣れた手つきでカーナビを操作する。買い出しに同行したおかげで、多少はアクティブになっているらしい。なんでもかんでも丸投げされるよりかは全然いいが、積極的に動く鯖洲というのも不気味ではある。
「それ相応の装備も準備したほうがいいぞ。山を舐めると痛い目に遭うからな」
念のためにもう一度だけ確認しようと思ったが、しかし登山をしなければならないことは確定らしい。山を舐めるな――と言われたって、そもそも登山とは無縁のような人生を送ってきたし、これから先も特に興味を持つようなことではなかったに違いない。
「あ、俺の分もある程度装備が欲しい。今回は俺も一緒に行ってやる」
ホームセンターの駐車場に到着すると、鯖洲が珍しく同行するとのこと。もっとも、登山に必要な装備を買うだけのつもりらしいが。それにしたって珍しい。
鯖洲とホームセンターに入ると、知識がないながらもスマホと睨めっこをしながら、必要であろうものを揃える一里之。車でどこまで行けるかは分からないし、そこから先は徒歩になるとすれば、そこまで多くの物資は運べない。ある程度の選別は必要になってくるだろう。
結果的に山登りのための道具を揃えるのがメインとなった。一応、必要最低限のものは用意できたとは思うが、鯖洲と自分の装備だけでも、かなりの金額を支出することになってしまった。リュックに詰めることになる必要最低限のものは、おそらく限界まで買い込んだはず。万が一にも足りないものがあったら下山するしかない。
装備共々、鯖洲の車のトランクに詰め込むと、助手席に乗り込んだ鯖洲がようやく本題を切り出した。
「さて、今回向かうのは山奥にある廃山荘だ。かつては若い夫婦が登山客相手のペンションをやっていたらしい。秘境にある隠れたペンションってことで、一時期話題になったらしいが、ある事件が起きてから幽霊が出る――なんて悪い噂が立ってな。客足が遠ざかって廃業しちまったらしい」
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