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宮垣という名の街【開始〜午後1時】
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窓枠の下から舐めるように、ほんの少しだけ顔を覗かせると、まず真っ先に玄関先に男の姿を見つけた。壮年くらいのスーツの男だった。
死角になってしまっているが、なにかが燃えたのだろうか、白い煙のようなものが二階の高さまで上ってくる。壮年くらいのスーツの男はなにをやっているのだろうか。
しばらくすると遠くのほうから声がして、壮年のスーツの男のところに金髪のいかにもといった若者が駆け寄った。ゲーム開始からわずか。もう徒党を組んだ者がいるのかと思ったが、それにしたって早すぎる。窓ガラス越しに聞こえるくぐもった彼らの会話に聞き耳を立てると、二人が初対面同士であることが分かった。それにしては、金髪のほうが妙に馴れ馴れしいような印象があったのだが。
そっと窓の鍵に手を伸ばしたのは、さらにそれからしばらくして、金髪の男が玄関先へと歩み寄り、それに続いて壮年のスーツの男も玄関先へとやって来た時のことだった。中に入ろうとしているのは明確だった。いくら精巧に作られているライフル銃とはいえ、距離が近くなると偽物だとばれてしまう可能性が高まる。はったりをかますのであれば、このタイミングしかなかった。鍵を外すと勢い良く窓を開け、そして半身を外に出す。そのままレプリカのライフル銃を構えて声を荒げた。
「――動くなっ!」
このような時は最初が肝心。見たところ二人は武器らしきものを持っておらず、さすがは自衛官かな――池田陸士長がアドバンテージを握るような形になる。
「両手を挙げて、そのまま頭の上にっ!」
レプリカとはいえ銃口を向けている効果は絶大のようで、金髪と壮年のスーツは指示通りに両手を頭の上へ乗せた。突然の出来事に何か言葉を交わしたのであろう。金髪の男と壮年のスーツの男の口元が動いた。
「――見てもらえば分かるがこちらは丸腰だ! ゆえに、そちらに危害を加えようにも加えるのは不可能だ。その物騒なものをしまってはくれないだろうか?」
両手を頭の上に乗せながらも、落ち着いた様子の口調で返してきたのは壮年のスーツのほうだった。
「駄目だ! まず、そっちの金髪の男のショルダーバックを開けて、中がこちらに見えるように向けろ!」
やる時は中途半端ではなく、徹底的にやるべき。彼らが確実に安全だと分かるまで、その警戒心を解くべきではない。まず目についた金髪の男のショルダーバックを開けさせる。
「もう少し上だ。上に掲げるんだ!」
目視で確認するには距離があったため、金髪の男にバックを掲げさせる。金髪の男のショルダーバックの中には、おそらく食糧であろう紙袋と、大瓶が入っていた。
死角になってしまっているが、なにかが燃えたのだろうか、白い煙のようなものが二階の高さまで上ってくる。壮年くらいのスーツの男はなにをやっているのだろうか。
しばらくすると遠くのほうから声がして、壮年のスーツの男のところに金髪のいかにもといった若者が駆け寄った。ゲーム開始からわずか。もう徒党を組んだ者がいるのかと思ったが、それにしたって早すぎる。窓ガラス越しに聞こえるくぐもった彼らの会話に聞き耳を立てると、二人が初対面同士であることが分かった。それにしては、金髪のほうが妙に馴れ馴れしいような印象があったのだが。
そっと窓の鍵に手を伸ばしたのは、さらにそれからしばらくして、金髪の男が玄関先へと歩み寄り、それに続いて壮年のスーツの男も玄関先へとやって来た時のことだった。中に入ろうとしているのは明確だった。いくら精巧に作られているライフル銃とはいえ、距離が近くなると偽物だとばれてしまう可能性が高まる。はったりをかますのであれば、このタイミングしかなかった。鍵を外すと勢い良く窓を開け、そして半身を外に出す。そのままレプリカのライフル銃を構えて声を荒げた。
「――動くなっ!」
このような時は最初が肝心。見たところ二人は武器らしきものを持っておらず、さすがは自衛官かな――池田陸士長がアドバンテージを握るような形になる。
「両手を挙げて、そのまま頭の上にっ!」
レプリカとはいえ銃口を向けている効果は絶大のようで、金髪と壮年のスーツは指示通りに両手を頭の上へ乗せた。突然の出来事に何か言葉を交わしたのであろう。金髪の男と壮年のスーツの男の口元が動いた。
「――見てもらえば分かるがこちらは丸腰だ! ゆえに、そちらに危害を加えようにも加えるのは不可能だ。その物騒なものをしまってはくれないだろうか?」
両手を頭の上に乗せながらも、落ち着いた様子の口調で返してきたのは壮年のスーツのほうだった。
「駄目だ! まず、そっちの金髪の男のショルダーバックを開けて、中がこちらに見えるように向けろ!」
やる時は中途半端ではなく、徹底的にやるべき。彼らが確実に安全だと分かるまで、その警戒心を解くべきではない。まず目についた金髪の男のショルダーバックを開けさせる。
「もう少し上だ。上に掲げるんだ!」
目視で確認するには距離があったため、金髪の男にバックを掲げさせる。金髪の男のショルダーバックの中には、おそらく食糧であろう紙袋と、大瓶が入っていた。
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