BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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宮垣という名の街【開始〜午後1時】

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 水落がSGTをポケットから取り出した。それを見てから春日もSGTを取り出す。そして互いにSGTを操作すると、互いに【固有ヒント】を提示した。

 ――ヒント【F】 ブービートラップは男性である。

 ――ヒント【U】 ブービートラップは女性である。

 春日と水落が合流できたのは、恐らくは偶然だったのであろう。しかしながら、偶然というものに感謝したくなった。確定もない事象が上手く働いてくれると、なんだか得をしたような気になってしまう。

「これは――」

 水落も春日のヒントとの関連性には気づいて当然であろう。春日は頷く。

「あぁ、私と君の【固有ヒント】は、まるで正反対だ。しかも、人間の性別が二種類に識別されている以上、どちらかのヒントは確実に本物だし、またどちらのヒントは確実に偽物ということになる。この組み合わせは、なかなか幸先の良い組み合わせなのかもしれない」

 ふと、お互いのSGTを見て、ヒント一覧を表示するアイコンが点滅していることに気づいた。とりあえずアイコンを押してみる。するとヒント一覧の画面が出てくると同時にメッセージが画面にポップアップされる。

 ――水落悠斗所有のターミナルが確認されました。ヒントを共有しますか?

 水落のSGTにも同じメッセージが出ているようだった。ブルートゥースのような機能を擬似的に真似ているのだと思われる。どうやら端末――いや、ターミナル同士が近づくと、ヒントの共有が可能になるらしい。まぁ、この辺りのことはルールにも記載されていたような気もするが。

「お互いの【固有ヒント】は共有しておいて損はないだろう。まぁ、まず君の【固有ヒント】は忘れないだろうが」

 お互いのヒントが相反した内容であるため、それ自体は恐らく忘れないであろう。しかしながらお互いのヒントに割り振られているアルファベット――これがどうにも気になった。それに情報が共有できるのであれば、それに越したことはない。

「あぁ、構わないよ」

 最近の若者は敬語というものを使わない。それは時代の流れというべきか、それだけ敬語を使う価値のない大人が増えたからではないかと春日は思う。事実、春日も敬う必要のない相手に敬語は使わない。だからこそ学会の問題児扱いされるわけだが。

 春日と水落の両者が共有に同意すると、ヒント一覧に並んでいた【?】の一部が解放され、水落の【固有ヒント】が春日のSGTのヒント一覧に表示された。水落のほうにも同様の現象が起きていることだろう。これが共有するということか。
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