ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

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【4】

 いつもは使用人が多くいるため、そこまで広くは感じられない屋敷が、今日はやけに広く感じられる。屋敷に戻ったはいいものの、どうやら母は外出しているらしかった。普段、外に出る時は寺山が運転手をするのだが、今日はずっと寺山が塞がっていたがゆえ、そこまで遠くには行っていない。きっと日課の散歩であろうと考えたコトリは、とりあえず母の帰りを待つことにした。

 斑目と千早は、母の不在を聞いて、先に一里之のところに向かうことにしたらしい。そのまま寺山に運転手をさせても良かったのであるが、タクシーを使うとのことで断られた。やはり、疑いのある人物が運転する車には、気持ちとしては乗りたくはないのだろう。

「俺も一里之のやつの顔でも見に行けば良かったかな」

 屋敷に戻ったところで、特に何をするというわけでもない。話を聞くべき相手を待つだけというのは時間を持て余してしまう。かつて、ここで働いていた使用人、もしくは当時のことを知る現役の使用人達だって、召集をかけたからといって、すぐに集まるとわけではない。結果、鯖洲と冥、そしてコトリは屋敷での待機を強いられていた。

「まぁ、斑目様と猫屋敷様は、彼が地元にいた頃のご友人の様子。少なくとも、私達よりは付き合いが長いでしょうし、刑事という立場の斑目様とご学友だった猫屋敷様が訪ねたほうが、彼もきっと安心することでしょう」

 とりあえずエントランスの脇にあるソファーに腰をおろすと、冥の言葉に「おいおい、俺と一里之の関係ってのは、その程度のやわなもんだったのかよ」と、わざとらしく悪態をつく。

「とにかく、お母様が戻るまで待つしかありませんわね。誰よりも先に話が聞けそうなのは、お母様しかいませんし」

 普段、コトリはあまり家族と関わらない。いや、意図的にそうしているというわけではないのだが、なんせこの屋敷の広さである。下手をすると、父とは数日顔を合わせないこともざらにある。一応、食事は家族でとるようにしているのだが、仕事の都合で父の席が空席というのはままある。

「そう言えば、あいつ……寺山のやつはどこ行ったんだ?」

 寺山に限ってそんなことはないと思うが、鯖洲は逃走の可能性を考えているのだろう。もっとも、彼が逃走することはない。それは、彼を信用しているうんぬん以前の問題であり、そう思う根拠があるからだ。
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