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ケース4 ロンダリングプリンセス誕生秘話【解決編】
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千早から送られる視線に、愛の母親は怯えているように見えた。伴侶はすでに他界しており、頼れる人もいないだろう。それなのに、決断を下さねばならない。すなわち、娘のために動くか、それとも唯一残った肉親のために動くか――だ。無言を貫く母親に向かって、千早は小さく頭を下げた。
「ご判断はお任せします。私のほうから警察に話をしたりもしません。でも、犯してしまった罪は犯してしまった罪でしょうし、なによりもずっと、本人の胸の内に留まり、本人を苦しめるのではないでしょうか? 自首なされることをおすすめします」
安楽椅子探偵。誰かが千早のことをそう言っていた。現場を見たわけでもなければ、そこに居合わせたわけでもない。後から集められた情報だけを頼りに、答えを導き出す姿は、どこかコトリと同じような気がした。
「――私達が悪いんです。私達のせいで、あの子は部屋から出てこなくなって。そして、いつしか家族に対して暴力を振るうようになったんです。特に愛に対しては酷かった。しかも、絶対に表沙汰にならないようにやるんです。私はあの子が怖かった。ずっと、ずっと怖かったんです」
涙ながらに話す母親の姿から察するに、認めたと判断してもいいのだろう。すなわち、この家にもう1人の人間が存在するということを。
「事件が起きた時に向き合うべきだったんです。もっと私達が真摯に向き合うべきだった。でも、私達は臭い物に蓋とばかりに、滅多に開かない部屋の扉を自ら閉じてしまった。あの子が中から出てこないように」
この結末は、果たして誰が望んでいたのだろうか。もちろん、愛のためには全てを明らかにしたほうがいい。けれども、すでに愛はこの世におらず、それでも愛のことを想うのであれば、小さな家庭を壊さねばならなくなる。もし、実際に息子が犯罪者として逮捕されたら、愛の母親もここには住めなくなるだろう。きっと生きていくすべもなくすし、路頭に迷ってしまうに違いない。
「でも、それが間違いだったんです。事件があった日、父の車が使用されたことも分かっていたし、クレジットカードで買い物されたことにも気づいていました。それなのに、私達は追求しようとしなかった。それどころか、猫屋敷さん――あなたを仲介させて仲違いすることで、事件をうやむやにして納得しようとした。私達は最低です。本当に」
本人からすれば真実の独白なのであろうが、しかしどうにも言い訳じみているように思えるのは、それだけ一里之が大人になってしまったということなのだろう。
「ご判断はお任せします。私のほうから警察に話をしたりもしません。でも、犯してしまった罪は犯してしまった罪でしょうし、なによりもずっと、本人の胸の内に留まり、本人を苦しめるのではないでしょうか? 自首なされることをおすすめします」
安楽椅子探偵。誰かが千早のことをそう言っていた。現場を見たわけでもなければ、そこに居合わせたわけでもない。後から集められた情報だけを頼りに、答えを導き出す姿は、どこかコトリと同じような気がした。
「――私達が悪いんです。私達のせいで、あの子は部屋から出てこなくなって。そして、いつしか家族に対して暴力を振るうようになったんです。特に愛に対しては酷かった。しかも、絶対に表沙汰にならないようにやるんです。私はあの子が怖かった。ずっと、ずっと怖かったんです」
涙ながらに話す母親の姿から察するに、認めたと判断してもいいのだろう。すなわち、この家にもう1人の人間が存在するということを。
「事件が起きた時に向き合うべきだったんです。もっと私達が真摯に向き合うべきだった。でも、私達は臭い物に蓋とばかりに、滅多に開かない部屋の扉を自ら閉じてしまった。あの子が中から出てこないように」
この結末は、果たして誰が望んでいたのだろうか。もちろん、愛のためには全てを明らかにしたほうがいい。けれども、すでに愛はこの世におらず、それでも愛のことを想うのであれば、小さな家庭を壊さねばならなくなる。もし、実際に息子が犯罪者として逮捕されたら、愛の母親もここには住めなくなるだろう。きっと生きていくすべもなくすし、路頭に迷ってしまうに違いない。
「でも、それが間違いだったんです。事件があった日、父の車が使用されたことも分かっていたし、クレジットカードで買い物されたことにも気づいていました。それなのに、私達は追求しようとしなかった。それどころか、猫屋敷さん――あなたを仲介させて仲違いすることで、事件をうやむやにして納得しようとした。私達は最低です。本当に」
本人からすれば真実の独白なのであろうが、しかしどうにも言い訳じみているように思えるのは、それだけ一里之が大人になってしまったということなのだろう。
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