BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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わがまま姫とそれが不愉快な仲間達【午後1時〜午後2時】

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 陸士長はそう言うが、しかし水落だって気遣いのできない男ではない。これまでずっと思っていたが口にしなかった言葉を、ここで始めて吐いた。

「あのさ、ずっと気になってたんだけど、俺達と会ってからずっと顔色が悪いぜ。むしろ、最初より今のほうがずっと悪い。どこか具合でも悪いんじゃないか? 俺達の目を盗んで腹をさすってたみたいだし」

 スラッとした長身のスタイルに、あからさまに自衛隊ですと言わんばかりの格好をしている陸士長。しかしながら、どうにも顔色が悪いのではないかと水落は疑っていた。案の定、交代にきてみれば、その時よりも顔は青白い。時折、様子を見て腹をさすっているのも見えたし、恐らくは腹痛に苦しんでいるのだろう。

「――思っているより鋭い観察眼だな。まぁ、良くあることだし、じきに収まることも分かっているんだ。そこまで心配するものじゃない。それに、あえて気を遣って欲しくない時もある」

 どうしても譲らない陸士長に水落が溜め息を漏らすと、階段のきしむ音が聞こえてきた。そちらのほうに視線をやる水落と池田。二階にあがってきたのは当然ながら春日だった。

「交代するしないで揉めているんじゃないかと思ってきてみたら案の定か――。いくら訓練を受けていても、体調が悪ければポテンシャルも発揮できない。それに、交代制度は私達で話し合った結果だ。全員で決めたのだから、それに従ってもらわねばならない。だから、交代して休んでくれ。今動けなくなるのならまだしも、いざという時に動けなくなる事態は避けたい。つまり、体調不良ならばなおさら休んでもらわねば困るわけだ。周りに甘えられる時は甘えておくものだぞ」

 春日の一言にバツの悪そうな顔をした陸士長だったが、しばらく考え込むような仕草を見せた後、小さく頷いた。

「分かった。お言葉に甘えて少し休ませてもらおう。何かがあったらすぐに呼んでくれ。駆けつける」

 そう言って立ち上がると、ライフル銃のレプリカを水落のほうへと差し出してくる陸士長。受け取ると「持っているだけでも牽制力にはなる」とだけ言ってうっすらと笑みを浮かべ、陸士長は一階へと降りていった。

「――私も頑固なほうだが、自衛隊という自負が強いのか、あの人も中々に頑固だな。やっぱり様子を見にきて良かったよ」

 水落の横に腰を落とすと小さく溜め息を漏らす春日。

「確かに、春日さんがきてくれなかったら、俺と交代しようとしなかったかもな。あの人――」

 陸士長は陸士長で、あくまでも自衛隊としての使命を全うしようとしているのであろう。国を守る――国民を守るのが義務なのかもしれないが、状況が異常なのだから、あまり気張らないで欲しいものだ。
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